別に、なくても全然困らないけど、
あったらいいなあ、こんなもの。
そんな願いを実現できる楽しさが、レザークラフトには、ありますねえ。
ポイントは、「別に、なくても全然困らないけど」。
A4サイズの、クリアファイルです。
……どこが「クリア」なんでしょうか。不透明で、ぜんぜん中身が見えませんが。
いえいえ、そこがいいのです。そういうものが、欲しかったのですよ。
中身が見えないA4サイズの書類挟み。
それも、革のヤツ。
A4サイズのクリアファイルを作るためには、A3サイズより大きい革が必要です。
そんなに大きな革を、持ってるの?!
……ええ。ついに、手を出してしまいました。
「半裁」という革に。
「半裁」とは、牛一頭分の革の半分のサイズの革のことです。
えっ?! 牛、半頭?!?
いや~。買えると思わなかったんだけどね~。
ヤフオクで、信頼できそうな革の販売店さんが出品していた革に入札したら、
なんか、買えちゃったんですよね~。ははははは。
……若干、笑いが乾いているような気がしますが、気のせいでしょうか?
届いた革は、それはもう、巨大でした。
巻いた状態で届いた革を広げたら、部屋からはみ出るくらい、巨大でした。
ええ。部屋に、おさまらなかったんですよ。大きすぎて。
笑いが乾くわけですよ。
大きさは、「二百数十デシ」。
1デシとは、10センチ四方の正方形のことで、革のサイズは、これの数で表します。
つまり、10センチ四方の正方形が、200個以上、入る大きさってことですよ。
牛というのは、なんとも巨大な生き物なのですねぇ。いやはや。
人ごとのように感動している場合でしょうか。
この革、使いきるのに一生かかるんじゃないだろうか。
でも、まあ、見方を変えれば、
これで、好きなものをいくらでも、思いついたらすぐ作れてしまうわけです。
好きなものを好きなだけ。思い立ったらすぐできる。
夢みたいな話ですよ。
巨大な革は、全体が1ミリの厚さに均等に漉いた状態で出品されていました。
ほとんど傷も見当たらず、美しい艶を放つ、ワタクシの大好きな、赤のタンニン鞣しの革です。
……1ミリって、少~し、薄いですね。
バッグは、無理だなあ。財布の外側にも、ちょっと薄いかなあ。ペンケースなんかは、内貼りがあったほうがよさそうだなあ。
さて、何を作ろうか。
って、届いてから考えるなよ……
で、思い出したわけでございます。
日ごろから、「あったらいいなあ」と思っていたものを。
人前でバッグから取り出しても、中身が見えない、A4サイズのクリアファイル!
しかも、革の手触りを存分に楽しめるヤツ!
ええ。もう、余裕で作れますよ。半裁の革があれば。
作りは簡単です。パーツはたった二つだけ。
手持ちのプラスチックのクリアファイルを型紙代わりにして、すぱ~っと切り出します。
あまりに革が巨大なので、巻いた状態で端っこを必要なだけ広げて裁断します。
まあ、一つ目の作品は、革の感触を確かめる試作品みたいなものだから。端っこの、あまり質が良くない部位を使えるのは、ちょうどいいですね。
厚さ1ミリでコシのある革だと、本当に「すぱ~っ」と裁断できて、気持ちいいですね。
内側は見えなくなりますが、紙を出し入れするわけですから、滑りがいいほうが使い心地がいいでしょう。
よしよし。きっちり磨きましょう。
いつものように、おまけでもらった円筒形のガラスのコップが大活躍です。
コップの底でゴシゴシこすれば、ほ~ら。ピッカピカ。
二つのパーツを革用ボンドで張り合わせたら、
…………あれ?
片っぽが、少し大きかったみたい。
サイズを測って裁断したはずなのですが、う~む。謎です。
いえ、作業がおおざっぱだっただけでしょう。
でも、これは、ケガの功名、棚から牡丹餅でした。
小さいほうに合わせて、大きいほうの余ったところを慎重に切り落とすと、ほら、ご覧の通り!
きっちりぴったり美しい端っこのできあがり!
レザークラフトの教本によると、そもそも美しいコバ(裁ち落としの裁断面)を作るには、わざわざ片方のパーツを大きめに裁っておいて、貼り合わせてから切りそろえる方法があるそうです。
そうそう。ワタクシは、最初から、それを狙っていたのだよ。えへん。
いえ、作業がおおざっぱだっただけですが。
そうして、縫い穴を開けます。
今回は、作業が深夜の時間帯だったこともありまして、フォークのような形の「菱目打ち」を押し付けて印をつけてから、「菱錐」をグサグサと突き刺して穴をあけるやり方にしました。
騒音ゼロです。
一つ一つ、手で縫い穴を開けるには、A4サイズの2辺は、なかなか長い距離でした。
さあ、縫い目はどうでしょう。
おお! ずぼら~にしては、なかなか真っすぐ縫えたではありませんか!
自画自賛。
よしよし。あとは、コバを磨けば終了です。
ケガの功名できれいにそろったコバは、磨くのも楽ちん。
う~ん。コバがきれいにそろってると、こんなに早くきれいに磨き上がるものなのですね~。
磨き方は、教本にしたがって、まず水を少し塗ってからトコノールを薄く塗り、ウッドスリッカーで磨き上げるやり方にしてみました。
水が多すぎると染みになりそうですが、水を塗ると、磨いたコバの色が濃くなって艶も出るようです。
コバ磨きは、水分で革に含まれるタンニンを反応させて艶を出す作業だそうで、やはり水分が大切なのかもしれません。
今回のウッドスリッカーは、木の本当のキレッパジを彫刻刀でちょいちょい彫って作ったものです。
カリマンタン黒檀ほどの効果はありませんが、市販の白木のウッドスリッカーよりは、コバがピカピカになるような気がします。
なんでも、手塩にかければ、いい子に見えるものですよ。
たとえ木のキレッパジであっても。
さあ。
どうでしょう。
できましたよ!
プラスチックのクリアファイルと、そっくり同じ形です。芸も工夫もありません。
つややかな革は、滑らかで触り心地が良く、軽く握るとコシがある柔らかさで答えてくれて、本当に気持ちいいです。
これで、人前で出すのがはばかられる紙類を、安心して持ち歩けます!
……って、ナニ持ってんの。
いえ、別に、なくても全然困るものではないのです。
世の中、プラスチック製でも、中身の見えないクリアファイルという商品が、すでにあります。
だいたい、バッグや財布やペンケースやノートカバーやブックカバーや手帳カバーはともかく、紙ばさみまでもが革である必要は、どこにもありません。
革のクリアファイルというのは、本当に、なくても全く困らないものですよ。
でも、欲しかったんだもん。あったらいいなと思っていたんだもん。
「あったらいいな」が、すぐできる。
こんなに素晴らしいことが、あるでしょうか。
この勢いで、どんどん革を使いたいと思います。
ええ。鋭意、消費しますよ。
そうしないと、一生かかっても使いきれないような気がするし………
………って、それ、もう、
ノルマですか?
あったらいいなあ、こんなもの。
そんな願いを実現できる楽しさが、レザークラフトには、ありますねえ。
ポイントは、「別に、なくても全然困らないけど」。

A4サイズの、クリアファイルです。
……どこが「クリア」なんでしょうか。不透明で、ぜんぜん中身が見えませんが。
いえいえ、そこがいいのです。そういうものが、欲しかったのですよ。
中身が見えないA4サイズの書類挟み。
それも、革のヤツ。
A4サイズのクリアファイルを作るためには、A3サイズより大きい革が必要です。
そんなに大きな革を、持ってるの?!
……ええ。ついに、手を出してしまいました。
「半裁」という革に。
「半裁」とは、牛一頭分の革の半分のサイズの革のことです。
えっ?! 牛、半頭?!?
いや~。買えると思わなかったんだけどね~。
ヤフオクで、信頼できそうな革の販売店さんが出品していた革に入札したら、
なんか、買えちゃったんですよね~。ははははは。
……若干、笑いが乾いているような気がしますが、気のせいでしょうか?
届いた革は、それはもう、巨大でした。
巻いた状態で届いた革を広げたら、部屋からはみ出るくらい、巨大でした。
ええ。部屋に、おさまらなかったんですよ。大きすぎて。
笑いが乾くわけですよ。
大きさは、「二百数十デシ」。
1デシとは、10センチ四方の正方形のことで、革のサイズは、これの数で表します。
つまり、10センチ四方の正方形が、200個以上、入る大きさってことですよ。
牛というのは、なんとも巨大な生き物なのですねぇ。いやはや。
人ごとのように感動している場合でしょうか。
この革、使いきるのに一生かかるんじゃないだろうか。
でも、まあ、見方を変えれば、
これで、好きなものをいくらでも、思いついたらすぐ作れてしまうわけです。
好きなものを好きなだけ。思い立ったらすぐできる。
夢みたいな話ですよ。
巨大な革は、全体が1ミリの厚さに均等に漉いた状態で出品されていました。
ほとんど傷も見当たらず、美しい艶を放つ、ワタクシの大好きな、赤のタンニン鞣しの革です。
……1ミリって、少~し、薄いですね。
バッグは、無理だなあ。財布の外側にも、ちょっと薄いかなあ。ペンケースなんかは、内貼りがあったほうがよさそうだなあ。
さて、何を作ろうか。
って、届いてから考えるなよ……
で、思い出したわけでございます。
日ごろから、「あったらいいなあ」と思っていたものを。
人前でバッグから取り出しても、中身が見えない、A4サイズのクリアファイル!
しかも、革の手触りを存分に楽しめるヤツ!
ええ。もう、余裕で作れますよ。半裁の革があれば。
作りは簡単です。パーツはたった二つだけ。

手持ちのプラスチックのクリアファイルを型紙代わりにして、すぱ~っと切り出します。
あまりに革が巨大なので、巻いた状態で端っこを必要なだけ広げて裁断します。
まあ、一つ目の作品は、革の感触を確かめる試作品みたいなものだから。端っこの、あまり質が良くない部位を使えるのは、ちょうどいいですね。
厚さ1ミリでコシのある革だと、本当に「すぱ~っ」と裁断できて、気持ちいいですね。
内側は見えなくなりますが、紙を出し入れするわけですから、滑りがいいほうが使い心地がいいでしょう。
よしよし。きっちり磨きましょう。
いつものように、おまけでもらった円筒形のガラスのコップが大活躍です。

コップの底でゴシゴシこすれば、ほ~ら。ピッカピカ。

二つのパーツを革用ボンドで張り合わせたら、
…………あれ?

片っぽが、少し大きかったみたい。
サイズを測って裁断したはずなのですが、う~む。謎です。
いえ、作業がおおざっぱだっただけでしょう。
でも、これは、ケガの功名、棚から牡丹餅でした。
小さいほうに合わせて、大きいほうの余ったところを慎重に切り落とすと、ほら、ご覧の通り!
きっちりぴったり美しい端っこのできあがり!

レザークラフトの教本によると、そもそも美しいコバ(裁ち落としの裁断面)を作るには、わざわざ片方のパーツを大きめに裁っておいて、貼り合わせてから切りそろえる方法があるそうです。
そうそう。ワタクシは、最初から、それを狙っていたのだよ。えへん。
いえ、作業がおおざっぱだっただけですが。
そうして、縫い穴を開けます。
今回は、作業が深夜の時間帯だったこともありまして、フォークのような形の「菱目打ち」を押し付けて印をつけてから、「菱錐」をグサグサと突き刺して穴をあけるやり方にしました。
騒音ゼロです。
一つ一つ、手で縫い穴を開けるには、A4サイズの2辺は、なかなか長い距離でした。
さあ、縫い目はどうでしょう。

おお! ずぼら~にしては、なかなか真っすぐ縫えたではありませんか!
自画自賛。
よしよし。あとは、コバを磨けば終了です。

ケガの功名できれいにそろったコバは、磨くのも楽ちん。
う~ん。コバがきれいにそろってると、こんなに早くきれいに磨き上がるものなのですね~。
磨き方は、教本にしたがって、まず水を少し塗ってからトコノールを薄く塗り、ウッドスリッカーで磨き上げるやり方にしてみました。
水が多すぎると染みになりそうですが、水を塗ると、磨いたコバの色が濃くなって艶も出るようです。
コバ磨きは、水分で革に含まれるタンニンを反応させて艶を出す作業だそうで、やはり水分が大切なのかもしれません。
今回のウッドスリッカーは、木の本当のキレッパジを彫刻刀でちょいちょい彫って作ったものです。
カリマンタン黒檀ほどの効果はありませんが、市販の白木のウッドスリッカーよりは、コバがピカピカになるような気がします。
なんでも、手塩にかければ、いい子に見えるものですよ。
たとえ木のキレッパジであっても。
さあ。
どうでしょう。
できましたよ!


プラスチックのクリアファイルと、そっくり同じ形です。芸も工夫もありません。

つややかな革は、滑らかで触り心地が良く、軽く握るとコシがある柔らかさで答えてくれて、本当に気持ちいいです。
これで、人前で出すのがはばかられる紙類を、安心して持ち歩けます!
……って、ナニ持ってんの。
いえ、別に、なくても全然困るものではないのです。
世の中、プラスチック製でも、中身の見えないクリアファイルという商品が、すでにあります。
だいたい、バッグや財布やペンケースやノートカバーやブックカバーや手帳カバーはともかく、紙ばさみまでもが革である必要は、どこにもありません。
革のクリアファイルというのは、本当に、なくても全く困らないものですよ。
でも、欲しかったんだもん。あったらいいなと思っていたんだもん。
「あったらいいな」が、すぐできる。
こんなに素晴らしいことが、あるでしょうか。
この勢いで、どんどん革を使いたいと思います。
ええ。鋭意、消費しますよ。
そうしないと、一生かかっても使いきれないような気がするし………
………って、それ、もう、
ノルマですか?