もともと、中古品にはそれほど抵抗がありません。
たんすだって祖母の嫁入り道具だったものだし。
万年筆にも中古やヴィンテージがあるというのは、はまってみて初めて知りました。
「万年筆には自分だけの書き癖がつくから他人に貸してはいけない」ってな話は、子供のころから聞いていましたが……中古やヴィンテージ市場があるってのは、矛盾しないかい?
でもま、今じゃ、ペンなんておまけで無料の新品をもらえることも珍しくないですが、昔々、書くというのは一部の人だけができたことで、その道具も精密な工芸品だったわけですから。
美しいものは時代を超えて受け継がれるし、実用的な中古品をお安く譲ってもらうというのもアリなわけですね。
とにかく、新品の万年筆は高価です。
海外ブランドを使ってみたいと思っても、金ペンだと3万円クラスから!
そうそうポイポイ買えるお値段じゃありません。
買って「合わなかったよ……」てなことになったら、泣くに泣けませんよ。
金価格が上昇したとはいえ、国産ブランドなら税抜5000円の金ペンもある(プラチナの14kスタンダードだけでなく、パイロットのセレモも14金)というのに。
海外ブランド、高すぎませんかね。
専門店や雑誌の情報によると、質的には、
国産の1万円クラス=海外の3万円クラス
国産の3万円クラス=海外の5万円クラス
国産の5万円クラス=海外の8万円以上クラス
……といった具合だとか。
なんだか、車みたいですね。
いやあ国産ってえらいなあ。
でも、やっぱり使ってみたい。
万年筆と言えば、モンブランかパーカーか。
おお! そうそう。新品が無理なら、中古って手が……
で、ネットを探してみました。
中古を扱うショップがいくつもあるんですね。
中にはヴィンテージ専門という、京都や日本橋の老舗骨董店並みに敷居が高そうなお店もあります。
一方、ヴィンテージだけでなく、初心者でも使えそうな純粋な「中古」を販売している店もありました。
その一つが、キングダムノート。
どうやら上場企業らしいし(上場してる株式会社なら、間違っても「もののわかんないヤツは来るな」とか言われなさそう)、楽天市場にお店があるのもとっつきやすいと感じました。
ちょうど、楽天スーパーポイントがずいぶんたまっていましたし。
モンブランは中古でもさすがに、初心者が「ちょっと使ってみよっかな~」と手を出せるお値段じゃありません。
でもパーカーなら、かなり手が届きやすそうなものがいろいろありました。
目が留まったのが、これ。パーカー75のマットタイプの赤です。
シンプルなラインがきれいで、上下をスカっと切り落としたデザインが清々しい。
写真では、赤の色もかわいいし、金の金具がいい感じに映えているように見えました。
どうやら、生産終了になった廃番品のようです。
さて、書き味の評判は? そもそも、どんなもんかな?
調べてみると、パーカー好きな方が、詳しい情報をまとめてくださっているサイトがありました。
http://www.mb.ccnw.ne.jp/ken_show/Parker/pk-announce-1/declare/pk75/pk-75-2.htm
(備忘録的なブログだもんで、自分のために勝手にリンク貼っちゃいました。ごめんなさい)
とてもよくまとめてくださっているサイトで、すごく勉強になります。製作者の方、ありがとうございます!
そこに、まさにキングダムノートで売られていたのと同じものがありました。
フランスで作られた「Matte pens」です。パーカー75生産の最終段階で作られたもののようです。
このサイトを作ってくださった方は、パーカー75を愛用しておられるようで、拝読して「いいペンだなあ」としみじみ感じました。
楽天スーパーポイントを使えば、そのへんのボールペンと大して変わらない出費で済みます。
「中古良品」で、あまり傷もなさそう。
で、ぽちっと。
届いたペンは、箱がないことを除けば新品みたいにきれいでした。
ほらね?
20年ほど前の商品だけあって(?)、今の標準的な万年筆よりスマートです。
カスタム74と比べてみましょう。
手帳に差してもいいくらいな大きさです。
身長は12.8センチ。キャップをおしりに差すと14.2センチです。
体重は22.0グラム。胴回りは最大3.4センチと、スリムです。
持ってみると、キャップをおしりに差した状態のバランスがいい!
ペンを持って指を離すと、親指の付け根で安定します。
これは書きやすそう。
ペン先は14kで、太さはペン芯側に「F」とあります。
で、パーカーのカートリッジ「クインク」のブルーを、さっそく装着してみました。
書いてみると
………な、な、なんじゃあこりゃあ?!
な~~~~~~~んの引っかかりも、なぁぁ~~~~~~んの抵抗もなく、インクがヌルっと紙に溜まることもなく、音もなく、
すうううううう~~~~~~~~~~~~~~~~っっっっ
と、ペンが滑っていきます!
なんというか、その静けさは、パイロットがガソリン車だとすると、これはハイブリッド自動車みたいな。
あまりに静かに滑るので、つい殴り書きしてしまいました。
線は、パイロットのカスタム74のFより一段太めな感じ。
ペン先が去った瞬間にインクが乾くのも印象的です。
これ、走り書きとか、ノートを取るときなど、スピードが求められる場面では、大変便利なんじゃないかな。
いろいろ読んでいると「パーカーの現行品は、蓋をして置いておいてもカートリッジのインクの蒸発が早い」といった情報が目につきました。
現行のソネットシリーズでは、蓋に穴があけられているのが一因のようです。
もう一つの原因が、この、インクの乾きやすさなんじゃないかな?と思いました。
わかんないけど。
幸いにして、このパーカー75は、蓋に穴が開いてません。
おかげで、蓋をした状態で置けば、書き出しがかすれるという経験は、これまでありません。
ただ、蓋を開けて置いておくと、ちょろっと間が開いたらすぐに書き出しがかすれます。
なるほど、乾きやすいわ。
ところで、この書きやすさはどこから?
ペン先をしみじみ眺めてしまいました。
素人目には、とくに、だれかが書いた結果ペン先が削られた跡はわかりません。
ルーペは持っていないので、写真をめいっぱい拡大してみました。
すると、溝が、気持~~~~ち、先端ほど右寄りに傾いているかもしれない。
先端のニブポイント(玉)の右側が、少~~~~~し、左側より小さいかもしれない。
これは、もともとのつくりが、私と相性ぴったりだったのか?
それとも、もとの持ち主の書き癖が、私とそっくり同じだったのか?
謎ですが。
このシンプルなペン先のデザイン、プラチナのベラージュに似ていて、ツボです。
上から、パーカー75、カスタム74、ベラージュです。
初めての中古万年筆、大成功。
こりゃぁ、癖になるぞ………
ただし。
今回は、中古をきちんと扱って販売する上場企業からの買い物です。
だから、買った後、自分でペン先を洗ってみたりとか、面倒くさいことは一切せず、新品と同じようにすぐカートリッジを付けられました。
そりゃ、ヤフオクのほうが安いだろうけど。
本気で中古を買うつもりなら、ペン先洗浄とか手入れとか、最低限のやり方は覚えておかないといけませんよ。
で、うちには、あったのです。
ペン先洗浄の格好の練習台が。
数年前に買って、カートリッジを付けっぱなしでほったらかしていた万年筆。
もしかしたら、コイツの呪いかもしれませんね。
いま、こんなに万年筆にはまってるのは……
たんすだって祖母の嫁入り道具だったものだし。
万年筆にも中古やヴィンテージがあるというのは、はまってみて初めて知りました。
「万年筆には自分だけの書き癖がつくから他人に貸してはいけない」ってな話は、子供のころから聞いていましたが……中古やヴィンテージ市場があるってのは、矛盾しないかい?
でもま、今じゃ、ペンなんておまけで無料の新品をもらえることも珍しくないですが、昔々、書くというのは一部の人だけができたことで、その道具も精密な工芸品だったわけですから。
美しいものは時代を超えて受け継がれるし、実用的な中古品をお安く譲ってもらうというのもアリなわけですね。
とにかく、新品の万年筆は高価です。
海外ブランドを使ってみたいと思っても、金ペンだと3万円クラスから!
そうそうポイポイ買えるお値段じゃありません。
買って「合わなかったよ……」てなことになったら、泣くに泣けませんよ。
金価格が上昇したとはいえ、国産ブランドなら税抜5000円の金ペンもある(プラチナの14kスタンダードだけでなく、パイロットのセレモも14金)というのに。
海外ブランド、高すぎませんかね。
専門店や雑誌の情報によると、質的には、
国産の1万円クラス=海外の3万円クラス
国産の3万円クラス=海外の5万円クラス
国産の5万円クラス=海外の8万円以上クラス
……といった具合だとか。
なんだか、車みたいですね。
いやあ国産ってえらいなあ。
でも、やっぱり使ってみたい。
万年筆と言えば、モンブランかパーカーか。
おお! そうそう。新品が無理なら、中古って手が……
で、ネットを探してみました。
中古を扱うショップがいくつもあるんですね。
中にはヴィンテージ専門という、京都や日本橋の老舗骨董店並みに敷居が高そうなお店もあります。
一方、ヴィンテージだけでなく、初心者でも使えそうな純粋な「中古」を販売している店もありました。
その一つが、キングダムノート。
どうやら上場企業らしいし(上場してる株式会社なら、間違っても「もののわかんないヤツは来るな」とか言われなさそう)、楽天市場にお店があるのもとっつきやすいと感じました。
ちょうど、楽天スーパーポイントがずいぶんたまっていましたし。
モンブランは中古でもさすがに、初心者が「ちょっと使ってみよっかな~」と手を出せるお値段じゃありません。
でもパーカーなら、かなり手が届きやすそうなものがいろいろありました。
目が留まったのが、これ。パーカー75のマットタイプの赤です。
シンプルなラインがきれいで、上下をスカっと切り落としたデザインが清々しい。
写真では、赤の色もかわいいし、金の金具がいい感じに映えているように見えました。

どうやら、生産終了になった廃番品のようです。
さて、書き味の評判は? そもそも、どんなもんかな?
調べてみると、パーカー好きな方が、詳しい情報をまとめてくださっているサイトがありました。
http://www.mb.ccnw.ne.jp/ken_show/Parker/pk-announce-1/declare/pk75/pk-75-2.htm
(備忘録的なブログだもんで、自分のために勝手にリンク貼っちゃいました。ごめんなさい)
とてもよくまとめてくださっているサイトで、すごく勉強になります。製作者の方、ありがとうございます!
そこに、まさにキングダムノートで売られていたのと同じものがありました。
フランスで作られた「Matte pens」です。パーカー75生産の最終段階で作られたもののようです。
このサイトを作ってくださった方は、パーカー75を愛用しておられるようで、拝読して「いいペンだなあ」としみじみ感じました。
楽天スーパーポイントを使えば、そのへんのボールペンと大して変わらない出費で済みます。
「中古良品」で、あまり傷もなさそう。
で、ぽちっと。
届いたペンは、箱がないことを除けば新品みたいにきれいでした。

ほらね?
20年ほど前の商品だけあって(?)、今の標準的な万年筆よりスマートです。
カスタム74と比べてみましょう。


手帳に差してもいいくらいな大きさです。
身長は12.8センチ。キャップをおしりに差すと14.2センチです。
体重は22.0グラム。胴回りは最大3.4センチと、スリムです。
持ってみると、キャップをおしりに差した状態のバランスがいい!

ペンを持って指を離すと、親指の付け根で安定します。
これは書きやすそう。
ペン先は14kで、太さはペン芯側に「F」とあります。
で、パーカーのカートリッジ「クインク」のブルーを、さっそく装着してみました。
書いてみると
………な、な、なんじゃあこりゃあ?!
な~~~~~~~んの引っかかりも、なぁぁ~~~~~~んの抵抗もなく、インクがヌルっと紙に溜まることもなく、音もなく、
すうううううう~~~~~~~~~~~~~~~~っっっっ
と、ペンが滑っていきます!
なんというか、その静けさは、パイロットがガソリン車だとすると、これはハイブリッド自動車みたいな。
あまりに静かに滑るので、つい殴り書きしてしまいました。

ペン先が去った瞬間にインクが乾くのも印象的です。
これ、走り書きとか、ノートを取るときなど、スピードが求められる場面では、大変便利なんじゃないかな。
いろいろ読んでいると「パーカーの現行品は、蓋をして置いておいてもカートリッジのインクの蒸発が早い」といった情報が目につきました。
現行のソネットシリーズでは、蓋に穴があけられているのが一因のようです。
もう一つの原因が、この、インクの乾きやすさなんじゃないかな?と思いました。
わかんないけど。
幸いにして、このパーカー75は、蓋に穴が開いてません。
おかげで、蓋をした状態で置けば、書き出しがかすれるという経験は、これまでありません。
ただ、蓋を開けて置いておくと、ちょろっと間が開いたらすぐに書き出しがかすれます。
なるほど、乾きやすいわ。
ところで、この書きやすさはどこから?
ペン先をしみじみ眺めてしまいました。

素人目には、とくに、だれかが書いた結果ペン先が削られた跡はわかりません。
ルーペは持っていないので、写真をめいっぱい拡大してみました。
すると、溝が、気持~~~~ち、先端ほど右寄りに傾いているかもしれない。
先端のニブポイント(玉)の右側が、少~~~~~し、左側より小さいかもしれない。
これは、もともとのつくりが、私と相性ぴったりだったのか?
それとも、もとの持ち主の書き癖が、私とそっくり同じだったのか?
謎ですが。
このシンプルなペン先のデザイン、プラチナのベラージュに似ていて、ツボです。

上から、パーカー75、カスタム74、ベラージュです。
初めての中古万年筆、大成功。
こりゃぁ、癖になるぞ………
ただし。
今回は、中古をきちんと扱って販売する上場企業からの買い物です。
だから、買った後、自分でペン先を洗ってみたりとか、面倒くさいことは一切せず、新品と同じようにすぐカートリッジを付けられました。
そりゃ、ヤフオクのほうが安いだろうけど。
本気で中古を買うつもりなら、ペン先洗浄とか手入れとか、最低限のやり方は覚えておかないといけませんよ。
で、うちには、あったのです。
ペン先洗浄の格好の練習台が。
数年前に買って、カートリッジを付けっぱなしでほったらかしていた万年筆。
もしかしたら、コイツの呪いかもしれませんね。
いま、こんなに万年筆にはまってるのは……