僕は1年半ほど前に建てられたToronto Medical Discovery Towerと呼ばれる建物の中で働いている。強引に訳せば「トロント医学発見塔」とでもなるのか。BantingとBestのインスリン、Tsuiによる嚢胞性線維症の原因遺伝子の発見など、医学上のいくつもの大発見がなされ、この辺りはToronto's Discovery Districtとも呼ばれている。僕は医学に貢献しようなどという気は全くないのだが、そんなところに住んで、その真新しい塔の14階で働かせてもらっている。今朝、エレベータの中で脳外科医の友人に会い、Christianも一緒になった。後で"He is a brain surgeon."と伝えたら、"Is he a rocket scientist?"というまた訳の分からない表現が飛んできた。英語を話す人たちの間では、脳外科医やロケット科学者は特に「天才」とみなされていて、天才の代名詞になっているというわけだ。つまり"He's a rocket scientist."で、「彼は天才だ」という意味になる。ロケットだったら"scientist"よりも"engineer"のほうがいいような気がするが、そうでないところが"science"に無縁な人が作り出した言葉らしくていい。時にはironicallyに使われることがあるというから気をつけなければならないが、顔を合わせて会話をしていれば間違いは起こらないだろう。メールでの使用は要注意かもしれない。ちなみに、Christianも僕と同じように医学に貢献しようという気などなく、生命の謎解きを楽しんでいるだけのように見受けられるが、彼は現在、自閉症の原因遺伝子探しに精を出している。