東京からTorontoに向かう直行便は東北地方の太平洋沖を北上し、千島列島、Kamchatka半島沿いにさらに北上し、Bering海、Alaska上空を経て、Yellowknife付近を通り、南東へ下ってThunder Bay上空へとやって来る。この辺りから五大湖のSuperior湖とHuron湖を越えるのだが、眼下にはびっしりと雲が敷き詰められて湖面は見えなかった。高度3000mから約1000m下にあるその雲を見下ろすと、ふわふわとしたクッションのように見え、ここから落ちても助かるような気がするし、その上に寝そべったら、さぞ気持ちいいことだろうと思ってしまう。しかし飛行機が次第に高度を下げ、その雲の中に突入して行くと、やはり空中に漂う水に過ぎない、つまり"That's wishful thinking."であることを思い知らされる。「希望的観測」などと訳されるが、もうちょっと夢のある言葉のようにも思われる。僕は"a wishful thinking"というように不定冠詞を付けたくなるのだが、付けたらおかしくなるらしい。雲の上はすばらしい青空だったのに、Torontoに着いてみるとやはり曇り空だった。