4年ほど前、博士論文の初稿に目を通してくれた先生が、あまりの英文のひどさに呆れ、薦めてくれたのが鈴木英次の『化学英語のセンスを磨く』という本だった。最初の数ページを読んだだけで、目から鱗が落ちるとはこのことかと思い知らされた。何を最も思い知ったかといえば、口語と文語の違い、そしてそれらの使い分けの重要さである。学校の英語だけを勉強していたのでは話せるようにはならないと、独りで黙々とラジオ講座で勉強していたが、ラジオ講座で学んだ英語を論文に使うことは許されないのだ。そんなことを恥ずかしながら初めて知った。さて、その本の最初に何が書かれていたかというと、可能性を表す助動詞の使い分けで、可能性の大きさによって"will > would > should > may > might > could"の順番で使い分けられていると書かれている。"will"は単なる未来を表現する助動詞だと思っていたが、現在または未来に確実に起こりそうな事実の推定に用いられ、「必ず起こる」というニュアンスがあるらしい。目から鱗が落ちつつも半信半疑だったが、Anneが同様なことを説明して、例を挙げてくれた。"Mom, if I eat it, it will make me sick." これは子供が嫌いな物を食べたくない時の母親への言い訳で、明らかな口語だ。それでも文語で説明されていたのと同じ"will"が使われ、その子は「確実に気分が悪くなる」と訴えている。僕も子供の頃は、母親がいろいろな物を作って出してくれるにも関わらず、かなりの偏食だった。それが直ったのは独り暮らしを始めてからであるが、未だにラッキョウだけは確実に僕の気分を悪くする。