今日はレースの予定だったのですが、やはり、春の嵐ですね。残念。
さて、写真は私が海に出る時に必ず身につけているナイフ(マルチツール)です。
昔、anという女性だけのヨットチームがあり、ハワイで座礁しクルーの1人が亡くなりました。
後にメンバーだった人から聞いた話です。
当時、レースでかなり岸に寄せていたのですがナビゲーターの人はまだ行けると主張しチームはさらに寄せる選択をしました。
しかしその直後、座礁しキールが抜け落ち、船を真ランまで落とし転覆を防いだものの、瞬く間に浸水しみるみる船は沈んでいきます。
なんとかライフラフトを開き乗り移ったのですが、1人だけジブシートが足に絡まってしまって移れません。
彼女はナイフを身につけていませんでした。
「ちょっと潜って解いてくる」
彼女はそれっきり、上がってはきませんでした…。
もし、万が一、最後に
「ナイフがあればなぁ~」と思いながら死んでいくのは絶対イヤ。海では何が起こるかわからないからその話を聞いてからはどんな時も、例えのんびりクルージングでも必ず持って出ます。
当たり前と言えば当たり前なんですけどね。
昔、紀省子という闘鶏を飼育する名人が王のために一羽のすぐれた鶏を育てていました。
王は強い鶏を待ち望み、紀省子に尋ねました。
「強い鶏を余の前に連れてまいれ」
すると、紀省子は
「まだでございます、強い鶏はそうは簡単に育ちませぬ。今は空元気に過ぎませぬ」
しばらく日がたち、再び尋ねます。
「鶏はまだか」
「まだでございます。相手を見るとすぐに興奮して仕方がありません。今しばらくお待ちくださいませ」
更に日がたちました。
「強い鶏はまだできぬのか」
「あともう少しですが、まだでございます。自分の力を過信し嵩にかかるところがありますゆえ」
痺れを切らした王はいよいよ紀省子に尋ねました。
「いつまで待たせるのじゃ、鶏はまだか」
「王様、いよいよ、誰にも負けぬ、真の強い鶏をお見せいたしましょう」
はたして紀省子が連れてきた鶏とは精巧に彫られた木の鶏でした。
「おぬし、これだけ待たせておいて余を馬鹿にしているのか」
王は怒り、剣を抜きその木鶏を叩き切り、壊してしまおうとしました。
その時はたと気づき、手を止めました。
木鶏と思ったその鳥は生きていたのです。
真の強い鶏は王が抜いた剣にも微動だにすることなく、じっと様子を伺っていました。
静かなること木鶏の如し
そうなりたいものです。
でもまだまだ。
ぜんぜん、まだまだまだです。

