【謝罪】





あたたか~い。



恋人と抱き合った時に“あたたか~い”と感じる。射精とは違う快楽が素敵に素晴らしく幸せを感じる。今回の“あたたか~い”は不快の塊だ。



あたたか~い。



尿をかけられた。綺麗な女子からサプライズなプレイとして尿をかけられたのなら勃起中枢を破壊寸前まで活発に働かせながら『ありがとう♪』と喜べるが、相手は白い鼻毛満載のジジイだ。放尿に専念しているボクの右ふくらはぎを“あたたか~い”感覚が襲撃してきた。振り返るとポコチンを露出したジジイがよそ見をしていた。バレバレである。“よそ見”にカチンときたボクは冷静を保つことが不可能になり『何してくれとんねん!』と素直な気持ちを口走った。するとジジイはポコチンからジョロジョロと汚水を垂れ流しながら桜色に染まった顔面と酒臭い口臭で『知らん。』と“しらばっくれ”やがった。とりあえずジジイが放尿を終了するまで待つことにした。放尿を終えたジジイに“証拠”を見せながら『あなたがボクにかけた尿ですよね。』と聞くとジジイは『それは手を洗った時の水や。』と答えた。殺意は無いが『殺すぞ!』と言いたかったが我慢して『ここの水道は“水”しか出ません。ボクの足にかかったのは“あたたかい”んです。トイレにいたのはボクとあなただけなんです。ボクの足にかかったのはあなたの尿ですよね。』と問い掛けた。するとジジイは明
らかな上から目線と面倒臭さをコラボレーションさせた口調で『そうでっか。すんませんな。』と白状した。これが綺麗な女子とのプレイならどれだけ嬉しいことだろうか。



謝罪の念。



“誠意ある謝罪”なら許すつもりだったが、『すんませんな。』に誠意を感じることができなかったボクは『話にならん。名前と住所と電話番号を教えろ。』と顔面を硬直させて発言した。するとジジイは千円札を数枚出して『これでよろしいやろ!』と言った。そのリアクションにボクは更なる怒りが込み上げた。警察を呼んでも何ともならないことはわかっていたがボクはジジイに『警察呼ぼうか?』と言った。するとジジイは急に態度を改め『ワシが悪かった勘弁してくれ!』と今らさワビを入れてきた。と同時にババアが現われた。ジジイの嫁だ。事情を知ったババアはボクの腕を掴むと『兄ちゃん、ごめんな!この人、病気で倒れたことあんねん!きっと意識朦朧としてたんや!ごめんな!堪忍やで!』と涙を潤ませながらボクの情に訴えてきた。夫婦そろって上から目線だ。茶番だ。病気で倒れたことのある人間なら人に尿をかけておいても『すんませんな。』で許してもらえるのか?全てに呆れたボクは2人に『“ごめんなさい”とまともに言えるようになってから外出せえや。』と言ってその場を去った。ボクは思う。相手が年上であろうが、年下であろうが、謝罪の
言葉は“すいません”か“ごめんなさい”だと。



人様に“迷惑”と“尿”はかけてはいけない。



もちろん、放尿プレイは別とする。



今日、ボクはジジイとババアが嫌いになった。



めでたし、めでたし。