来年、齢30を迎える男にとって命に関わるコトダマ。

『チンチン出すのわかってたら呼ばんかったのに。』



ボクたちが今までお世話になっていたハコは何でもかんでも許されていた。ステージや客席がビールでびしょびしょになってもニコニコと笑顔で肩を叩いてくれた。そんなスタッフさんたちにボクらもニコニコとニコラスケイジのようなヘアースタイルになるであろうこと間違いない未来を受け入れながら感謝の気持ちを客席で七夕野郎と化し、はしゃぐことで恩返しした。とても素敵なハコだったが今はもう誰もいない別のハコになっている。

先日、初めてのハコでライブをさせて頂いた。トリをつとめるバンドさん以外は何度も対バンしているバンドさんばかりだったので楽しく過ごせた。でもそれは全バンドのライブが終了するまでだった…。

閉場したハコで売り上げチケットの精算とミーティングをしていただいている際にスタッフさんから『ドラムの人はいつもチンチン出すんですか?』と聞かれた。ドラムはライブでのポコチン露呈率は6割で、スタジオ練習での露呈率は9割強のエースだが、もちろんボクは『偶然な事故です。』と嘘をけつかんだ。するとスタッフさんは極めて冷静に『チンチン出すのわかってたら呼ばんかったのに。』と角が立つような発声をした。それを聞いた瞬間にボクは『カチン!』ときた。ポコチンが。
思い出した。昔々のことを思い出した。ボクらは言っていた。ボクらは確かに言っていた。『演者がポコチン出すのはアカンで。』と確かに言っていた。いつからだろう?どこからだろう?なぜだろう?ボクらは何だろう?ボクらは誰だろう?何かを思い出した。ハッキリとしてはいないが何かを思い出した。ボヤけてた何かを思い出した。でもそれがボクらに必要なのかはわからない。

帰り道、来年30歳を迎えるボクたち3人は久かたぶりに落ち込んだ。そして『露呈』はあくまでもドラムが個人的に勝手に起こしたアクションであり他のメンバーには一切の関係と責任はないとして片付けられたとさ。
めでたし、めでたし♪