【鼻刑事サムライの話】

注:刑事=デカ


このエピソードは長くなる・・・

なのでイヤだと思う人は読まないことを薦める。


『男はガツンと構えとけばええねん!!』


私の所属するバンドでドラムを担当している男の言葉である。

彼の瞳はブラウン。

彼に会った人々は『凄い!!』という言葉を残す。

その言葉を残した人々は、既に、彼の世界へとズブズブ飲み込まれている。

彼は大勢の人々を魅了しては自我の世界に飲み込む。

まるでアリ地獄のような彼の軌跡を、様々な証言やエピソードで記録したい。 

もちろん本人の了承は得ていない。


【彼と同じバンドに所属するセックス依存症ベース担当の証言】

まず、男前やね。

鼻がデカイね。

釘で言うたら五寸釘やね。

偉人って鼻デカイでしょ。

ジャッキーとか中井貴一とか…

芸能人で言うたらトヨエツに似てるわ。

そんで彼、女・子供・老人には容赦しないね。

最近は、居酒屋で『女子プロ的』な仕上がりしたオバサンにナンパされてたよ。

それから…確実に足が短いよね…。


この証言でわかるように彼は容姿端麗。

短足を除けば…。




【 同じバンドに所属するアブノーマルでEDなギター担当の証言】

あぁ…アイツなぁ・・・

最近、クランケ(彼)は無職になりましてヒゲボーボーやったから、僕のバイト先を紹介したんですわ。

そんで一緒に働いてるんすよ。

ホンマかなりきつい肉体労働ですわ。

見て下さい僕の筋肉!!

素敵でしょ!!

相当いい腕してますでしょ!!

男って感じでしょ!!

筋肉は嘘つきませんからねぇ…。

もちろん仕事だけでは、こんなバディにはなりません!!

鍛えてますから!!

男の鎧と言えば筋肉!!

…え~と、クランケ(彼)の話ですよね・・・なんせ仕事はキツイです。

そんで休憩の時にクランケ(彼)を見たら鼻毛が出てたんすわ。

仕事前は確かに出てなかったのに・・・。


推測するに、クランケ(彼)の成長は通常の人間より遥かに速い。




【顔が長い疑惑の浮上している元ベース担当だった教師の証言】

ヨーヨーマッ!!

アレ(彼)はヤバイっすよ!

年上ですけど、アホすぎますよ!

スキルが高すぎますよ!

しばきたいっすよ!




【高校時代の同級生の証言】

彼ねぇ・・・

胃腸が弱かったんちゃうかなぁ。

よく『ハラ痛い、ハラ痛い・・』言うては我慢してたわ。

そんで、タマゴサンド食うてたなぁ。

そういえば登校時、彼が腹痛を我慢しながら歩いてたら、H君って子が傘で彼の足つっついて、彼がキレてたわ。

あと、口癖が『一番』やった記憶があるわぁ…。


これでわかるように、彼は我慢強い一等賞なのです。




【彼の 幼少時代のエピソード 1】

…当時の彼は元気ハツラツ好奇心旺盛、まさに『浪速のピーターパン』だった。

ある日、彼は草を食べていた。

もう一度言う。

草を食べていた。

菜食主義とかではない。

単に草を食べていた。

一般に雑草と呼ばれている草を食べていた。

その事がオカンにばれた。

そしてオカンに『今度!! 草!! 食べたら!!施設に入れるでッ!!』と叱られた。

それ以来、彼は『施設』と言う言葉に恐怖し、草を食べなくなったという。

そして無事に成人を迎え現在に至るまで、施設のお世話になる事は今のところまぬがれている。

その反動の為か、彼は居酒屋などで料理にそなえつけてあるレタスなどのハッパ系をムシャムシャ食べている。

まるで空を自由に飛ぶピーターパンのようにうれしそうな笑顔で…。




【彼の 幼少時代のエピソード 2】

『ブーメラン』を皆様は知っているだろうか?

ブーメランで遊ぶ場所といえば広い公園のような場所を選びます。

地球上には様々な人が生活しています。

少し、信じがたい事なのですが事実です。


彼がブーメランを投げたのは…家の玄関です。

普通の家の玄関です。

しかも友達の家の玄関です。

ブーメランを投げたと同時に花瓶が割れました。

玄関だから、あたりまえ。

友達のオカンに叱られました。

もちろんブーメランが自分の手元に返ってくる事は無い。

彼は泣く。

ブーメランは友達のオカンの手の中にしっかりと握られている。

彼の中に眠っていた『野生の血』が鎖を噛み切った瞬間でもあった…。




【彼の 幼少時代のエピソード 3】

彼は動物に詳しい一面がある。

飼育されている猫とノラ猫の見分け方、他に色々と動物に関する知識は豊富である。

それをふまえたうえで聞いてほしいエピソードを紹介する。


彼は幼かった。

インコを飼っていた。

かわいがっていた。

ある日の午後だった。

家族は誰もいなかった。

彼は喜んだ。

それは彼の独断だった。

それは間違いだった。

インコの放し飼いが始まった。


…逃げられた。

…当然の結果だ。

窓を開けたままだった・・・。




私は彼を理解したい…

彼の放し飼いは『家』ではなく『地球上』だったのだ…。

そうでなければ窓を閉めていたに違いない…。


そんな彼も意外にオチャメだ。

ブリーダーの意味を間違えていた。

つい最近の話だ。


彼はブリーフのリーダーの事を…


大人なので皆まで語る必要は無いだろう…。



結局、彼は単なる『鼻デカ兄さん』だ。


そんな彼の得意とするウインタースポーツはスキー。

彼の滑るその姿は人々を魅了する。


彼はいつしか『ゲレンデの王子様』と呼ばれるようになっていた。


そんな彼でも悩みがあるのだ。


それは…

いつか人の命を奪ってしまうのではないか…という悩みだ。

なぜなら彼はゲレンデで滑る事があっても、『笑い』で、すべる事は無いのだから…

いつの日か人を『笑い死に』させてしまうときが来るのではないか…と悩むのだ。

その日が来ない事を願う彼…そんな彼を私は応援し続ける。




私は瀕死の状態に陥れられたことがある。




何度もある・・・。