J・G・バラードの作品を久しぶりに読み返したら、よく作りこまれているとは思ったが、どれも長いと感じる。短編だが、半分以下でよいと思った。彼の長編は最近の、ほぼ間違いなく分冊になる作品群、例えば「三体」とか、「プロジェクト・ヘイル・メアリー」、その他たくさんなどに比べると短いが、でも読むのはしんどい。年のせいということもないと思うけど、一概に否定できない。ああいう長物好きはハインラインの後期からか。「神の目の小さな塵」や「ハイペリオン」なんかで加速した気がする。ただ、全く当たり前ながら、長くても自然に読める作品があり、短くて端折りたくなる作品がある。

 描き込みは退屈かもしれない。それは作品の出来の良さを褒めたくなる要素かもしれないが、読む側の気力の点でどうなのだろう。

 コミックスは速い。今小説を読むと長いなあと思う。コミックスは視覚的情報が多いから早いのだが、ちゃんと情報量は入っている。一日かけて読む小説のレベルを、一時間で終われる。ただし、だからコミックスのほうが良いという意見になるわけではない。

 これは私の、物語が好きではないという性質からくるところが大きいものだと思う。コミックスは好物だが、スポーツものとかは好きではなかった。ここでヒットを打って逆転とか、池越えのアプローチをうまくクリアするとか、どうにでもできてしまうじゃないかと思ってしまうと、続きに興味がなくなる。新しい技名を唱えるだけで敵を倒してしまえる類の漫画もだめ。

 結局、雰囲気でしか読んでない。漫画も、活字も。一応言い訳しておくと、雰囲気を追うことは浅い読み方ではないと思う。気質が合うということもあるだろうから。SFで言えばシマックやブラッドベリなんかは、異世界なのに、アメリカの田舎町の落ち着いた感じが漂っているし、謎解きの出来としては後発のミステリに劣っているのにホームズだけが生き残っているのはたぶん昔のロンドンの雰囲気が出ているからだろう。

 敵を倒すというタイプが嫌いと言ったが、その割には結構読んでいる。これは、キャラが可愛ければ読んでしまうからで、これも雰囲気には違いない。こう言った時点で、雰囲気重視という主張の価値が下がるわけだが、まあその程度だ。

 くだらないことばかり書いている。たいしたことは考えていないんだな。