(2010~)
1日のうち、病気の事を考える時間が増えていっていた。
意識して健康な体をイメージしてみても、重いもんは重いし痛いもんは痛いのだ。
まだまだ動くから大丈夫だと言い聞かせても、現実動かなくなってきていた。
日常生活にも支障をきたす事が増えた。
背けたくなるような現実だった。
車の運転もそうだ。
うちの車は古い小さい左ハンドルの輸入車だった。
パワステがなくハンドルが重い。
エアコンが全然効かない。
半分マニュアル車だった為坂道の運転が大変。
サイドブレーキが重い。
とまあ、健康に問題のない人でもよっぽど好きじゃないと乗りたくないような面倒臭い車だった。
私はそんな面倒臭くてカッコいいその車はとても好きだったが、色々支障がでてきた体にはキツかった。
皮膚が引っ張られ腕が上がりづらくなっていたし、
指は拘縮で右手はハンドルを握れなくなっていて、
首回りの皮膚も動きづらい。
目的地にたどり着いても運転に疲れてしまってしばらく車から降りられず、逆に何か用事を済ませて車に乗りこんでも乗りこんだ途端ぐったりしてしまってなかなか発車できなくなっていた。
ある日の診察日、
朝娘を保育園に送りそのまま病院へ向かった。
駐車券が左の席からはとれずサイドブレーキをひき一旦車から降り駐車券を取る。
後ろの車に頭を下げ急いで車に乗りこむ。
大体は混んでいて入り口から遠い場所にしか停められない。
車を停めた時点で既に疲れてしまっていた。
重い体をおして病院へ。
膠原病内科の待合室には脚の動きにくくなった私でも座って立ち上がれる椅子があったけど、
皮膚科の待合室には低い椅子しかなく、
1度エイっと座ってしまうと引っ張ってもらわないと立ち上がれなかったので、
待ち時間はひたすら立っていた。
診察が終わり、会計までの時間にATMでの用事を済ませようと並んでいたら、
見事に財布の中のカード類をぶちまけてしまった。
よく物を落とすようになっていたがこれほど盛大にやったのは初めてだった。
前に並んでいた人に
「すみません、しゃがめないので拾ってもらえますか」と頼み
財布に入れてもらった。
病院内でよかった…。
情けない…。
そんな思いで会計を済ませようとすると、駐車券を車の中に忘れているのに気がついた。
まーじーかー…
会計時に駐車券を通さないといけないのに。
泣く泣く脚を引きずり車に戻った。
助手席に忘れられていた駐車券を手に取り
(ここで座ったら立てなくなる…)と思うものの
座らずにいられず、30分ほどぐったりしてまた車と会計窓口を往復した。
昼前には終わっていた診察が、車に戻る頃には2時すぎ。
痛くてしんどくて情けなくて車の中でダーダー泣いた。
泣く泣く取りに行った駐車券に本当に泣かされてしまった。
疲れてそのまま1時間位寝てしまい、あっという間に夕方になっていた。
心も体も余裕が無くなってきていたのに誰かに助けを求めようという考えがなかった。
『病気に負けないように頑張ってる』とは言っていたかもしれないが、
つらさや痛さを訴えた所でわかってもらえないと思っていた。
ひねくれた不器用な自分が嫌になる。
乗れなくなり手離してしまったあのかわいい車。
元気にしているだろうか…
スクラップにされてないといいなあ
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