第17回 「覚」の特別解説 「伊都内親王願文」 俯仰法解説 | 熊山のブログ

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第17回 行書 「伊都内親王願文」 
」の用筆 解説
俯仰法とは、手首を自由自在に使う用筆法で、
(右に進むとき掌(手の平)は仰(あお)ぎ 、
 左に戻るときは掌が俯
(ふ)す)
という意味です。
書き直しついでに、解説します。



俯仰法で書くと、手の平が上を向いたり下を向いたりしますから、
紙に付いている筆面もまた表裏が入れ替わります。

タテの画の書き始めの時は、
「手の平」を確実に上に向けて、逆入で入り、
「手首」を左にひねって手の平を下にします。
そうすると、筆鋒の穂先部は「左捻れ」を起こし、
そのまま下に運筆すると、
ねじれで筆面が「表裏入替」となるのです。

この時の、穂先の動きを、
細線で表現しました。



細部は、
カンムリの書き始め


最後の部分



右横に運筆する時は、
掌は上を向きます。
続けて、下に降ろす「カギ」の部分を書く時は、

下に引く前に、一度「一旦停止」をします。
右傾した筆管(掌が上を向いているから)を止めて、
垂直にします。
 この時、掌は下を向きます。

次に、筆面の入替が為されるように下に降ろします。

難しいことはありません。
 「筆を立てる」ということは、
  「手首を左にひねる」こと。
   =掌を下に向けること です。
これが俯仰法です。

この下の「
覚」は、「 ワかんむり 」の1画目が短すぎたので上の通り、書き直しました。


俯仰法を使ってすべて書きます。
[俯仰法] の説明は、最下部にあります。
もちろん、運筆時には『抑揚』という動作も必要です。[俯仰法]・「抑揚」の解説

 <俯仰法>
筆を運ぶ方に筆管を倒して書く用筆法で、右に進むとき掌は仰ぎ 、左に戻るとき掌が俯すのでこう言う。

手首を使います。
送筆時の運筆の速度は速目。
始筆部への入筆はゆっくりと、落ち着いて。
入筆したら、一度ゆっくり筆圧を溜め、穂先に弾力・たわみを確実につけます。
終筆部を書き終わった時も、落ち着いて一旦筆の動きを止め、穂先に軽く弾力たわみを付けます。
速く筆を運ぶ所は、『虚線』の部分です。
楷書で言う、画と画のつながりの部分。
離れているからと言って、前画の終筆部から筆を離した時に、運筆が止まってはいけません。
筆が紙から離れたら、即座に次の画(線)の入筆部まで筆を運びます。
<抑揚>
運筆時、筆管を上下に変化させ、筆圧の強弱をコントロールします。
だいたい、
始筆時に筆管を下方に押し下げ、筆圧を強くします。
送筆部に移りながら、筆管を引き上げつつ運筆します。