元々、好きな作家さんの作品、ということもありますが、扱っているテーマが、

『労災』ということで、購入し、読むことに。


感想はというと、盛り上がりはやや弱い(ストーリーと設定的に仕方ない)ものの、

ここ数年の石持作品としては、良作かと。


労災が起きたのに隠してしまった素材メーカーの研究所職員たちが、労働基準監督署の臨検がくるというので、大忙しで対応準備してる最中に、倉庫で同僚の死体が見つかり、ひとまずその事実を隠して、労基署職員のヒアリングに望むというもの。



まぁ、メーカーって大小どこもそうだと思いますが、ぶっちゃけ、労災は会社によって頻度の差はあれど起きてしまうものです。


大企業の工場なら、その辺の対応は心得ていて、労災隠しなどはせず、報告し、社内において全力で、

再発防止に取り組むのですが。研究所って、その辺の意識が低い会社が多いようです。

この辺の、メーカーのリアルな事情の描写がされているのは、作者の石持さんも、メーカー勤務だからでしょう。


あまり書くと、ネタバレになるので、この辺で筆を置きますが、

何はともあれ、ミステリ―好きな人はもちろん、普段ミステリー読まない人でも、メーカー勤務の方や、

私のようなメーカー子会社で働く人にはなかなか面白く感じられる作品ではないかと思います。


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