春はあけぼの 超口語訳 第二十段 その3 | 横内ガラス

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平安時代のエッセイ集、面白おばさんの清少納言さんの傑作よお!

御存じ「枕草子」

誰でもわかる超口語訳でお送りしておりまする!!

今回はかの「清涼殿の丑寅の隅の…」の3回目で~す。

 

さて前回、天皇様の前で、

何でもいいから浮かぶ歌を書きなさいと言われて、

清少納言のおばさんが書いた歌…

「年経てば齢は老いぬ然は有れど花をし見れば物思ひも無し」

年月が経ち、私も年取ったが、そうはいっても美しい桜を見れば、何も思うこともないですね。

っていうような意味なんですがね… 何を仕掛けたのやら…

 

 

この歌の第四句の「花をし見れば」の部分を「君をし見れば」と書き換えてお渡ししたの。

天皇様が御覧になって、

「そうか、この心映えが知りたかったんだよ」

と、上機嫌でおっしゃって、もう私は思いっきり感動しちゃったのよね~

このやり取りを御覧になっていた中宮様が、

何気なくついでみたいに私が和歌を書き換えたのと、同じようなことがかつてあったわと話されたの。

「これはここにおられる一条天皇様のお父様の円融院様が、まだ天皇でおられた頃ですの。

有る時円融院様の御前で、紙をとじた草紙を示されて、

ここに和歌を一首かきなさい、と殿上人たちに仰せられたのです。

誰もが困ってしまって、御辞退する人が相次いだのです。

筆跡の良しあしは問わないし、書いた歌が今の季節に合わなくてもいいから、とおっしゃるので、

困りながらも、皆が何かを書いたところ、

今の関白、私のお父様がまだお若くして三位の中将でいらしたのですが、

 

 潮の満ついづもの浦の何時も何時も君をば深く思ふはや我が

 (潮が満ちたいづもの浦のように、いつもいつもあなたことを私は思っています)

 

という歌の、第五句の [思うはや我が] はこのままでは恋愛の雰囲気なので、

[頼むはや我が] と変えて、天皇様に対する臣下の情に読み替えたのです。

そのことを円融院様はとても喜ばれたそうですよ。」

と、中宮様がおっしゃったのよ。

こんな恐れ多い先例に例えられた私は、恥ずかしいったらなくて、汗が噴き出そうだったわ。

誰もがよく知ってる和歌の言葉を入れ替えることも、目の前にお出での天皇様を称えることも、

ある程度の人生経験が必要だから、若い人にはなかなかできないかもね~

いつもとても上手に描く人も、しなくてもいい緊張から、皆気後れしちゃって。

かき間違って紙を汚す人もいたほどよ。

 さらに興に乗った中宮様は、古今和歌集の冊子をお前に置かれて、

和歌の上の句だけを口にされて、「この下の句はどういう句かしら?」と聞かれる。

夜の弘も気にかかっているので、よく覚えている歌もあるのよ。

でも、いざってなるとよく覚えてなくて、下の句を答えられないなんて、なんてことだろう!

同僚の一人の才女の誉れ高い宰相の君は、さすがに十首ほどは答えられたわ。

でも、それじゃ古今和歌集を覚えているうちには、とてもはいりゃしない。

まして、五首か六首くらいしか言えない人はね~

忘れましたって申し上げて、恥じるべきなんだと思うけど、

「それでも、存じませんなんて、そっけくお答えするなんて、中宮様に申し訳なくて、

とても私の口からは申せません」なんて言って残念がってる、笑っちゃうわ。

「下の句を知っております」って女房が誰もいないと、中宮様はそのまま下の句を読まれる。

その下の句を聞いたとたんに

「あ、そうそう、それですよ、その歌は存じてましたのに。ど忘れするなんて…

私ってどうしてこんなに記憶力が良くないのでしょうか」

なんて言って、嘆いている人もいる。

 

今回はここまでで…

余りの暑さに私も集中力がどこぞに隠れてしまっております。

頑張ってまた書きますが… いつのことやら。