Uターンの汽車の中でのこと。
大きな荷物を網棚に載せ席に着いた私の前に、たまたま若い女性二人が座った。
正月はずっとジジババの相手で日本の平均年齢をかなり高く見せられた直後だったので少し安心した。若者ってのもまだ居るよな。
その娘さんの一人は椅子に座ると「よいしょっと」と言いつつ鞄から本を取り出した。
その時点までなんとなく視野に納めている、ぐらいのスタンスだったけどその瞬間に私は目をむいた。思わず一瞬ガン見した。普通の本じゃねぇ。
さして大きくも無いバッグから取り出されたその本はとても分厚い。そして表紙がなんか禍々しい。講談社ノベルス。
まちがいなく京極夏彦だ!
まじかよ…。どう見たって京極夏彦を読むような服装じゃないじゃないか。いや、別にどんな服着て読んだっていいだろうけど、もう一人の女の子は髪とかピンク色じゃん。爪とかしっかり塗ってあって、アクセサリーをいくつもつけたりしてその手の中にあるのが本ではなくケータイならごくありふれた格好でそこに京極夏彦を持ち出されるとさすがにびっくりするわ。
たぶんあれはウブメの夏だったんじゃなかろうか。私が読んだ事が無いからはっきりとは判別できなかった。
そのとき私の手元にはハガレンの新刊。負けた。