重力ピエロ | フェンリルの胃袋
大学の方の手続きで松江~鳥取大学前を往復する。わりと時間が掛かる。紙束をいくつか抱えていると時間はいくらでも潰せるので、本屋へ。
紙束なら何でも好いとはいえさすがに漫画だと間が持たないので文庫本のほうへ。
新潮文庫が「私の好きな作家ベスト10」を出してそれでフェアをやってた。
1位 宮部みゆき うむ。本命でしょ。しかし宮部みゆきはたいがい読んでるので今回はスルー。
2位 江国香織  高校時代にいくつか読んだけどよくわからなかった。今読んだらたぶんもっと分らないのでスルー。
3位 伊坂幸太郎 キタコレ。陽気なギャングの人だ。安心して読める人だともっぱらの評判だから、今回はこの本にしよう。
って流れで「重力ピエロ」をYonda

伊坂すげー。この人の本読んだのはこれで3冊目だけど、うん。完敗。乾杯でもいい。
まず普通に1回読んですごい。すんごい暗いどろどろでぐちゃぐちゃしてもおかしくない話の種を蒔きつつ、なんであんなに気持ちがよく読めるのか。巻末の解説の人の言葉を借りるなら「読むのが愉しくて仕方がない」
次に2回目に読んですごい。話が佳境になって、物語をあらかた理解しつつ食い入るように最後まで読むとそこで新たな発見がある。発見というか伏線というか。最後に全部の答えが載ってるクイズ本みたいなもんで答えを聞いてから、え?あれも伏線だったの?みたいな。いやさ、初見でかすかに引っかかってもそれを終盤まできれいにつなげて持ってくる展開がすごい。1回目読むときにはたぶん弟の行動に注意が行くのが、2回目では兄・主人公のほうが狂気を抱えていることを知る。そんで私は2回目以降は物語を行ったり来たりしながら読むんだけど、途中から兄弟の共通点とか父親とかストーカーとか散りばめられてる破片を拾っていくと最後には綺麗に全部ぴったりと枠にはまって[重力ピエロ・伊坂幸太郎]が完成するんだな。すげー。
「本当に深刻なことは、陽気に伝えるべきなんだよ」
「重いものを背負いながら、タップを踏むように」
「ピエロが空中ブランコから飛ぶとき、みんな重力のことを忘れているんだ」

この人の本はもっと読みたい。できれば全部読みたい。この人のデビューが00年なのは幸か不幸か。読んで読めない量じゃないのがなんとも微妙(財布が微妙