もちろんギブソンではなくグレコだ。
その頃は区別がつかなかったので、楽器店の店員さんがプライスを付け間違えているのだと思っていた。0を1個ね。
なので、レジで会計するときに本来の(ギブソンのね)価格を請求されたら逃げるかキレるか迷っていた(笑)。
この話をすると、
『ヘッドにGrecoって書いてあったやろ』
と言われるが、その頃は楽器にブランドがあることさえ知らなかったのだ。
黒いレスポールカスタムと言えば、当時の俺の中ではシーナ&ロケッツの鮎川さんと、ARBの斉藤光浩さんの御二方で、よく分からんがプロが使っているので高価なものなのだろう。としか認識していなかった。
で、購入して数ヶ月後に様々なことを知るわけだが、そのときはそれを知る由もないわけで、ランディ少年は代金を支払ってギターを受け取ったあと、逃げるように家路を急いだのだ。
たしかエスカレーターを走って降りた(笑)。
俺の世代より上の人にしか分かるまいベスト電器でだ(笑)。
その後、レスポールはカスタムよりもスタンダードに魅せられることになるわけだが、ふとしたきっかけで、レスポールカスタムへと戻ってきた。
それもまたグレコの(笑)。
グレコ愛用はその後も続き、買い替えてもグレコだったりするわけだが、俺の好きな年代のグレコは、本家のレスポールカスタムをコピーしているとはいえ、1970年代後半の少し特殊な仕様の頃を模倣しているため、一般的なレスポールカスタムとは別物だった。
ま、変わり者なのでそこに惹かれたわけだが(笑)。
しかしながら、たまたま手に入れた本家のカスタムがコトノホカ素晴らしかったために、ここでようやく本家のカスタムの良さに気づくわけだ。
思えば41歳の春であった。
あれほど冷たい目で見ないでと歌ったにもかかわらず、そのカスタムとは無念のお別れを迎える。
何もできないで!
別れを見ていた俺は!
まるで無力な俺は!
まるで!まるで!
はぁはぁ。興奮してしまったことを詫びます。
あいすみません。
話が飛んだが、レスポールカスタムについて憧れと後悔の念を持って猛勉強したわけだ。
マニアだけでなく、一般の『レスポールカスタムが気になるのよ』という人さえもターゲットにしたせいか、俺的には掘り下げ具合が浅くて不満が残る内容ではあったが、ページ数や予算の都合もあるだろうことを考慮すれば、また、先駆者的な意味合いも含めれば、これは歴史的な一冊となるだろう。
これのジュニア版も出してください。
ねがわくば、スペシャルを一緒にしないでください。
話を戻そう。
レスポールカスタムと言えば、指板にエボニーを使用している。
ボディーは年代によって異なるものの、それなりに『カスタムの音』には一定の傾向が見られるので、それはエボニー指板による効果が大きいと思われる。
これはZEMAITISなど他のエボニー指板のギターにも見られる傾向なので、カスタムの音というより『エボニー指板の音』なのだろう。
そして、俺はそれらの音が好きなのだ。
レスポールカスタム。
俺の永遠のテーマのひとつである。
