ノーゲーム・ノーライフ【序初】敵督 出典:フリー百科事典Wikipedia 

 
 
 
 
物語
『 』(くうはく)――それはあらゆるゲームで連勝を重ね、チート、アシストツールなどどんな手段を使っても勝てないとされる天才ゲーマーの名前であった。あらゆるゲームで無敗の記録を持つことから一部では都市伝説とされている。

その『 』の正体である空と白はある日、「生まれてくる世界を間違えたと感じたことはないか」と書かれたメールを受け取る。世界を「クソゲー」と呼ぶ『 』の答えを聞いたメールの送り主・テトは『 』を自分の世界へ召喚した。そこは知性ありしモノと主張する【十六種族】と世界の絶対法則【十の盟約】の下に、『 』が夢見ていた、この世の全てが単純なゲームで決まる世界――盤上の輪廻 (ディスボード)だった。

登場人物
『 』(くうはく)
「『 』に敗北はない」と「ゲームは始める前に終わっている」が信条であり、あらゆるゲームで無敗を誇り、ツールアシスト、チートを使っても勝てないとされる都市伝説にまでなった最強のゲーマー。

その正体は空と白の2人組の義兄妹。

唯一神テトにゲーム(ネットチェス)で勝ったことによって異世界へと召喚される。

一人では他者とのコミュニケーションがほぼ不可能なほどのコミュ障なので、いつもお互いが認識できる(物理的な)範囲にいる。

280を超えるゲームで頂点に立ったが、『リアル人生ゲーム』と『リアル恋愛ゲーム』の2つだけはルールも理解できずまともにプレイしたことがない。またドラッグオンド○グーンには深甚なトラウマを持っている。一度、ゲームでえげつない手を使い勝利した相手から住所を特定され大急ぎで引っ越した経験もある。また、初期の頃はゲームセンターにクレーンゲームをしに行くなど全く外出をしていなかったわけではない。 既に亡くなっている両親たちにも疎まれていた。 現在はエルキアの国王・女王で人類種の全権代理者。

ジブリール曰く、“構造上は確かに人類種”だが、ディスボードの生物なら遍く体内に宿しているはずの精霊が“一切”感知できず、それをもってジブリールは2人を“未知”と定義している。

対神霊種戦の中で、『大戦』を再現した“戦略シミュレーションゲーム”をジブリールに仕掛けられた際、敗者が死ぬルールにされてしまい、誰も死なせないための方法を選んだことで初の敗北を喫している[注 1]。

文字通りの「世界一のゲーマー」の座をめぐるゲームを唯一神であるテトと行うため、多種族国家の同盟である“エルキア連邦”の形成を行っている。

空(そら)
声 - 松岡禎丞
本作の主人公。18歳。無職・童貞・非モテ・コミュニケーション障害・ゲーム廃人・白の義兄(再婚の父親の連れ子)。
ゲームにおける役割分担は文系分野。歴史や社会、経済、政治、法律(ルール)などの人(意思の介在する存在)[注 2]に対する分野が得意。そのため、ゲーム理論から修辞学・レトリックなどを駆使し、ひたすら相手を“欺く”ことによって勝利をもたらす。ただし、自分自身に対しては絶対に嘘はつかない。自分自身に才能(強さ)はないため、徹底的に相手を自分の独擅場(底辺)に引き摺り下ろす戦法を磨いた結果として、これらのスキルを身につけた。
駆け引き・読みあい・揺さぶり合いなどの「不確定要素」を見抜くことに非常に長け、その卓越した先読みは、すでに未来予知に近いものとなっている。その上相手のあらゆるイカサマを見切る洞察力もあり、コールドリーディングを得意とする。ただし、不完全な勝利や、相手も楽しめないようなゲームを嫌う傾向にある。
他者の思考を読み取る能力に長けている一方で18年間童貞を続けているだけあって、恋愛に関しては非常に鈍感。
人類は自分を含めて無能だと思っているが、白に出会い、人類の中に存在する“天才”の可能性を信じられるようになった。
白と離れることができず、趣味と実益を兼ねて全年齢と18禁の境目を模索中。また童貞ではあるが、海棲種の女王が空の毛髪を元に勝手に作成した娘がいる。
白(しろ)
声 - 茅野愛衣
本作の主人公。11歳。不登校・友達なし・いじめられっ子・対人恐怖症・ゲーム廃人・空の義妹(再婚の母親の連れ子)。
真っ白な髪と赤い瞳が特徴の美少女。
ゲームにおける役割分担は理系分野。数学や物理の演算から、ゲーム理論を用いてチェスを「○×ゲーム」と断じる。数学で記述できる事象や、論理が介入するもの、あるいは自然法則など、意思の介在しない分野が得意。
あまりにも天才であるがゆえに、周りに理解されず孤立していた。1歳にして言葉を発し、その言葉を聞いた母親を恐怖させ、『白い壁の建物』にて3歳までの2年間を過ごし、「知能検査」と称したゲームでは全て「計測不能」とされている。
チェスなどの二人零和有限確定完全情報ゲームやFPSを得意とし、チェスではグランドマスターを完封したコンピュータープログラムに先手後手入れ替えで20連勝した[注 3]。
ゲームにおいては数学を主体とした計算式による演算を行い、空とは別の手段で先読みを行う。
そのため、自由意志[注 4]が介入しないゲームにおいて、(チート、ツールアシストを用いても)白に勝てるものは存在しない。
空に兄以上の感情を抱いているが、バレないようにしているため、空本人にはまだ気付かれていない。
“人類種(イマニティ)”
種の駒はキング。【十六種族】の中で唯一創られることも望まれることもなく、自力で進化してきた知的生命。

位階序列では最下位にあたる十六位。身体能力も低く、魔法を使えず感知する力もないため、他の種族全てから蔑みの対象になっている。

全てがゲームで決まる世界・ディスボードは、かつて惑星規模の大戦乱がもう誰にも分からないほど長い間繰り広げられ続けていた。その中、テトが星杯(スーニアスター;後述)を手にし唯一神の座につき、世界は全てゲームで決まることを宣言、世界のシステムそのものを変更したことによって戦乱は終わり、現在の形になった歴史がある。そのかつての大戦乱を『大戦』、テトの宣言を【十の盟約】と呼んでいるが、その【十の盟約】以後、人類種が知性ありと称する16の種族すなわち【十六種族】に入ることができたという事実は『大戦』最大の謎[注 5]とされており、『大戦』後、世界に幾つもの人類種の国家が出来たことが語られているが、作中当初は唯一残された国はエルキア、しかも首都周辺しか領土がないというほどに追い詰められていた。

大戦時、種族としての名は無かったが、唯一神になったテトにより「免疫(immunity)」を意味する『イマニティ』と名付けられた。

ステファニー・ドーラ
声 - 日笠陽子
人類種の先代国王の孫姫(元王族のため爵位は公爵)。通称「ステフ[注 6]」。18歳。Gカップ。 赤とピンクが混じった髪で青い目の美少女。
空と白にはゲーム分野において馬鹿だとイジられてるが、エルキア最高のアカデミーを首席で卒業するほど優秀で、政治・経済・法律などの国家運営に関わるプロフェッショナルである。本作のいじられキャラにして数少ない常識人であり、内政を全くしない兄妹に代わって国の政治を執り行っており、行政権に加え立法権も委託されている。すなわち事実上エルキア王国を支配しているのは彼女である(立法兼行政は、現代社会においては総統の地位に等しい)。しかし自嘲して曰く「ただのパシリ」で過労で精神がハイになったり突如気絶するなどの行動が増えている。
祖父を大切に思っており、その思いを踏みにじる者には怒りをあらわにする。作中序盤においては直情径行な性格であり、心理戦や駆け引きには滅法弱かった。そのため、特に対国家・対種族戦のゲームでは戦力外とされるが、一方でそれ以外の面では空白の二人からなんだかんだと非常に信頼されている。
『 』に対し毎日のようにゲームを挑むも負け続け、ゲームの賭け金として度々全年齢と18禁の境目を模索する空の実験台にされているが、敗北するたびに学習していったため、ゲーム技術は向上し、普通の人類種では相手にならないほどに上達している[注 7]。
空に好意を持っているが本人は頑なに否定している。
クラミー・ツェル
声 - 井口裕香
国王を決めるゲームを行っている際、ステフが敗れた相手。森精種と手を結んでいた。18歳。
黒いベールで顔を覆っており暗い印象を与えるが、緊張の糸が切れるとすぐに泣き出す子供のような一面もある。胸が小さくパットを入れてごまかしている。
位階序列七位・森精種の名家であるニルヴァレン家に隷属する状態が曾祖父の時代から続いている。そのため、人類種であるが所属はエルヴン・ガルド。
『 』との2回目のゲーム内において空と記憶を共有し、その結果を恒久的に定着させたために、空に対して深い信頼と敬意を持つようになり(ただし、プライドがあるため表面上は否定している)、それ以降人類の可能性を信じ、彼らを超えることを目標にしている。
先王(マハコート・ドーラ)
声 - 福島潤
ステファニーの祖父。死後、遺言により『次期国王選出』のギャンブル大会を開催させる。
他種族との数々のゲームに負け続け領土を奪われたため、民から『愚王』と罵られた。が、実際は他種族のゲームの手の内を暴くために尽力し、名誉、名声、誇りの全てを捨てて人類の可能性を信じ、最後まで戦った。その気概・気迫は雰囲気として隠し書斎に残されており、『 』のみならず、その時は人類種を言葉を話す猿程度にしか思っていなかったジブリールすら神妙にさせるほどだった。
先王が残した記述は、空たちの他種族とのゲームにおける勝利にも貢献している。
大戦中の人物
リク・ドーラ
声 - 松岡禎丞
大戦時の人間であり、当時は2000人弱の集落を率いていた。容姿は空と似ている。
龍精種と機凱種が交戦した際の流れ弾で生まれ故郷が壊滅、両親を亡くす。その後はコローネのいた集落にたどり着くが、その集落も後に壊滅し、直後の子供離れした判断力により、僅か13歳にして1000人超の集落の長を任された。
2000人を生き残らせるために累計48名の仲間に死ぬことを命じており[注 8]、その行為に矛盾を抱え日々苦悩していた。
普段は本心を隠し、偽りの自己を形成して凌いでいるが、自分の部屋の中でだけは感情を爆発させる。
シュヴィによって自分の本心(誰にも死んで欲しくない)を暴かれ、シュヴィと「幽霊」を率いて大戦を終わらせるため、大謀を計略する。
大戦を終わらせる決意をした後にシュヴィに求婚し、(おそらく史上初である)異種族間での結婚をした。
最終的にはシュヴィを犠牲としながらも星の核を貫くことで『星杯』を出現させ、大戦を終わらせたが、リク自身はその余波で消失してしまう。
テトはリクとシュヴィを現時点の『 』よりもずっと強いと評している(『 』が攻略を保留にしてるリアル人生ゲームに真っ向から挑んで“引き分け”まで持ち込んだ点を踏まえて)。
空との違いは、“自分自身すら欺く”大人としての要素を持ち合わせていることである。
大人と子供の両側面を持つがゆえに空よりも勝るが、それゆえに片方の自分に嘘をつくことになり、大戦終了時には後悔を残しながら死ぬこととなる。
また、リクは最後まで“カッコよく生きる”のに執着していたが空は最初から“最高にダサく生きる”ことを根本に据えているために対比になっている[注 9]。
コローネ・ドーラ
声 - 日笠陽子
集落の住人の1人であり、リクの義理の姉(コローネがリクを弟にすると言い出した)。リクからはコロンと呼ばれている。
自称、滅びた国の王族の一人であると主張している。
遠征時に真ん中から折れた道具を地精種の「遠距離望遠鏡」であることを瞬時に見抜き、犠牲覚悟で持ち帰ることを提案するなど、観察力と洞察力はかなり高く、また、試行錯誤の末に精霊で駆動しない手動式に改造するという優れた手腕を持つ。『星杯』の仕組みを1度聞くだけで理解するなど、頭がいい。
シュヴィが人間でないことに気づいてもそれを指摘しないほどにリクのことを信頼している。
リクとシュヴィの結婚式の仲人になり、幽霊として残すことができない書類の代わりに祖父から継いだ宝石の裏面に3人の名前を刻んだ。
リクが大戦終結に動き始めたため、彼に代わって集落をまとめる立場になり、大戦終了後にはエルキアを建国して女王となり人類種を導いた。後のエルキアにおいては、「生涯泣いた姿を見た者はなく、知性と笑顔に溢れた才女」であったと伝えられており、ドーラ家の誇りであるとステフは語っている[注 10]。
ステフおよび先王の遠い先祖である。
イワン・ツェル
声 - 大川透
集落の住人の1人。リク、アレイとともに地精種の空中戦艦の残骸を調査していた。
リクやアレイより1回り年上。面倒見がよく、リクの世代の者でイワンに借りがない者はいなかったという。
下位の妖魔種に遭遇し、囮となって死亡した。
後に彼が持ち帰った情報により得た戦略図によって、『幽霊』たちは地精種の『髄爆』の情報を得、さらに森精種の『虚空第零加護』の試験炉を発見するなど、大戦終結の遠因となってゆく。
クラミー・ツェルの祖先に当たる。
アレイ
声 - 興津和幸
集落の住人の1人。リク、イワンとともに地精種の空中戦艦の残骸を調査していた。
イワンより1回り若い。獣人語を完璧に話すことができ、大戦終結を狙うリクの「ゲーム」に「幽霊」の1人として参加した。
獣人語の血壊固体に対して、地精種の『髄爆』実験の情報を与える。
その際、『霊骸』を大量に服用し獣人種に襲われないようにした。
獣人種を誘導した後は、血清を使用し2日間痙攣したが治癒した。
マルタ
集落の住人の1人。イワンの妻。劇場版ではコロンがノンナの世話を見ていたため未登場。
ノンナ・ツェル
声 - 井口裕香
集落の住人の1人。イワンとマルタの娘。
クラミーの遠い先祖。
サイモン
集落の住人の1人である、年かさの男。
“天翼種(フリューゲル)”
種の駒はクイーン。位階序列六位。

『神に創られた、神を殺すための尖兵』であり、戦神アルトシュによって編まれた一種の魔法そのものでもある。空中都市アヴァント・ヘイム[注 11]を拠点とする。

頭上に幾何学模様を描き回る光輪を掲げ、腰部より一対の翼を生やした、まさしく「天使」という容姿をしている。

機凱種がアルトシュを倒すまでは、神霊種同士を除いて唯一“神殺し(神降し)”を成し遂げた種族でもあった(一回目の“神殺し”)。

兵器として創造されているために、戦闘行為ひとつひとつに「名前」は付いていない。しかし、唯一『天撃』だけはその威力の大きさと代償から名前がつけられている。

現在は8人の代表者と1人の全翼代理者(全権代理ではなく、あくまでも議長のようなもの)からなる政府機関“十八翼議会”の合議により政策などを決定している。

大戦中は首の収集を行っており、それぞれの種族の首にレア度を付けて競い合いもしていたが、大戦後は国取りギャンブルには興味が無いと参加せず、強い知識欲から、本に代表される知識の収集に尽力しており、種族の方針以外にも個人個人がその活動をしているようである[注 12]。

天翼種が伝統的に行うゲームは「具象化しりとり」のみである[注 13]。

なお、位階序列六位からは「生物」ではなく、「生命」と定義され、天翼種は魔法が生物の形を持った物のようなものであり、根幹術式から始まり、全てが「魔法」で出来ている。

ジブリール
声 - 田村ゆかり
十六種族序列第六位、天翼種の少女だが6407歳。戦神アルトシュにより『大戦』中に生み出された最終番個体(クローズ・ナンバー)。
空曰く「異常知識欲者」。書籍の重複を無くす目的で採決された書籍共有法法案には反対派だったが議席は4対4の引き分けになり、最終決定権を有する全翼代理が可決したため、単身で故郷を飛び出しエルキア国立図書館を先王とのゲームによって奪った[注 14]。
その後、エルキア図書館内にて『 』に具象化しりとりで敗れ2人の所有物となった。それ以降彼らのことを「マスター」と呼ぶ。“十八翼議会”の一対であったが、空と白の所有物になったことで議席からは外されている模様(影響力は健在)。空に至っては神格化され、亡き神に変わる存在として崇めている。[注 15]敵に対しては容赦ないが味方に対しては思いやりのある優しい人物で、全くの未知である異世界(空と白のいた世界)の知識をタブPCから得て、東部連合とのゲームで見事に銃さばきを見せるなど思考も柔軟。一方で非常に血の気が多い性格でもある。【十の盟約】により直接的な力の行使は基本的に禁じられている[注 16]ものの、戦闘力は極めて高く、全力の5パーセントの力で海を割り100パーセントで海を蒸発させる。また自分より上位の存在である幻想種、龍精種、巨人種を単独で倒したことがある(勝利の裏には数え切れないほどの敗北があり、修復時の暇を潰す目的で日記を始めている)。
大戦時、アルトシュに攻撃を仕掛ける、龍精種を討ち取ったジブリールを見舞ったアルトシュに苦言を呈すなど、他の天翼種には見られない行動を重ね、いつかアルトシュを討つと公言していた(その際、何人かの天翼種が卒倒している)が、修復術式の最中にアルトシュが討たれたため、未遂に終わっている。
大戦後は上記のとおり、敗北後は『 』と共に国取りゲームに参戦する。しかし元のスペックがインチキじみていたため(100mを2歩など)、獣人種戦では魔法が使えないことを忘れる、空と機凱種のチェス戦後の逃亡においては転移の穴の塞ぎ忘れ、地精種戦においては保有精霊量がオーバースペック過ぎるのでゲーム自体に参加できないなど、不憫な扱いが目立つ。
しかし、豊富な知識量や魔法能力などの桁外れの性能を活かし、対天翼種戦において、アズリールの説得や、少なからずの天翼種に空や白を「遠くない私たちのマスター」と呼ばせるほどに信仰させる、水棲種戦では事前の駆け引きで嘘の見破り、DODのBルートを再現するなど、要所要所での活躍はしている。
『 』に負けてからは、大戦時からの日記を綴っており、聖典として天翼種で配布されているが、浸透率はあまりよくない。また、神霊種戦にでは、サイコロを振るたびに自身の記憶が消えることに気がつき、サイコロがなくなった際にどうなるかを推測し自身が「兵器」であるにも関わらず恐怖を覚え、”自分ではない誰かが、自分のように振舞うこと”に恐れを抱いた。
また、同ゲーム内で「本来であれば、心踊る楽しいものになったのに、自分がぶち壊した」と反省しながら、『 』に6000年前の大戦を再現したゲームを勝負を挑み、差異はあれど大戦を知らない、いずなやステフ、『 』に凄惨さを見せつける。
これが後の機凱種戦において、少なからず功績を残している。
アズリール
声 - 堀江由衣
自称「ジブリールの姉」。天翼種の中で最初に生まれた最初番個体にして全翼代理。年齢は2万6千歳。語尾に「ニャ」とつける。
造物主アルトシュが死んでから『主を失った道具』の存在意義を見つけるために生きていた。終戦時、主を失い自害をしていく他の天翼種を目にし、アルトシュから託された「なぜ敗れたかを知る」という、本来であればアズリール個人への命令を全天翼種への命令と偽り、自害を止めさせ、以後6000年、知識の探求を続けてきた。しかし明確な答えは得られず、ほぼ諦観に凝り固まっていたが、『 』とのゲーム、そして「妹」ジブリールの手をさんざん煩わせて、ようやく答えに行きつく。
その際、空によって自害を止めさせていただけで、生殺与奪権がアズリールにないことをジブリール含め、他の天翼種にばらされるが、「6000年もよくバレなかったニャ」とおどけながらも、「喋り過ぎる」と、空の本質を見抜いている。
『 』とのゲームで人類種の本質を目の当たりにし、大戦時になぜ自分たちが人類種たちに関心を向けなかったかに疑問を持ち、大戦時の人類種の痕跡が一切残されていないことなどから、アルトシュの死を含めた大戦の戦況を人類種が影で操っていたのではないかと疑念を抱く。
アヴァント・ヘイムと意思疎通ができ、その力を使うことができるが、この時の『 』とのゲームの影響で人類種と同程度の能力に制限されている。この際、なぜか尿意までついている(ジブリールには尿意が”本来”ないため、魔法種族の天翼種には尿意はないと推測される)。
ジブリール誕生以前は現在見られるような能天気さは全く無かったようで、天翼種の管理者として非常に冷酷、冷徹であり、地精種の艦隊を潰す為にラフィールを盾に使い、神霊種討伐の際は「死んでもいい」と冷たく言い捨てている。
しかし、ジブリールが作られてからはジブリールにべったり可愛がる(当の本人からはウザがられている)など、過去を知るものと、現在しか知らぬもので評価は分かれている。
ラフィール
声 - 森なな子
古の大戦を生き延び、現在まで生存している天翼種の一人。
『四番個体』であり、ジブリール誕生以前のアズリールを知る数少ない生き残りで、左の羽が根元より先が無くなっている。
左の目を隠すように髪を下ろしており、サバサバとした勝気な話し方をする一方、力押しがもっぱらな天翼種の中では冷静さも併せ持っており、ジブリールからも「姉」と呼ばれるなど、他の天翼種からも”アズリール以上”に慕われている。
“森精種(エルフ)”
種の駒はルーク。位階序列七位。神霊種「カイナース」によって創られた。現在は世界最大の大国エルヴン・ガルドとしてにまとまっている。 他にも国家はあるが作中には登場していない。 国家として奴隷制を推奨しており、ゲームで負けた人類種の子孫たちが奴隷として存在している。

文化としては、「森精種」と呼ばれるだけあり植物を主体とした建物や乗り物をもっている。貿易船ですら、空を浮かぶ花や森と形容されるほど自然と密着した生活様式をもっている。そのため、独自の美学や思想を持ち、“美しさ”を優先するという気質を持つ。

高度な術式編纂に長け、魔法を編むという点に関しては上位の天翼種を上回る[注 17]。

粘着質で、恨みは何十代かけても晴らすとされている(由来はニルヴァレン家)。

大戦時は、魔法を以って他種族に対抗していたが、飛行妨害魔法の展開によって墜落したジブリールによって首都に『天撃』を打ち込まれて魔導書が根刮ぎ奪われ、そのとき失った魔法体系を取り戻すのに800年かかった[注 18]。

大戦後は「奴隷制」を採用し、ゲームによる盟約で他種族の奴隷を会得している模様。(クラミー以外の奴隷は作中で登場はしていない)

別冊の「ノーゲーム・ノーライフです」において、エルキア連邦、ひいては『 』の真の正体を知るために獣人種に勝負を挑む姿が描かれ、その結果なのか、対水棲種戦において、『 』がゲーム内容を模索する際に、領土を奪われ、空白になった森精種の居住区から大量の書物が天翼種に持ち出されている

現在は、クラミーとフィールの暗躍が告発されたことによって国内は情勢不安になっている。

フィール・ニルヴァレン
声 - 能登麻美子
エルヴン・ガルド上院議員代行。見た目は10代半ばだが、実年齢は52歳。胸がとても大きい。愛称は「フィー」。「〜なのですよぉ」というほんわかしたしゃべり方。
ニルヴァレン家はクラミーの主に当たり、彼女を隷属させている。だがフィールは家柄と世襲で構成された元老院、実権も無いのにプライドばかり高いお飾りの議会、『奴隷制度』の採用をしているエルヴン・ガルドには心底辟易しており[注 19]、ましてやクラミーを守るためなら国なぞ滅んでもかまわないと口にするほど、彼女を大切に思っている。そのため陰でこっそり泣いているクラミーをいつも気にかけている。
高位魔法の術式を編むことに長け、その腕前は上位の天翼種であるジブリールですら認めるほど。エルヴン・ガルドでは補助具を用いた二重術式が限界の落ちこぼれ、ニルヴァレン家の恥と思われているが、実際は同時に6つの魔法を発動させることができる六重術者で、ジブリールの力を制御する術式を編めるほどの超一流の術者。空が一目置くほど頭の回転が速い。
エルヴン・ガルドが負けるように空に改竄された東部連合のゲーム内容をエルヴン・ガルドに報告してからは、エルヴン・ガルドを内部から切り崩すため、クラミーとともに暗躍。神霊種戦の『 』不在のエルキア連邦に森精樹の艦隊を連れ宣戦布告、いのを窮地に追い詰めるが、プラムの介入と森精種の裏切りを”信じた”『 』の行動により森精種の侵攻は瓦解、さらに、これまでの暗躍のすべてを尾びれ背びれを付けて全て告発され、エルキア郊外の森に住居を移す。 対地精種戦においては、作成させたロボットの両手両足を同時に動かし、顔面からこけるなど、極度の機械オンチを発揮した。(森精種全般なのかフィールだけかは不明)
そのゲームでは地精種への恨み以上に、”自分の大好きなクラミーを勝手に弄り、偽者扱いした”ことに怒りを露にし、絶対叩きのめす対象である『 』とも笑顔で握手をするほどに共闘意識を表し、勝利に貢献した。
ロン・バルテル
エルヴン・ガルドの貴族。傲慢な性格で、人類種や落ちこぼれだと思われていたフィールを見下している。地精種に対して精霊を凝縮した違法麻薬を密売していた。
違法麻薬を嗅ぎ付けたフィールたちに奴隷解放の証拠を提示しゲームを行い彼女を手に入れようとしたが、クラミーとフィールに見抜かれ敗北し、彼女たちへの忘却と服従を誓わされる。
フリッツ
バルテルの執事。主を陰で呼び捨てるなど忠誠心はない。巨乳好きで女は乳がすべてだと思っている。
バルテルのゲームをイカサマによって支援していたが、クラミーに扮したフィーにゲームを挑まれ敗北。違法行為を白状することを誓わされる。
大戦中の人物(エルフ)
シンク・ニルヴァレン
声 - 能登麻美子
「大戦」時の当代一の術者で、伝説の域にあると言われた八重術者(オクタキャスター)。対外的には「ニーナ・クライヴ」を名乗っている。
フィール・ニルヴァレンの祖先。
普段は普通に話しているが、本来はフィールのような話し方をする。しかし、性格はより凶暴で残虐。
神霊種の正体に独力で回答を導き出した数少ない人物の一人。
作中よく見かける神霊種の解説文「我を得た概念」は彼女の発言からの引用[注 20]。
ジブリールによって失われた魔法大系を一代で再度超えるほどの卓越した頭脳を持つ。
その一方で、生活能力は低く、全ての雑務を二―ナ・クライヴにまかせっきりにしている。
友人も知人も少ないが、唯一ニーナのことを信頼し友人以上の感情を持っており、よくセクハラをして遊んでいる。
ニーナ・クライヴ
「大戦」時の人物。エルフの歴史上、2人しかいない“八重術者(オクタキャスター)”の一人とされる。
6巻においては、シンク・ニルヴァレンの“偽名”とされたが、リクから「意思者はシンク」であると突き止められる。
その後、短編「ノーゲーム・ノーライフ プラクティカルウォーゲーム」にて実在した人物であると判明。
“五重術者(ペンタキャスター)”ではあるが、シンク・ニルヴァレンの“傀儡”として「花冠郷(グラン・メイガス)」に就任する。
生活力が皆無なシンク・ニルヴァレンのために家事をこなし、彼女の代わりに花冠郷の仕事を行った(全てシンクの指示)。
シンク・ニルヴァレンの偽装工作により、後世では「天才」として歴史に名を残した。
後の歴史では、『ニルヴァレン家は存続し、クライヴ家は断絶した』とある。
なお、男性であるが、短編終盤までシンクに性別を一度も悟らせず、様々な触手攻めや媚薬攻めに耐え抜いた。
終戦後は”1年未満に国を作れば男性として、作れなければ女性に性転換させて結婚する”ゲームをシンクに挑まれ、”盟約に誓って”のゲームを行っている。
『霊壊術式』
シンク・ニルヴァレンが地精種を仮想敵として、大戦を終結させるために開発した5つの大魔法、およびその魔法に用いられる術式の総称。
本来魔法の発動に触媒を使わない森精種が、触媒を利用し、かつ造物主である“森神カイナース”の加護をうけてはじめて成り立つという大魔法。
全て「封印魔法」である。
名称の元ネタは、インド哲学(ウパニシャッド哲学)における五大。「風(ヴァーユ:वायु)」「水(ジャラ:जल)」「火(アグニ:अग्नि)」「地(ブーミ:भूमि)」そして、「空(アカシャ:आकाश)」から来ている。
『虚空第零加護(アーカ・シ・アンセ)』
百八十六重術式とカイナースの加護で発動する『霊壊術式』の一つ。
幻想種の「核」を強制的に“書換える”ことによって『霊壊』による爆弾にする大魔法。
単体の爆発でも、幻想種という途方もないほど巨大な精霊量を『霊壊』させる戦略兵器でありながら、その本来の目的は『霊壊』現象そのものにある。
『霊壊』の爆発は、巻き込まれた生物・生命・物体に含まれる精霊すら“書き換え”“誘爆”を続けながら連鎖的に爆発してゆくため、爆発に巻き込まれたが最後、影響範囲内のすべての精霊が爆発に巻き込まれ威力を増しながら被害は拡大してゆく。
巻き込む対象が多ければ多いほど、精霊が多ければ多いほど威力も規模も無尽蔵に増大してゆく決戦兵器。
「生命」と定義される上位の存在を跡形もなく消滅させることができる。[注 21]
龍精種が自己の生命と引き換えに存在そのものを攻撃に転じる「崩哮(ファークライ)」からヒントを獲たもの。『霊壊術式』のひとつ。
『一動第一加護(ヴァー・ユ・アンセ)』
八十六重術式とカイナースの加護で発動する『霊壊術式』のひとつ。[注 22]
別の座標に存在する物体と空間を“非擬似空間転移”させる『霊壊』術式。
通常の手順をもって行われる“空間転移”“擬似空間転移”や“召喚”と異なり、“召喚元の座標”をそのまま呼び出し共有する術式。
空間そのものに穴を開けて実際に呼び寄せる“空間転移”や、異なる空間を繋げて移動する“擬似空間転移”、別の座標にあるものを呼び出す“召喚”。さらには、妖精種が得意とする“位相の異なる空間”を転移させて空間を“上書き"するものではない。
移動させているのは“指定された空間”そのものであり、その本来の目的は“封印された空間”を別空間と“共有”することにある(厳密には植物の種族のために、特別な術式によって編まれた「茨」と「茨」のポント間を共有するものと思われる)。
元ネタは五大の思想のひとつ「ヴァーユ(風)」。法則としては「動」「“運搬”の働き」「移動」「具体的行動」などを表す。
『不動第二加護(ジアー・ラ・アンセ)』
九十九重術式とカイナースの加護で発動する『霊壊術式』の一つ。[注 23]
精霊の流れそのものを封じ、残った精霊を『霊壊』させ誘爆させることで一定空間内の精霊を「0」にし、一切の魔法を使えなくする魔法。
一定の範囲内における、精霊回廊の流れを「封じ」て、空間内部に残留した精霊を『霊壊』による誘爆で一掃することで精霊によって駆動するすべての魔法・技術を停止させる。
誘爆に際して、空が誘爆の炎に包まれながら精霊を爆破してゆき、自然法則を司る精霊、ついには「霊壊術式」を発動している精霊すら焼き殺す。
その間、指定された空間内部の全ての動き・働きが停止することから『不動第二加護』と呼ばれる。
停止している時間は、術の発動から『不動第二加護』を発動している精霊まで停止・誘爆されるまでのほんの僅かな時間である。
元ネタは五大思想のひとつ「ジャラ(水)」から。法則としては「動」「冷静さ」「抽象的な働き」「万物に必要なエネルギーの供給」などを表す。
『終天第三加護(アグ・ニ・アンセ)』
百三十七重術式とカイナースの加護で発動する『霊壊術式』。
術式と同じ数の花弁をもった『睡蓮』の形をしており、発動と同時に対象を137ある花弁で包み込み、『霊壊』による有爆により一切を抹消する。
束縛され、零距離で放たれる小型版『虚空第零加護(アーカ・シ・アンセ)』のような大魔法。
花弁一つ一つに、術式が施され、精霊に反応して即座に『霊壊』による誘爆を引き起こす。
本来ならば、花弁に包み込んだ瞬間に爆発するのだが、直後に「不動第二加護」を使ったため爆発寸前で「停止」した。
結果として、牢獄のような役割を果たすことになる。
元ネタは五大思想のひとつ「アグニ(火)」。法則としては「動」「具体的な動機」「激しい動き」「熱性や反応」を表す。
『久遠第四加護(クー・リ・アンセ)』
時空間的多元性を断つことで、時間的 空間的な『断絶』を発生させ、一切の攻撃を遮断する大魔法。空間そのものが断裂しているために、物理的な攻撃は一切届かない。SFにおける、ステイシスシールドのような効果に加え、時間的連続性すらも遮断するために、万が一空間を越える様な攻撃があっても完全に封殺する。『霊壊術式』のひとつ。
理論的な根幹は時空間の“封印魔法”。
龍精種が「多元時空間生命体」であり「時空間の反響」が、その正体であることに着目して応用レベルまで底上げした理論。
その理論上、『虚空第零加護(アーカ・シ・アンセ)』『髄爆』の直撃にすら耐えられうる。上位の「生命」たちへの対策も織り込んだ、最強の絶対防御であった。
“獣人種(ワービースト)”