総理辞任の真の理由・・多分

 

 

「官邸が圧力をかけて、河井夫妻の捜査をやめさせようとしている」

「官邸は(稲田伸夫)検事総長を(黒川の監督責任で)辞めさせて、河井捜査を止めようとしているようだが、そうはいかない。法務・検察は内閣に人事を握られているが、俺は捨て身でやる」――。

 この検事の憤りこそが、事件の核心ではないのか。

安倍事務所と自民党総裁室へのガサ入れは必須

 首相補佐官や総裁特別補佐を歴任した克行は、紛れもない安倍側近だ。そして安倍は昨年、妻の違法選挙を取り仕切った克行を、よりによって法の番人に据えた。違法行為を働いた直後に法相に抜擢なんて、悪い冗談としか思えない。官邸は本当に選挙買収を知らなかったのか?

 東京新聞(19日付)によると、克行は法相就任後、宴席で親しい知人たちに「法務・検察の上に立った。もう何があっても大丈夫だ」と言い放ったという。

「違法選挙の捜査を抑え込むために、あえて当事者の克行氏を法相に就けたという見方もある。文春報道で悪事が明るみに出なければ、今も克行氏が法相を務め、黒川氏の定年延長を決定していた可能性があるのです。これは恐ろしい話ですよ。官邸ぐるみで、民主主義の根幹を歪める不正選挙の隠蔽工作が行われていた。検察への露骨な人事介入で疑惑を封じようとしたのです。河井夫妻が離党し、自民党も政権も買収疑惑は候補者個人の問題だと切り離しにかかっていますが、本当の司令塔は誰だったのかを解明する必要がある。日本のメディアは昨年、韓国の“タマネギ法相”夫妻の疑惑報道で過熱していましたが、それどころではないスキャンダルです。河井事件の担当検事が昨年12月に自殺していたというのも、森友学園事件と同じ構図で、底知れぬ闇を感じます」(高千穂大教授の五野井郁夫氏=国際政治学)

 通常国会の閉幕を受けたおとといの会見で安倍は「我が党所属であった現職国会議員が逮捕されたことについては大変遺憾であります。かつて法務大臣に任命した者として、その責任を痛感しております」とお決まりのセリフを読み上げた。

 法相任命は「かつて」と遠い昔の話のように印象操作し、河井夫妻の個人的問題に矮小化することで、政権へのダメージを回避しようという魂胆だろうが、夫妻は前日まで自民党所属議員だったし、何より安倍丸抱えの選挙における買収疑惑であり、その捜査を官邸主導で潰そうとした。それこそが、この事件の争点なのである。

法定上限を超える資金提供の意味は?

 昨年の参院選で広島県選管が定めた選挙運動費用の上限は4726万9500円だった。その3倍以上もの資金を河井陣営に投入したのは、買収を奨励するようなものではないのか。

 なりふり構わず違法行為を働いてでも、溝手を追い落として案里を当選させろという官邸の意向が反映されていたのではないか。1億5000万円は誰が決裁し、何に使うと考えて支給したのか。

「買収の原資は、党からの1億5000万円だったのか。政党交付金からの支出なら、国民の税金がカネで票を買う違法選挙に使われたことになる。そんなことは絶対に許されません。原資を特定しなければ、法相の違法行為という前代未聞の犯罪の全容を解明できない。少なくとも、安倍事務所や自民党総裁室へのガサ入れは必須です。そこに切り込めなければ、検察は官邸と手打ちしたと見られても仕方ない。官邸の守護神と言われた黒川氏がいなくなっても、権力に忖度する姿勢に変わりはないと国民から見放され、今度は検察に批判が向かうでしょう。河井夫妻の逮捕というトカゲの尻尾切りでお茶を濁せば、国民の期待を裏切った検察は、二度と信頼を回復できなくなります」(本澤二郎氏=前出) 

 その黒川氏にはきのう、約5900万円の退職金の支給手続きが行われた。コロナ禍で困窮する国民への支援は届かないのに、首相に近い黒川氏や河井夫妻には、税金から速やかに巨額が支払われるのだから、やるせない。

 この不条理を正すには、諸悪の根源である安倍の退陣しかないだろう。河井事件の本質は安倍事件だ。検察人事にも介入して捜査を潰そうとした。「桜を見る会」にも通じる首相の犯罪である。チンピラ夫妻の逮捕というガス抜きで終わらせるわけにはいかない。

●「「河井案里」捜査担当検事が自死していた 夫妻は“暴露”の切り札に…」
2020年6月25日号掲載 週刊新潮
https://www.dailyshincho.jp/article/2020/06171700/?all=1

広島地検が河井案里議員(46)と夫の克行前法相(57)の本格捜査に着手したのは、今年1月。国会の閉会翌日となる6月18日が逮捕の「Xデー」とも噂されているが、その裏では、案里議員の捜査担当検事が自ら命を絶っていた。

「亡くなったのは昨年12月10日。広島市内のマンションです。この検事は国立大卒で30歳前後と若く、2年ほど前に東京地検から異動してきたばかりでした。遺書も残されていなかったようです」
 と証言するのは、広島の政界関係者。上司のパワハラを苦にして……との情報があるものの、理由は定かではない。案里議員の捜査との関係については、
「検事が亡くなったのは本格捜査の開始前です。とはいえ、事件の露見から捜査に着手するまでには告発状なども出されていたし、情報提供もあった。彼はそういった情報を精査し、案里事件を検察が手掛けられるかどうかを見極める、下調べ的な位置づけの捜査にたずさわっていたのです」(同)
 亡くなった検事の遺族に尋ねると、自殺の原因は不明としつつも、
「検察の方から息子が職場で注意を受けていたという話はありました。でもそれは、よくある仕事上の軽い失敗に対する叱責とのことで、具体的な説明はありません」
 と涙ながらに語る。
 関係者が頭を悩ませているのは、この一件が、すでに河井夫妻の耳に入っているためだ。
「否認している案里が、検察当局や周囲に対して、“自分たちに何かあればこの話を暴露してやる”と息巻いているんです」(先の政界関係者)

“何かあれば”とは、夫妻の逮捕を指してのものである。
「彼女が自殺の情報をどのような筋で得たかは定かではありません。法相だった克行ルートかもしれませんね」(同)
 検察の不祥事隠蔽を暴露してやると“恫喝”めいた切り札を手にしていた夫妻。検察に抱く恨みのほどがうかがえる――。6月18日発売の週刊新潮では、ウグイス嬢をも相手にしていた克行前法相の女性遍歴と併せ、夫妻の事件、そして若き検事の死を詳しく報じる。

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