上京組は恰好のターゲット?「高収入」の誘惑に釣られバイト選びの闇を経験した3人の本音
新生活、新学期といった新しい人生のスタートでもあるこの時期、バイトを始めようと考えている人は多い.......... ≪続きを読む≫

 

 

上京組は恰好のターゲット?「高収入」の誘惑に釣られバイト選びの闇を経験した3人の本音

3月5日(木) 9:30

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“バイトの闇”経験者の体験談を紹介する

 新生活、新学期といった新しい人生のスタートでもあるこの時期、バイトを始めようと考えている人は多いはず。そこで、ネットの怪しい求人広告や知人からの甘い言葉にのって“バイトの闇”を経験した男たちの体験談と、その教訓を紹介する。

【漫画】「天下一仲の悪い店長とバイト」の“不毛な争い”

■「時給2000円から時給200円へと急転落」高額時給バイトの闇

「バーテンダー」「高収入」この2文字に踊らされ、気づいたら数ヵ月間にわたって時給200円で働かされていた…そう語るのは、都会の華やかな生活に憧れて上京したAさん(24歳・男性)。

 まだ知人も少なく相談する相手もいなかったAさんは、求人広告によくある「高収入」「日払い」といった人参に飛びついてしまったのだという。しかも、その情報を見つけたのはバイトの大手求人サイトではなく、ネット掲示板の情報だったという。都会での仕事に憧れ“モテそうだから”という安易な理由でバイト先を選んだことで、想定外なアクシンデントに見舞われることになったという。

「時給2,000円ってかなり美味しいバイトだと思いませんか? しかもバーテンダーなら女の子にもモテるし! 誰でも飛びついちゃいますよね」そう笑顔で語ったAさん。ところが、バイトを始めて1週間が経った頃、オーナーからある事実を知らされショックを受けることに。

「Aくん、研修期間が終わったから明日から時給1,000円で。業務内容も変わるからね」

 まず時給が1,000円なのに驚いたが、研修期間のことも初耳。業務内容も、求人では“バーテンダー”という職種だったが、なぜか毎晩、女性客の接客をさせられていたという。

「地方から上京したばかりで知らなかったのですが、いわゆる男性版のキャバクラ、“メンキャバ”で働かされていたんです」と伏し目がちに答えるAさん。

 しかも、そのメンキャバでは「女の子を1日2人呼ぶ」というノルマと、客がドリンクを注文した際に発生するドリンクバックに関して、「1週間で最低5万円を売り上げる」という厳しい2つのノルマがあった。達成できない場合は時給がどんどん削られ、「気づいたら時給200円で働いてました」と力なくAさんは語った。

 それでも、時給が発生してるだけでも良い方だと語るAさん。というのも、前述のケース以外にも「遅刻したら3,000円の罰金」といった搾取もあり「給料がマイナスになる仲間もいた」という。

「上京組はバイトにおいて“情報弱者”なので、よくカモにされているそうです」と、当時を客観的に振り返るAさん。ツライ経験をしたからこそ「バイト選びの際は“高額時給”に釣られないことと、掲示板サイトなどの“甘い誘惑”には手を出さず、ちゃんとした求人サイトを見てください」と、上京する後輩たちへ精一杯のアドバイスを送ってくれた。

■「責任はすべてバイトリーダー」体育会系ブラック企業の闇

 「好きこそ物の上手なれ」という諺があるように、ラーメン好きが高じて、とあるガッツリ系のラーメン店でバイトすることになったTさん(27歳・男性)。

「大好きなラーメン屋でのバイトは、ゆくゆくは自分のお店を持ちたい!という夢を持って働きはじめたのですが…」

 そう言葉を濁すTさんだが、当初は皿洗いからマジメにコツコツと働いていたという。その努力が認められ、バイトでありながらも厨房を任されるバイトリーダーへと昇格したのだ。

「体育会系の職場だったので、皿洗いの頃は誰も話しかけてくれなくて、ひたすらにお皿を洗っていました。でも、そのかいあって念願だった“麺場”といわれる厨房へ入ることができました。でも、ココからが地獄でしたね」

 「バイトリーダー」という言葉の響きこそいいものの、なぜか“現場の責任者”扱いになってしまったTさん。例えば、お客さんのラーメンに髪の毛が入っていた場合「申し訳ありません、今回は無料にさせて頂きます」という流れになる。ここまでは通常の接客になるが、責任の所在は店側でなく、“現場責任者”であるTさんに課せられたという。

「お客さんに無料で提供したラーメン代は、ガッツリ僕の時給から引かれます。それは厨房を“バイトリーダー”として僕が取り仕切っているから (苦笑)。しかも、バイトリーダーといっても時給は930円なので、そのほかの人とあまり変わりません。ただ、賠償責任を負わされるという損な役回りが増えただけでした」

 そのほかにも体育会系の企業によくあるパワハラなども横行していたのだそう。「ラーメンが好きで働きはじめて、ラーメンにトラウマができて辞めていく人が結構いますね」と寂し気に語るTさん。「バイトで“体育会系のブラック企業”の臭いを感じたら、心にトラウマを負う前に辞めた方がいいっすよ」いう言葉を残し帰宅していった。

■「最初は甘い顔、最後は地獄絵図」意外な場所に潜む“反社”の闇

「数年前の話なので…」と控えめに微笑むWさん(24歳・男性)は、以前、ひょんなことから“反社会的勢力(反社)”関係者の運転手をしていたという。

 「すごく割りの良い仕事でした。知人に紹介され、とある企業の社長の運転手をしていました。距離やかかった時間に関わらず、1回の送迎で5万円もらえました。しかも、渋滞で指定の目的地まで間に合いそうになく、途中で下車しても謝礼をもらえました。ただ1つだけ条件があって、“呼び出されたらすぐに行く”というものでした」

 1回5万円という破格すぎるバイトで、依頼主の社長も優しい人だったと語るWさん。しかし、この“呼び出されたらすぐに行く”という約束事で人生のトラウマを負ったという。

 「寝ていても、何をしていても10分以内に出向く必要があります。だから、常に依頼主の活動圏内5kmにいないといけない。しかも、1日に何回もコールがあって、3コール以内に出ないといけないんです。だから、エレベーターや地下鉄といった電波の届きにくい場所が“魔のゾーン”になります。もちろん、出られなかったり、遅刻すると軽いお灸を据えられる…となると、いかに高収入でも精神的にキツくなってきます」

 そして、この仕事の最大の罠は、一度踏み入れたら“簡単には辞められない”という点だ。「この仕事をこなすうちに相手が“反社”だということが分かって、辞めたいと口にするのも精神的に相当キツかった」とMさんは苦笑した。

 前述した3名の教訓からも分かる通り、「甘い言葉には罠がある」とはよく言ったもので、ネットでよく見られる“高収入”という言葉には、それなりの理由があると考える必要がある。特に、昨今は“反社”がどこに潜んでいるのかも分かりづらい。知人からの紹介も安心できないため、どこで「バイト情報を探すのか」をよくよく吟味する必要があるだろう。