グランクレスト戦記 Ⅰ【目次】あらすじ【十年一度超大作】❔

 

登場人物

主要人物

テオ・コルネーロ
 - 熊谷健太郎
本作の主人公。正義感の強い若者。君主の聖印を持つ。 システィナ西部のマルザ村の出身。島を支配するロッシーニ子爵の圧政から村を救うために武者修行の旅に出た。アルトゥーク伯ヴィラール・コンスタンスと契約するために移動する最中に、騎士メスト・ミードリックの配下に襲われていたシルーカの助けに入る。当初は従騎士で、魔法師と契約する爵位もなかったが、彼の純粋な正義感に興味を示したシルーカによって魔物オルトロスと強制的に戦わされ、その混沌核(カオスコア)を吸収したことで騎士の爵位に到達し、魔法師一人と契約できるようになった。オルトロスとの戦いで死にかけたことからシルーカ以外の魔法師を希望したが、意に介さないシルーカに無理やり契約させられ、彼女の主となった。
シルーカの策によりメストの領土と聖印を獲得すると、続くラシック・ダビッドとの戦闘に勝利。ラシックを従属君主とした後は男爵となり、それを機に家名としてコルネーロを名乗るようになる。アーヴィンやアイシェラ、セーヴィスの独立君主らの助けを得てセーヴィス王ナヴィル・ジェルジェにも勝利するものの、その後のヴァルドリンド軍の攻撃により全滅の危機に陥る。その窮地をヴィラールによって救われ、聖印のほとんどをラシックに譲り、ヴィラールの従属君主となってアルトゥークに身を寄せた。 吸血鬼の王ディミトリエが常闇の森から姿を消した後は、彼の城を拠点として活動し、森の混沌現象を鎮めながら修行と聖印の強化に励む。
アルトゥーク戦役後は独立君主となり、同盟でも連合でもない第三戦力を作ることを思い立つ。ヴィラールが懇意にしていた周辺国の君主達の賛同を得て「アルトゥーク条約」が発足した。華々しい武勲を立て、爵位も伯爵まで到達していたラシックを盟主に推す声が多い中、当のラシックがテオを推挙して譲らなかったため、誰もが納得し得るだけの資質を証明するために一年以内にシスティナの領主になるという条件を提示し、シルーカらとともにシスティナへと旅立った。
システィナでは力ずくでロッシーニを倒すのではなく、民衆の決起を待つ姿勢を取る。当初は誰にも相手にされなかったが、出身地であるマルザ村を解放したことで足場を築き、更に民衆を島に閉じ込めている原因である混沌渦を退治したことにより、解放者としての名を一気に上げた。ペデリコ・ロッシーニの長男ドーニとの死闘を経て、次男ジュゼルとの交渉の末、システィナ解放に成功。同時にロッシーニ家の食客となっていた黒魔女ヤーナを捕らえ、エーラムに引き渡した。
ジュゼルを従属させたことでシスティナ伯となったが、アルトゥークで遊撃戦を指揮していたオイゲンの死を機に大陸に戻る。しかし、この時点でもまだ条約内の君主達がラシック寄りの姿勢を見せていたことを理由に、ミルザーを討ち果たすまでは条約の盟主にはならないと宣言して再び盟主就任を保留。壮絶な一騎打ちの末にミルザーを討ち、一角獣城で亡きヴィラールに戦果を報告する場でついに全員がテオを盟主と認め、ラシックを始めとした各国の王が彼に従属した。
教養は読み書きがやっとという程度だが、領主の圧政に苦しんできた生い立ちゆえに仲間や領民を心から大切に思っている。また、上から諭すのではなく、自ら先頭に立って行動することで周りを次第に動かしていくという手法を取ることが多い(ラシック曰く、凡庸だが志があり、度胸があり、気配りができ、状況判断に優れ、行動力がある)。領民と目線が近く、誰とでも親しくなれる才能があり、彼になら命を預けられると信じた領民達に応えた結果が、受け取った者に戦う勇気を与える戦旗「パトリオット」となった。君主としての評判も高く、ヴィラールの従属君主となった後もセーヴィスの君主達からは絶大な支持を得ている。その名声は同盟領にも及ぶほど。また、混沌核から聖印を作り出すほどの強い意志を持つ。手先が器用で、放浪中は隊商の護衛から魔物退治、酒場で働いていたこともあり、釣りの技術もあるなど経験豊か。
彼の父親もマルザ村の住民だったが、隠し貯蔵庫に穀物を保存して配ることにより飢饉や重税の苦しみを軽減させていたことを密告され、自らの保身に走った住民達によって領主に突き出されて殺されている。それをきっかけにテオは村を離れ、当初はロッシーニの配下となって村に復讐することを考えたものの、諸悪の根源がロッシーニの統治にあることを悟って大陸へと渡った。
大陸では領土と爵位を争う君主達の腐敗を目の当たりにし、領主に相応しくない君主は領民の手で倒すべきであり、領主は領民のために尽くすものという考えに至る。一方、テオの宿命のライバルとなるミルザーは彼と同じく君主の腐敗を嫌悪しながらも、その解決には覚悟を決めた絶対的な君主が大陸を統治すべきという結論を導き出した。義勇兵を募るテオのやり方についても民を戦に巻き込むべきではないとミルザーは侮蔑し、どの側面からも二人は真っ向から対立することになり、顔を合わせるたびにお互いを嫌っていくこととなった。
シルーカのことは出会いの印象が悪かったために当初は迷惑がり、言われるがままに動いていたが、彼女の献策によりシスティナ解放への道筋が見えてきたこと、そして彼女が自分の夢の実現のために本当に命を懸けていることを実感するにつれて次第に信頼するようになり、同時に守りたいと強く思うようになる。ヴァルドリンド戦後、シルーカがヴィラールに奪われそうになると、聖印を手放して彼に従属することでそれを拒んだ。その後も少しずつ絆を深め、アルトゥーク戦役前に二人で領土を巡察中にその想いを告白し、受け入れられる。条約盟主に就任した祝いの宴の後、いずれシスティナの領主として帰る時には妃としてついてきてほしいと願い、非公式ではあるがシルーカを妻に迎えた。
シルーカ・メレテス
声 - 鬼頭明里
本作のヒロイン。天才と評される魔法師の才女。初登場時17歳。 魔法師の名門であるメレテス一門の出身。ヴァルドリンド辺境伯マリーネ・クライシェの魔法師長であるアウベスト・メレテスは養父。
極大混沌期の終わりに初めて混沌から聖印を作り、混沌を鎮めた始祖君主(ファーストロード)レオンこそ理想の君主だと思っている。そのため領土と爵位争いを続ける現代の君主達を毛嫌いしており、魔法大学卒業後は君主と契約せずそのまま大学に残るつもりだった。魔法大学の七つの学部をすべて履修した「虹色の魔法師(フルカラーメイジ)」を目指していたが、六つ目の”青の召喚魔法学部”を卒業し、最後の”紫の創成魔法学部”に転部しようとした絶妙のタイミングでアルトゥーク伯と出くわし、大講堂の惨劇を唯一食い止めようとした行為を讃える彼に契約を打診されて卒業せざるを得なくなった。しかし、嫌々契約に向かう最中に出会ったテオに自分の理想の君主像を重ねて勝手に契約し、ヴィラールとの契約を実質反故にする。
契約破棄とみなされエーラムに強制送還される危機感を常に覚えながらも、テオの夢であるシスティナ解放を叶えるために強引に事を進めていくが、連合領であるシスティナを攻めるために打診した同盟への帰順をアウベストによって阻まれて孤立無援に陥り、現実は机上のようにいかないということを痛感する。ヴァルドリンド戦での窮地をヴィラールに救われた後は、テオとの契約を維持したままヴィラールの魔法師団に所属することになる(これにより、ヴィラールとの契約の反故はなかったことにされた)。
魔法大学在学中は、各学部の基礎だけ修了して次の学部へ転部するということを繰り返していたため応用力と即時対応力に欠けており、テオの領地経営を支える傍ら、マルグレット達や魔女の長老ゼルマに教えを請うて魔法の修行にも励んでいる。黒魔女ヤーナとの戦闘で危うく命を落としかけた後は、魔女の専売特許である箒を使った魔法を積極的に学んで魔法師用に新魔法を編み出すなど天才ぶりを発揮し、システィナにおけるヤーナとの再戦では見事に雪辱を果たした。
聡明で頭の回転が速く、勤勉で努力家でもあるが、理屈に合わないことが嫌いで占いなどの感覚が重視される技は不得手(最も繊細な感性が要求される紫の創成魔法学部を最後にしたのはそのためだった)。その反面、感情に左右されやすい部分もあり、学生時代は観察用に捕らわれていた猫妖精のバルギャリーを勝手に逃がしたこともあった。養父にはその感情的な部分を危険視され、魔法学校の卒業試験の際には危うく選別されそうにもなったが、アイシェラに助けられ、メレテス一門の門主ティベリオや魔法大学のセンブロス学長にも擁護されて無事魔法師となる(しかしセンブロス学長はシルーカが異端であることは認めており、君主と契約させると何をするか分からないので、出来れば大学に残したいと考えていた)。
テオとの契約は、ヴィラールと契約するのが嫌なあまりに衝動的に行った行為だったが、共に行動するうちにテオの君主の素質に次第に引き込まれていき、彼が自分を手放さないためにヴィラールに従属することを選んだことで、異性としても意識し始める。吸血鬼の王ディミトリエとの戦いや連合の君主会議を経てその感情はますます強まっていき、テオの告白に応える形で想いを告げた。テオの条約盟主就任後は、非公式に妃として迎えられた。
混沌を操る力を持って生まれたことで実の家族から虐待を受けた経験があり、血は繋がらなくとも養父のアウベストや姉のようなアイシェラを心から大切に思っている。母親のような愛情をもって接してくれた人狼の女王クララが死んだ時は深い悲しみの表情を見せた。
アーヴィン
声 - 中村悠一
凄腕の邪紋使い(アーティスト)。元はクライシェ家に仕える侍従(フットマン)だったが、大講堂の惨劇時に事態を食い止めようとしたシルーカを結婚式の妨害者と勘違いして取り押さえ、その結果デーモンロードによる主マティアス・クライシェ大公の死を招いてしまう。その責任を取り侍従を辞し、シルーカに仕え始めた。
家事全般はもちろん、礼儀作法、偵察、潜入工作、暗殺、戦闘など何でもこなし、クライシェ家の先代侍従長の邪紋を受け継いだ相当の実力者である。しかし骨の髄まで侍従であり、主人に手荒く扱われるほどやりがいを感じる性質(システィナでの戦闘で毒を受けた際は流石に休めと命じられたが、あまりに休ませると精神的に病むため、シルーカは全快する前に職務に復帰させざるを得なかった)。人使いの荒いシルーカは彼にとって最上の主人であり、いつか彼女を奥様と呼び、テオとシルーカの子供の世話をするのが夢。
クライシェ家の侍女(メイド)達とは当然ながら旧知の間柄で、仕える主が変わってからも時折情報交換をしている。
アイシェラ
声 - 上田麗奈
シルーカの姉弟子の凄腕傭兵。邪紋使いでポールウェポンの達人。 元はシルーカと同じくメレテス一門に属し、アウベストを養父としていた(アイシェラという名前はアウベストが付けた)。
魔法学校の卒業試験の際に、選別されそうになったシルーカを助けるために自分の試験を放棄してしまい、卒業できずに退学して、魔法師協会からの依頼で動くエージェントとなった。そのため、魔法師ではないが混沌を操ることはできる。専門としているのは異世界からの魔物退治。
論理的で理性的なシルーカとは正反対の奔放な性格で、グラマーな美女。シルーカの事が大好きで、いつも一緒にいるテオに嫉妬している。ラシック戦でのシルーカからの要請に応え、テオの軍勢に加わりその無双の強さを活かし、敵を薙ぎ払っていく。 エージェントになったのは混沌を操る能力を買われてのことだったが、戦場の兵士や傭兵たちと早く親しくなるためには崇拝させるのが一番だという理由で、彼らの中でよく信仰される戦乙女バルキリーの「なりきり」となることを選び、邪紋を刻んで邪紋使いとなった。
元々は極東の出身で、海の神の御子でとして混沌事故から船を守る役目を担っていた。メレテス一門の魔法師に見出され、7歳の時に当時20歳のアウベストの養女となる。アウベストがシルーカを選別しようとしたことは今でも許しておらず、ヴァルドリンドの契約魔法師長としての情の欠片も見せない態度には心底腹を立てているが、本心では非常に彼を慕っており、娘という扱いだけでは嫌だとシルーカに漏らした。
実はパンドラの構成員で密偵としてシルーカを監視する名目で彼女の元に赴き、行動を逐一報告していた。テオの下、皇帝聖印が統一されそうになった為、組織からの指令に従い、シルーカたちを暗殺しようとする(体に制約をかけられていて命令に逆らえなかったため。)が、寸でのところでアーヴィンに阻止される。任務の失敗により制約の呪いが発動し、命を落としそうになったが、プリシラに邪紋ごと解除された。
ラシック・ダビッド
声 - 日野聡
野心溢れる勇猛なセーヴィスの若き独立君主。領土は小さいが、数ある君主の中でも抜きん出た剣の腕を誇る青年。
メストの領地がテオに継承された事を知った後、軍を率いて攻め込むも、アーヴィンを相手に苦戦。更にテオ、シルーカと戦っていたモレーノが敗れ、人質に取られた事で即座に降伏し、自分の聖印をテオに譲って従属君主となる。セーヴィス王戦で聖印の力が増し、「スパルタン」の戦旗を得た。 ヴァルドリンド戦後、シルーカとの契約を維持するためにヴィラールへの従属を選んだテオから聖印を譲られ、セーヴィス王となる。だがテオへの忠誠は変わらず、何かあればすべてを捨ててでも駆け付けると約束した。
アルトゥーク戦役を経てその爵位は伯爵にまで到達し、かつてセーヴィス・フォーヴィス・クローヴィスの三国を平定したという大王の再来とまで呼ばれるようになる。各国の君主からアルトゥーク条約の盟主となることを打診されるが、本人のいずれテオに従属する心積もりは変わらず、テオがシスティナを平定するまでの間という期間限定で条約の盟主を引き受けた。システィナからテオが帰還した際は従属を心待ちにしていたが(先にラドヴァンに従属されたことを心底悔しがっていた)、ミルザーを討つまでは盟主にはなれないというテオの意を汲み、盟主を続行する。ミルザー亡き後は満を持して念願の従属を果たした。
初登場時から浮いた噂の一つもなかったが、アルトゥーク解放戦の後、政略結婚的な側面もありつつセーヴィス王となった頃から共に戦ってきたナタリア・ラージョ・モードリを妃に迎えた。
モレーノやペトルなど、人の才を見抜く目に長けている。最初に従属した時から流浪の君主に過ぎなかったテオを非常に高く評価しており、彼となら大陸を制覇できるとまで言い放ったほど。周囲に何と言われようとテオに惚れ込む姿勢は一貫して変わらなかった。テオの味方の君主としては最古参の君主であり、公式の場以外では友人同士のように親しく言葉を交わす仲である。
モレーノ・ドルトゥス
声 - 松岡禎丞
ラシックの契約魔法師で、シルーカの大学時代の先輩。軽薄な印象の優男だが、魔法師としては一流で剣の腕もずば抜けている。
契約魔法師を選ぶため自らエーラムに赴き、正体を隠して酒場で働いていたラシックにスカウトされ、彼を大器と見込んで契約した。大学時代は女性関係に情熱を燃やした結果、声をかけたシルーカに睨まれ退散、別々に交際を申し込んだはずの女性二人が同時に登場、一番熱心に整えた髪型を意中の相手に否定されたなど数々の逸話を残している。女性特有の情報網でそれらの逸話を知り尽くしているシルーカとの相性は非常に悪く、彼女との会話は少年少女の喧嘩になることが多く周囲からは生暖かく見守られている。
テオとの開戦時には透明化の魔法を使い、シルーカと戦った。戦闘を優勢に進めていたが、助勢に入ったテオの相手をする内に連戦の疲労により敗北。そのまま人質に利用される。自分を人質にしても意味がないと考えていたが、ラシックが呆気なく降伏宣言をしてしまい、唖然とする。テオの軍勢に加わってからは、シルーカと共に政などの手伝いをしている。ラシックに心底惚れ込んでおり、彼がテオへの従属に拘っていることに納得がいっていない。条約の盟主にも当然ラシックを推したが、彼の固辞と、テオがシスティナ領主になれればテオの盟主就任を認めるという各国の王に意見に押され、渋々それを受け入れた。
「エーラムの粛清」に際してはラシックに付き従う形でテオ達についていくことを決意する。シルーカとも本心で向き合い、魔法師協会への情報漏洩を避けるため連絡手段である杖を折り、更なる戦いの準備に入った。
ペトル・モルバ
声 - 市川太一
ラシックの配下で、兵士長を務める少年。メストの領地を手にしたばかりのテオを攻めたラシック軍の一翼を担い、アイシェラと対峙する。
元はラシックの治める村の子供。ある日ラシックの屋敷に集団で盗みに入り、それが見つかった際の子供らしからぬ落ち着いた態度に将来の可能性を見出され、ラシックに引き取られて従騎士として育てられる。アイシェラの圧倒的な強さを見せつけられてなお怯まなかった胆力を買われて、テオが配下に貰い受け、その後男爵の従属聖印を授けられた。テオがヴィラールに従属したことで独立君主になったが、ラシックはいつか再びテオに従属するようにと自分への従属をさせず、独立君主のままラシックを手助けする。
アルトゥーク戦役後はブルタヴァの守りを任され、爵位報酬でエーラムから建築技師を招き、こつこつと城の拡張に励む(城はどんどん堅牢となり、攻め寄せたヴァルドリンドも形だけ包囲するだけで退却した)。勤勉に働く様子から「働き蟻ペトル」と言われ、城も蟻塚城と呼ばれている。システィナからテオが帰還した際はラドヴァンに次いで従属して子爵の従属聖印を与えられ、正式にブルタヴァの領主となった。
アルトゥーク解放戦では一角獣城から伸びる橋の先にいくつもの出城を築いてミルザー軍を牽制し、ミルザーが打って出た際にはその後方部隊を橋で分断して食い止めるという大きな戦果を挙げた。
戦旗はそれを受け取った者がペトルの意のままに動く一糸乱れぬ集団となる「ミュルミドン」。これにより大声で指示を出さなくても集団を統率することができるため、ラシックやテオのもとで戦う際は主に陽動や攪乱など、後方支援を行っていた。最初に対峙した際に怯まなかったことからアイシェラからは非常に気に入られている。当初は姓を持たなかったが、アルトゥーク戦役後に故郷を流れる川の名前を取って姓とし、ペトル・モルバと名乗るようになる。
生に執着しない性格だったが、「いつか死ねと頼む時まで生きて欲しい」とテオに言われ、それ以降生きる努力をすることを考えるようになった。
プリシラ・ファルネーゼ
声 - 高森奈津美
テオの評判を聞いてやってきた聖印教会の司祭。おっとりした少女で、誰にでも分け隔てなく優しい性格をしている。
セーヴィス王との大戦時にテオの勇敢さに心を撃たれ、テオには聖印教会に入団してほしいと考えている。男爵級の聖印を持つ君主でもあり、ヴァルドリンド戦で瀕死の重傷を負ったアイシェラを治療したり、魔物を近づけさせない聖なる光を放つなど、強力な力を持つ(しかしその光は邪紋使いにも激しい苦痛をもたらすため、アーヴィンやアイシェラも巻き添えになってしまう)。テオが入信する素振りをまったく見せないのにも関わらず、彼に助力を惜しまず、システィナへも同行する。
魔法師のことを混沌を操る悪魔の僕と信じ切っており、魔女の修行も悪魔の所業と断言して憚らない。対するシルーカからも教会関係者であることと、更に恋敵と認識されたことで当初は険悪な仲だったが(加えて彼女が若く極めて女性的な身体つきをしていたことも原因)、戦闘で協力していくにつれてお互いに態度を軟化させている。
実は聖印教会を設立した教祖の娘で、聖印を統合するための「器」とみなされている。生まれた時から聖印を持っていたとされ(ただし、母親の胎内で譲渡された可能性は本人も指摘している)、一部の信者からは聖女と敬われている。
バルギャリー
声 - 山路和弘
異界ティル・ナ・ノーグ界に住まう猫妖精(ケット・シー)族の王族。次期王位継承者でもある。
かつて実験用の投影体として地下の魔獣園に捕らえられていたところを、当時魔法学校の学生だったシルーカに救われ、それ以来彼女の良き友人となる。影から影に移動することができ、シルーカの連絡役を務めることが多い。
王族ゆえに口調が尊大で態度も大きいが、耳の後ろを撫でられることを好むなど猫らしい一面もある。また、シルーカの要望に応じた際は必ずご馳走を所望する(ご馳走につられて使いっ走りをすることもある)。 乱暴な愛で方をするアイシェラが苦手で、彼女の名前を聞くと毛が逆立つ。
エマ&ルナ
声 - エマ:鈴木みのり、ルナ:中島愛
人狼の女王クララの双子の末娘。髪の結び目が左右違うこと以外瓜二つだが、双子と呼ばれると怒る。 好奇心が旺盛で、互いの意見を互いに否定せずに許し合うので、二人揃うとどこまでも調子に乗る欠点がある。その欠点が災いし、黒魔女ヤーナに捕えられ、母であるクララを死なせてしまう。母の混沌核もエルマーに吸収され意気消沈するが、弔い合戦となるディミトリエ戦では誰もが攻めあぐねたディミトリエに対し、一体となったコンビネーション技でその腕をもぎ取るという戦果を挙げた。 その後は常闇の森の城代となったテオと共に残り、アーヴィンから侍女としての訓練を受ける。同時に邪紋使いとしての腕を着実に上げていき、システィナの混沌渦の正体であるカリブディスを倒し、その混沌核を吸収した後は、アーヴィンをして戦闘力だけなら自分をも超えたと言わしめる実力を身に着けた。黒魔女ヤーナと再会した時はその力を存分に生かして致命的な一撃を与え、母の仇を討った。

三大勢力