安城家の舞踏会 | 昔の日本映画 勉強会

昔の日本映画 勉強会

古い日本映画を知らないので、これから一本一本観て記録してゆこうと思います。その他。

「安城家の舞踏会」
1947年
吉村公三郎 監督
新藤兼人 脚本
出演 原節子、逢初夢子、滝沢修、森雅之、清水将夫、神田隆

 

 





いやー面白かった。
これは面白い映画ですね。
なんでこんな面白い映画もっと有名じゃないんだろう?、と思ったら
知らないのは私だけ
第21回キネマ旬報ベスト・テン第1位だったそうな。

知らない方がダメー。

 






吉村公三郎監督作品って「夜の蝶」しか知らなかったが
あれ面白かったので期待して観たら


「夜の蝶」よりこっちのほうが何倍も面白かった。

なんでこんなに面白かったのだろう?

本作はチェーホフの戯曲「桜の園」を下地にしているそうな。
チェーホフって「かわいい女」と「かもめ」しか読んだことない。
「桜の園」は昔、ラジオドラマで聴いたことあったが筋を忘れた。

 





「安城家の舞踏会」セリフがよい。わかりやすい。

1場面、1場面に仕掛けがあり観ている者を休ませない。

海岸沿いという舞台設定もいい。音楽もいい。

原節子をはじめ俳優の皆さん 演技が素晴らしい。

皆さんの演技のおかげで冒頭シーンから、すっかり「安城家」に引きずりこまれる。

一体この家族、これから どうなるんだろう?という「謎」「謎」「謎」

私は華族出身ではないが、この安城家にすっかり感情移入してしまった。

ピストルなど物騒なものも出てきて物語はラスト「最後の踊り」シーンに向かう。




安城家の人ではないが、元運転手の成り上がり者「遠山」が印象に残った。

遠山はずっと安城家の逢初夢子に恋をしていた。

その後 経済的に成功して、安城家の窮地を救おうとするが(救う?といえば微妙だが)

舞踏会の夜、逢初夢子に「汚い」となじられ、こっぴどくフラレる遠山。

遠山は昔なじみの女性(ハツさん?)と話す。

 



女性
「まあ遠山さん、こんなところへ」

遠山
「酒はないかな、酒は マツさん」

女性
「お酒はここにありますが」

遠山
「畜生、舞踏会も糞もあるものか」

と言って、ネクタイを投げつける。

女性
「どうしなすったね遠山さん」

遠山
「俺の仲間はやっぱりお前さん達だ、お上品の人達の仲間入りは出来ないらしいぜ」

(自分で酒をつぎ、飲む)

 



遠山
「ゴホゴホ(咳込む)へへヘ。。。ざまをみろ
 
カエルの子はやっぱしカエルなんだ
シルクハットをかぶるガラじゃないんだとさ」

女性
「そんなことはないですよ
遠山さんは立派におなんなすったよね
本当に成功しなすったもんですよ」

 

遠山
「ふん、おめえさんも俺を闇だとおもってんだろ?おりゃ(俺)あな、闇屋じゃないんだぜ
たかが運送屋風情だが」

(また酒をつぎ)



遠山

「俺の持ってる金はな
この身体でぶちあたって、この腕で儲けた、立派な金なんだ
ボロトラックで駆けずり回って 気違いみたいに稼いだ金なんだ

 



(また酒をあおぐ)

ふー
(座りこみ)
畜生 金がいったいなんでぇい


(また酒をあおぐ)

俺は 夢を見てたんだ
(そのまま倒れる。転がるグラス)


ハハハ 滑稽な夢を見てた 馬鹿者なんだ。。

 

ちょっとクサイせりふだが、

いかにも「成り上がり者の悲しみ」という感じで私には良かった。

 

こんなせりふを吐いて、酒に酔って、倒れてみたいもんである。うらやましい。

 

この後のシーンだが

遠山が 舞踏会を見下ろし、お金持ち達に向かって(ベロベロに酔って)演説するシーンがある。

そこも良かった。

バンドマンに遠山が華やいだ曲を演奏するように指示した後、

「いや。。。静かな曲がいい」と急につぶやくセリフも泣ける。

 

 

村田知栄子は「稲妻」しか知らなかったから、本作品を観て全然違う役で驚いた。

女優って何でも化けれるのね。

でも一番は原節子さんですかね。ははは。目がキラキラしてすごくこの役ぴったりに演じられてました。

「めし」の原節子もいいけど「安城家」も最高でした。

 

 

安城、といえば昔 仕事でいった愛知県安城市を思い出した。

夕暮れの駅灯りと酒場を思い出す。

そういえばあのお客さんもう亡くなったのだなぁ。。

 

映画よ今夜もありがとう