人間は何を恐れるのか。
失うことを恐れるのだ。
手放すことを恐れるのだ。

しかし、人間は必ずいつかは全てを手放す。
誰でも、最後には自分の命も手放す。

人間がいくら手放したくないと願い、悶え悲しみ苦しんだところで、すべてのものを手放す時は必ず来る。
それはまぎれもない、誤魔化しようのない「事実」だ。
そして、いつ手放すときがくるのかは、人によって様々だ。
思いもせず、今日全てを失う人もいるだろう。
これは命だけではなく、今持っている物やお金、人間関係、人の気持ちなど、認識できるもの全てにあてはまる。
すべての認識できる物事はいつかは必ず失う。

だから受け入れよう。
嫌だ嫌だと駄々をこねたところで、失う時が来れば失う以外にないのだから。

受け入れた上で、自分ができるベストを尽くせばそれでいいのだ。
それでも失うのならば、それは失う時が来たということだ。
失うことを恐れるのではなく、それを手放す時が来たと受け入れ、今までに受け取ってきた物や思い出に感謝しよう。
ありがとうございました、と頭を垂れよう。

物も人も自分の命も、失うことは自然な流れだ。
生きていれば誰にでも適用される自然の理(ことわり)だ。
何も恐れることはない。

タイトルに失う覚悟と書いたが、気持ちを張って覚悟を決める必要はない。
ただ、「人間はいつ全てを失うことになってもおかしくない。いつかは必ず全てを失う」という、ありのままの現実を、事実を認めれば自然と肩の力が抜けるだろう。
今、頬に受けている風の感覚、今、自分の肉体がこの地球に存在している感覚、それがただありがたいと感じられるようになる。
恐れや不安は、その「いまを生きている感覚」を奪ってしまう。
もう、逃げようのない人間の「無常」を恐れて、今を生きる喜びを失うような生き方はやめようではないか。

失うことを恐れず、受け入れて、そして自分のできるだけのことをして、結果はどうであれ、それでよしとする。
それが本当の自由なのだと私は思う。