フレデリック・ショパン作曲(FREDERIC CHOPIN)comp.「ピアノソナタ第2番変ロ短調作品35/Piano Sonata No,2 in B flat minor,Op.35」「ピアノソナタ第3番ロ短調作品58/Piano Sonata No.3 in B minor,Op.58」ピアノ伴奏*内田光子(MITSUKO UCHIDA)pf.1987年12月英国ロンドン市にて録音。1988年販売申請認可、米Philips Records,DECCA Records.Universal Music IMS.輸入盤CD.フルデジタルレコーディング(DDD).高音質盤。優秀録音盤。フルプライス品。稀少盤。

内田光子の作品の中でも、ショパンが作曲したものは相当の思い入れがあった事だろう。ピアノソナタ第2番の第一楽章の冒頭を聴いた際に、急かしているように思われたが、焦らしながら楕円の甲を描いているように、独特の善き個性を感じた。強弱の癖の付け方や、間の量り方が一定では無く、非常にきめ細やかな配慮である。スタッカートのリズムの刻み方が、若干密度が高く客観的に音楽観を捉えている。我々は主観的に音楽を分析解析しがちであるが、演奏者側が音楽に対して自己感性を進化向上させる事で、自分らしい善き個性を醸し出す事ができよう。ショパンのピアノソナタは、演奏内容次第で不意に墜ちない陰影を抉るような演奏も一部で存在している。内田さんが奏でるピアノソナタは、毅然として鷹を括ったような、堅実なる安定感が特徴。単に暗さと冷感さに徹している演奏とは明らかに異なる。演奏内容趣旨を明白に示唆できた事は、この上ない喜びである。録音マスターリングに関して、録音年代かかなり古い。録音当時としては最高の技術力を駆使して、録音マスターリングが施されている。外盤メディアを認識されており、演奏ホールやスタジオ内の雰囲気・気配感さえも忠実にマイクが捉えている。忠実度具合が見事に適合しており、全域で音の繋がりが統一されている。音像が大変小さく低域の圧迫感は全く感じられない。音場感が3次元的に広がり、際立ったようにサウンドステージが澄み切っている。文句の付けようが全く無い。大いに誉めたい。大絶賛したい逸品。