岐阜県庁舎内における喫煙問題について | STEP BY STEP

岐阜県庁舎内における喫煙問題について

今回の県庁舎内喫煙問題について考察を述べます。


県庁舎内の喫煙問題において、組合は、昼休みに庁舎敷地外でモラルを守って喫煙することを問題にしているのではありません。
重要なのは、行政が法律とマナーを遵守し、適切な施策を推進する姿勢を示すことです。
しかし、県庁舎内での職員による喫煙は、法令違反のみならず、倫理感の欠如やコンプライアンス意識の低下を示しており、これを見過ごすことはあってはならないと考えています。
今回の問題のきっかけは、匿名の方からの勇気ある情報提供からでした。
喫煙していた精密機器等が置かれている部屋には、灰皿や消臭スプレーが置かれていたもので、喫煙による臭いをいくら消臭スプレーで消そうとしても臭いは残ります。
また、精密機器に対して、喫煙による煙や消臭スプレーの影響で損傷することが考えられたり、発火の恐れは少ないとしても、災害対策本部の置かれている部屋のすぐ横での喫煙は、許されるものではありません。
この問題の背景には、災害時等において、県民や職員の命や安全を守る重要な部署である危機管理部において、忙しいから違法と分かっていても許されるのではという考えや、間違っていることが言い出せない環境があったのではと考えられます。
まさに、風通しが悪い職場の象徴的な出来事が起きてしまったように感じます。
1月末の関ケ原町地内での立ち往生・雪害に対し、安全配慮を欠く状況下での職員派遣問題においても、派遣されている職員は吹雪の中で対応中にもかかわらず、災害対応に欠かすことができない重要な精密機器が置いてある部屋で、災害対応を指揮する幹部2人が揃って一緒に喫煙していたことは極めて残念です。
しかし、これは、危機管理部だけの話ではなく、他の部署においても同様の事が起きた場合に、しっかりとした対応ができない恐れがあります。
県民の皆さんや正直かつ誠実に業務に従事している職員の皆さんは、これらの問題が生じているのを知って、大変残念な気持ちになったと思います。
組合は、これらの問題が、しっかり検証され、適切に対応されていくことや再発防止に努められることが重要と考えています。
しかしながら、組合から2月7日に知事あてに調査を強く要請等しましたが、当局からの注意喚起の公式な通知(人事課長・管財課長名)は3月11日まで行われていませんでした。
その結果、1名の管理職は当局からの聞き取り調査を受けた以降も2月21日までの間、駐車場において喫煙を繰り返す事態も起きています。
今回の問題は、注意喚起の通知は出されたものの、未だに県全体での喫煙状況の調査は行われておらず、真に当局として課題と向き合い、検証がなされたと言えないと考えます。
他方、今回の問題を受け「そもそも喫煙所の設置がないことからこのようなことが起きたのでは」という意見も出ていますが、このことについては次の経緯があります。
新県庁が開庁する約2年前に当局より「特定屋外喫煙場所」を設置しない方針が出され、その後職員組合内や中央安全衛生委員会などでの議論を経て、正式決定されたものです。
開庁後の令和5年3月には旧県庁舎屋外喫煙場所も閉鎖され、6月には中央安全衛生委員会において「令和6年4月を目標に、各総合庁舎も全面禁煙化」していくことで調整することが決定されています。
これは、経産省や、本県では健康福祉部が進める「健康経営」を施策として展開する上で、重要な決定です。
この「健康経営」とは、従業員の健康保持・増進の取組が、将来的に収益性等を高める投資であるとの考えの下、 健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践していく取組のことですが、今回の県庁舎内における喫煙問題や県庁舎に職員専用の休憩室が確保されていない問題も含めて、「健康経営」を進める民間事業者のお手本にならず、残念な思いを与えてしまったのではないでしょうか。
本県職員のモチベーションが決して高くない状況は、先月、一部報道でも取り上げられ、TUNAGにおいても掲載しています。
昨年の団体交渉時における総務部長(当時)のパワハラや、本年1月の豪雪による関ケ原での立ち往生・雪害に対し、安全配慮を欠く状況下での職員派遣問題、そして、県庁舎内での管理職による庁舎内喫煙問題に共通していることは何であるかを考えてみたときに、これらの問題に不適切な状況が存在すれば、見て見ぬふりや見過ごし、そして諦めがある場合、職員のモチベーションは一層低下する恐れがあります。
このため、県当局の適切な対応を求めるものであり、職員のモチベーション低下に歯止めをかけるためにも、組合は今後も不適切な事案に対しては、的確に問題提起をしながら活動を進めていきます。

岐阜県職員組合
中央執行委員長  内記 淳司