災害派遣について | STEP BY STEP

災害派遣について

岐阜県職員組合中央執行委員長の内記です。

今回の大雪による高速道路上での車両立ち往生の災害に対して、自衛隊に派遣要請がなされたほか、岐阜県にも派遣要請がなされました。これを受け、県では数十名の職員を現地に派遣し、立ち往生している車両への食事配りや除雪作業を行うこととなりました。
 岐阜県職員は、これまで様々な災害に対して現地に派遣され、被災者支援などを行ってきました。現在は、能登半島地震被災地への派遣が続いているところですし、豚熱や、先日の鳥インフルエンザにも派遣され、作業に従事しています。災害対策の専門部署として危機管理部はありますが、派遣される職員は、普段、県庁などで普通に事務を行っている職員で、男女関係なく派遣されているところです。地方自治体の職員として、こういった業務に従事することは当然のことでありますし、また、命を守るという観点では、危険ではありますが、非常にやりがいのある業務と言えます。
 しかし、今回の派遣に関しては、労働組合の責任者として看過できない事態となっています。現段階での情報が不明確であり、現状を把握しきれていませんが、少なくとも言えることは、職員の安全配慮義務を欠いている状況だからです。自衛隊、警察、消防・・災害現場で従事する職員は、普段から様々な訓練をし、少なくとも、その現場で従事する環境に耐えられうる装備品を準備支給されています。今回の現場は、氷点下、積雪の中、吹雪の中での作業です。
 しかしながら、派遣される県職員には、防寒着、防寒長靴、作業手袋など、準備されてなく、全て自前となります。技術系職員の一部には、防寒着など支給されていますが、それは、今回のような作業を想定しているものではありません。各自の判断で、各自所有の自前の防寒着で向かったわけです。現に現場へ行くのに軍手で向かった職員もいます。さらに、災害現場に必須であるヘルメット携行についての指示がなく、無着用で作業に従事していた職員も多数いたようです。
 今回派遣された、岐阜・西濃地域の職員は、普段から雪や厳しい寒さにも慣れていないでしょう。また、寒いだろうと、ヒートテックのような衣類を着て除雪作業をした場合どうなるか。一気に汗をかいて、作業中から今度はそれが汗冷えとなり、低体温症に陥ることも十分考えられます。重ねて、中継点となる養老サービスエリアへ現地集合という状況。大垣市以西は圧雪路であり、しかも大渋滞の中、通行止めとなっている高速道路を経由して向かっています。おそらく今夜は氷点下5度程度までは下がるでしょう。長靴等の作業靴も各自の判断です。防寒のない長靴で長時間作業したらどうなるのか。
 災害現場への派遣に苦言を呈しているのではなく、派遣に見合った安全を確保すべき装備品がないまま、現場に向かわせることは、明らかに安全配慮義務に欠けているということです。ヘッドライトも必要ですが、これも自前です。登山でもしない限り職員は持っていないでしょう。雪の怖さ、寒さを甘くみてはいけません。
 組合の委員長として、先ほど、このような状態での派遣は取りやめ、自衛隊など装備を備えたみなさんに任せるべきと当局に伝えました。二次災害を起こすことは絶対にあってはならないし、災害現場に装備品を各自の判断で各自の物で対応するなどという甘い考えで派遣するなどということこそ、危機管理意識の無さであると言いたい。
 現在、極寒の中で作業に従事している県職員はじめ、ネクスコの皆さん自衛隊や関係機関の皆さんの安全、そして何よりも身動きできなくなっている皆さんの早期の脱出と安全を願うばかりです。
※1.24 午後11時現在 記事