今回のヒーロー列伝は
忍者戦隊カクレンジャー。

はるか昔、この世を乗っ取ろうとした邪悪な妖怪軍団と
人知れず戦った忍者の一族・隠流忍者。
彼らは命をかけて妖怪達を封印した。

時は流れて現在。
妖怪の存在も忘れ、
隠流の忍びたちも散り散りに、
その子孫も忍者ということどころか
使命も完全に忘れてしまっていた。
唯一、頭領である鶴姫一族を残して。

忍者の末裔であるサスケとサイゾーは
ふとしたドジから妖怪を封印した扉を開けてしまう。
再び世に復活した妖怪たちが暴れだした、
封印を解いた責任もあり、
鶴姫とともに忍者として戦うことを半ば強要状態で
引き受けることになった2人、
後から合流したセイカイ、
アメリカ育ちのジライヤ、
が揃って
忍者戦隊・カクレンジャーが誕生する。

鶴姫の執事兼お目付け役の三太夫の
どっかいいかげんなフォローも手伝い
意思を持ったマイクロバス・ネコ丸に乗って
彼らは妖怪退治の旅に出る。

改めてメンバーは
戦隊初の女性リーダー
紙吹雪や飛行術で敵を翻弄するニンジャホワイト・鶴姫。

火遁と分身の術を得意とするお調子者のサブリーダーニンジャレッド・サスケ

水遁の術を得意とする見た目は貧弱だがやる時はやるニンジャブルー・サイゾー

木の葉隠れなどの木遁の術や
巨大な幻影で敵の度肝を抜く食いしん坊、ニンジャイエロー・セイカイ

土遁の術で地面から敵を急襲する
銃も得意なアメリカン忍者、ニンジャブラック・ジライヤの5人。

彼らは秘伝の「巻き物」を使うことにより
それぞれ
鶴・猿・狼・熊・大ガマの力を持った「巨大獣将」となり
さらに合体して「無敵将軍」に変形する。

今まで悪の組織や宇宙人と戦ってきた戦隊が初めて
組織ではない「妖怪」と戦うのも斬新だったが
リーダーが女性というのもまた斬新だった。
キャストの年齢もぐっと若くなり、
サスケには後に「星獣戦隊ギンガマン」で黒騎士ヒュウガを演じる
スーパー戦隊にかかせない存在となる小川輝晃、
鶴姫役に「シュシュトリアン」の花子役で人気を博した
広瀬仁美。
サイゾー役に今や声優としても活躍する土田大
セイカイには「仮面ライダークウガ」に怪人役でも出演した河合秀
そしてジライヤ役は
アメリカの忍者映画のスター、ショーコスギを父に持つ
サラブレッド、ケイン・コスギ。

普段のファッションも当時流行のアメカジ主体だった。
また、ナレーションが「シンセサイザー落語」など
斬新なパフォーマンスで人気を博し
現代落語の重鎮となっていた
三遊亭円丈が講釈師のおじさんとして登場。
妖怪や話の展開を面白おかしく盛り上げた影の功労者であった。
アクションシーンなどでは
まるで「バットマン」のように
英語の効果音が表記され、新しい試みが話題にもなった。

また、ゲストに
「恐竜戦隊ジュウレンジャー」の千葉麗子
「鳥人戦隊ジェットマン」の岸田里佳
「電撃戦隊チェンジマン」の和泉史郎
更に、準レギュラーに
「地球戦隊ファイヴマン」の咲田めぐみ
「太陽戦隊サンバルカン」の五代高之
「五星戦隊ダイレンジャー」の土屋圭輔
と過去の先輩たちが多数登場している。

他にも少女時代の鶴姫を演じたのが
今やトップスターの井上真央、
シリーズ中盤カクレンジャーを苦しめる
貴公子ジュニアことガシャドクロに
遠藤憲一。
特に遠藤のパンクロッカーのようなスタイルで
エレキギターをかき鳴らしながら暴れる姿は
まさに怪演!物語を大いに盛り上げた。
また、35話には
広瀬とともに「有言実行三姉妹シュシュトリアン」
に主演していた
田中規子、石橋けいが登場。
広瀬とともにシュシュトリアンを髣髴させる
アクションを展開し
妖怪カマイタチを翻弄した。

ガシャドクロとの戦いでカクレンジャーは破れ
大魔王が復活。
三太夫が犠牲となって命果てる。
5人は再起を決意し
それぞれバラバラになって
新たな巻き物を手にするために旅に出る。
その旅先での苦難を乗り越え
新たな忍法・超忍獣の術で
更に新たな力・翼大将軍に変身。
ガシャドクロを撃破する。

この苦難の冒険で最大の山場となったのは
ケインの父・ショーコスギがゲストで登場した
28話「来日・超大物」
29話「史上初の超対決」である。
かつてのジライヤの恩師でありながら
その裏では娘の治療費ほしさに
妖怪・ヌエと結託しジライヤの父を抹殺していた
ガリという役を
見事に演じきった。
ショー&ケインの怒涛の肉弾戦は
戦隊史上に残るベストバウトのひとつである。
皮肉にも後年、
事務所の移籍問題で2人がまさしく
骨肉の争いを展開することになろうとは
誰が思うであろう。

後半に向けて
鶴姫の父でありながら妖怪軍団の参謀となった
白面郎。
ガシャドクロや大魔王の精鋭部隊
花のくの一組
無敵将軍・隠大将軍・ツバサマルの
所謂「三神将」の弟子を名乗る
カクレンジャーの新たな仲間
ニンジャマンの登場と
物語は混戦を極めていく。

そして迎える最終章、
鶴姫の父、白面郎、
実は大魔王を倒す為
あえて人間を裏切るふりをしていた。
それがバレて白面郎は石化されてしまう。
大魔王の策略で鶴姫達を襲うが
鶴姫の兄代わりで
犬に姿を変えられていた
太郎、次郎兄弟の命がけの行動で
無事に救出。

いよいよ大魔王との最終決戦。
しかしここでとんでもないことが発覚する。
大魔王は不死身だったのだ
しかも攻撃すると倒した妖怪が復活してしまう。
それは
大魔王の正体が人間の負の心をエネルギーにした
妖怪だったからだ。

苦悩の末にカクレンジャーは
大魔王を殺さず悪や負の感情に屈しない強い心をもって封印してしまう事が
大魔王を「倒す」ことだという答えにたどり着く。
封印の扉、それは人間の強固な意志が生み出したものだったのだ。
カクレンジャーは大魔王を扉の向こうに閉じ込め、
ドロンチェンジャーで封印、見事に大魔王を「倒した」のだった。

こうして彼らは再び妖怪たちが復活しないように
妖怪がどうして現れるのかを
人々に語り次いでいくことを決意。
ネコ丸に乗って新たな旅へと走っていった。