先週は、粘りが肝心というテーマで記事を書いたので、その続き。

今年は、12月30日まで働いた。最終日は、とある民事再生手続が廃止(これ以上手続を進めないということ)された会社からの相談であった。内容は、守秘義務があり詳しくいえないが、自分が感じたのは、もう少し早くアクションをおこしていれば何とかなったのではということであった。ここまで来てしまったら、取る手は非常に限られているし、その効果も抜群というわけには行かないであろう。

打合せが終わった後、ボスと話をしたところ、「そりゃ確かに、時期が遅いとはいえるが、全く道がないというわけではない。どんな状況下でも弁護士として打つ手はあるはずである。何もしなければ活路は生まれない。」とのコメント。確かに、ボスは、某破産会社の(海外)清算人として、某銀行から200億円ももぎ取った人であるから、その言葉も重みがある。

そうこうしていたら、当職が申立代理人をやっているとある破産会社の社長夫人から、電話があった。破産管財人が、破産会社の財団を構成する不動産を放棄するというものであった。ということは、抵当権者との話し合い次第で、スポンサーなどに売却できる可能性が出てきたというものである。この破産事件は、色々あって(弁護士報酬以上に)労力時間を費やしてきたが、思いもかけず光が見えてきた。やはり、弁護士は粘りが肝心か?

今年も色々あったが、早かった1年であった。この年末年始に今年を反省し、来年のチャートを書いてみたい。
先週は、土曜日がクリスマスというに、朝9時から熊谷で交渉のための打ち合わせがあった。
考えてみると、現在の持ち事件でいうと訴訟事件よりも圧倒的に”交渉”事件が多い。賃貸借の改訂交渉から、任意整理まで種々である。
ところが、どれもこれも一筋縄でいかず、出口が見えない事件ばかりである。もちろん、だからこそ弁護士に頼んでいるんだといわれるのであるが、解決する量よりも、受任する量の方が多いので、どんどん持ち事件が増えていくばかりである。
しかし、For the clientを標榜している以上、簡単に妥協して和解するわけにはいかない。とにかく粘ることが肝心。もちろん、意味なく粘るのでは解決に至らないが、クライアントの立場を粘り強く訴え、相手を説得するという”粘り”を通じることにより、きっと出口の明かりが見えてくるものである(一応そう信じている)。
今年も、今日を入れて稼動はあと3日。昨年末よりも、持ち事件は圧倒的に増えている。
先週(12月13日から19日)は、本当に忙しくてブログも書けなかった。
月曜は、千葉市に建物明渡請求の和解で出張、火曜日は顧問先の千葉県夷隅郡の本社工場へ打合せ、水曜・木曜は事務所にいたが、木曜の夜は新しい異業種勉強会に出席し、金曜は、高田馬場と池袋に打合せで外出、今日は日曜なのに、無断増築物の収去請求の交渉で目黒まで出かけたといった具合。
来週も打合せと外出が目白押しで、忙しいときほど、仕事が集中してくるというマーフィーの法則があるのだろうか。

それでも現場に出ることは非常に楽しい。現場に行くことで、文書でしか見ていなかった事件が、ありありと見えてくる。どころか、見えていなかったことまでが見えてくる。まさに百聞は一見にしかずである。

また、依頼者の事務所にもできる限り、行くようにしている。弁護士は、自分の事務所に依頼者を呼びつけがちであるが、やはり依頼者がどのような事業をして、どのような従業員がいるのかを自分の目で見ることが大事である。

現場主義は、時間をとられるが、今後も実行していかなければならないと思っている。
本日の日経朝刊によると、オレオレ詐欺で、最悪の3800万円の被害があったとのこと。
弁護士とか、法律事務所職員とかを名乗り、今までは交通事故とか、喧嘩とか単純事犯だったのが、医療ミスによる損害賠償など、さらに専門化(?)している。
そこで記事を見ての感想。

1 和解金をすぐ払えとは詐欺師しか言わない。
通常の事件は、当事者同士(弁護士を立てれば代理人同士)で、どんな事件に関し、どのように和解するのか、をこと細かく詰めていくものである。
まずは、和解契約がどのように成立したか、息子さん・娘さんが帰宅してから聞きましょう。それからでも遅くありません。

2 詐欺罪の罪が軽すぎないか
池袋のラーメン屋が強盗強姦で無期懲役の判決が出たとのこと。もちろん、生命身体は取り返しの付かないもので、お金はまた稼げばいいということで罪刑にも差があるのは理解できる。しかし、オレオレ詐欺の被害者は、高齢者ばかりで、彼ら彼女らにとってのお金も”取り返し”が付かないのではないか?
詐欺罪にもピンキリであるが、懲役10年というのは軽すぎないか?
昨日、弁護士会で法律相談を担当し、ある男性から、とある弁護士に事件処理を依頼したが、2ヶ月経っても何もしてくれていないが、どうすればいいかという相談を受けた。どうやら件の弁護士は、事件現場にも行っていないし、相手方とも何もコンタクトしていないとのこと。
自分の感覚では、2ヶ月間何もせずにいる神経が信じられない。
しかし、もっと驚くのは、まだ弁護士には強くものが言えないのだろうか。ということは、当職自身に対しても、クライアントが黙っていることもあるのかなあと、他山の石とすべきと思った次第。