11月19日には、女子プロレスの注目大会が同時間帯で重なってしまった。
当日の正午から、スターダムの後楽園ホール大会。
新宿FACEでは、吉田万里子引退興行。
吉田万里子とは1994年に開催された『北朝鮮・平壌平和の祭典』で
知り合って以来の仲だから、ここはきちんと見とどけるべきだろうなと思いつつも、
結局、現在進行形のスターダムの会場に足を運んでしまった。
万里ちゃん、すまん!
まあ極端に言ってしまえば、スターダムを取材するというより
紫雷イオのメインイベントを観たかったのだ。
現在、最高峰に位置づけされる赤いベルト(ワールド・オブ・スターダム王座)は、
海外流出というカタチでトニー・ストームが保持している。
そこで、メインは白いベルト(ワンダー・オブ・スターダム王座)をめぐる試合。
王者が3度目の防衛戦となる美闘陽子で、
挑戦者が紫雷イオ。
現スターダムのリングでは頂上対決となるから、
ここ最近のホール大会のなかでは会場がイチバンよく埋まっていた。
美闘は周知のとおり、昨年6月、3年半ぶりに現役復帰をしてきた。
前回の2度目の防衛戦(10・17後楽園ホール/vs彩羽匠)が、
30分引分けながら予想以上に白熱した内容だったので、
今回のイオ戦にも大いに期待がかけられていた。
で、率直なところ、いい試合だった。
美闘は全力で向かっていったと思う。
だけど、終わってみればイオが一枚も二枚も上だった。
26分0秒、完璧なムーンサルトプレスでイオが勝利を収めた瞬間、
会場から、「イオ、強すぎる!」という声が飛んだ。
まあ、そのひとことに集約されてしまうだろう。
スピード、インサイドワーク、空中戦、受け身、攻撃と死角なし。
すべてが理詰めで的確。
パーフェクトと言うしかないのだ。
このイオの牙城を崩せる選手って、
はたして今の女子プロ界にいるのだろうか?
強いてあげるなら、赤いベルト保持者であり、
イオとのシングル戦績・1勝1敗1分けのトニー・ストームくらいかなと。
米国WWEでも評価が高く、
まだ22歳(キャリア8年)のトニーならノビシロも含めて今後が期待できる。
だけど、本来であれば、スターダムのなかで若い選手が台頭してこないとおもしろくない。
奇しくも試合後、美闘が12・24後楽園ホール大会をもっての引退を表明。
2年ぶりにワンダー・オブ・スターダム王者となったイオに挑戦表明したのは、
ケリー・クライン(米国)とシャーダネー(英国)の外国人勢。
「両方、順番に毎週タイトルマッチ、防衛戦やってやります!」
そう斬ってすてるイオ。
まあ、結果がどうあれ、相手がどうあれ、
その条件下でつねに最高の試合を見せつけるのがイオ。
だから、やはり孤高の逸女という言葉が浮かんできてしまう。
本当の意味で、とことん紫雷イオを追い込む選手はいないのだろうか?
イオは現状に満足できているのか?
トップを独走している自分のモチベ―ションをどう保っているのか?
そういえば、昨年4月、ロサンゼルスでルチャアンダーグラウンドの大会に出場したイオは、
あのペンタゴンJr.(ペンタゴン・ブラック)から大金星のフォール勝ちを奪っている。
相手は、AAAのトップルードだから、そりゃあ観ていてハラハラしっぱなしだった。
もしかしたら、もうそれぐらいのレベルまでいかないと、
ギリギリのイオというのはなかなか見られないのかもしれない。
な~んて思っている最中、
大会翌日の20日、東京スポーツ紙面でギリギリのイオが掲載されてしまった。
12月16日、ワニブックスより、紫雷イオ ファースト写真集『素顔』が発売されるという。
本人のブログには、「慣れないながらも一肌脱がせていただきました」と表現してある。
まあ、何より賢いというか女子プロレス界、スターダムのことを考えているのは、
当日のブログに、「スターダムという女子だけのプロレス団体に所属しています。
ぜひ一度、会場で生の試合もご覧になっていただけると幸いです」と記載したうえで、
試合動画のダイジェスト版を2試合(岩谷戦、里村戦)添付していること。
東スポ、週刊現代を見た一般読者が「紫雷イオ」を検索したときに、
すぐブログに行きつくだろうから、そこでプロレスを知らない一般の人に自己紹介している格好である。
女子プロレス、スターダムの知名度アップのために一肌脱ぐ。
なるほど、こういうやり方だってあるのだな。
こういう活動もモチベ―ションとなり得るのだな。
なにごとにも全身全霊、誠実だけが取り柄のイオらしいなと思う。
12月16日には、出版記念イベントもあるらしいので、
みなさん、ぜひとも足を運んで、写真集をゲットしてくださいな。
で、オレ?
いやいや、おいらはちょっと見る度胸はないかなと思いますよ。
だって、父親が娘のNUDEを見るような感覚になってしまうだろうからねえ(笑)。