第3回将棋電王戦3月から始まりますね。
楽しみにしている一方で、ちょっと気になる議論も。
レギュレーションです。今回はレギュレーションが大幅改訂されて、以下のようなものに。

1、出場ソフトの決定方法
ドワンゴ社主催の「将棋電王トーナメント」を11月2日~4日に行い、上位5ソフトが出場。(前回はコンピュータ将棋選手権のベスト5が出場)

2、出場ソフトのプログラム状態
電王戦への出場権を獲得したプログラムは、上記「将棋電王トーナメント」出場時のプログラム状態にて出場する。ただし棋譜を利用した自動学習は可とし(カワンゴ談)、バグ修正は不可。使用するOSのプラットフォームは制限なし。(前回は直前まで開発者側がアップデート・バグ修正を自由に加えられた)

3、出場ソフトの貸出の可否
上記「将棋電王トーナメント」出場時のプログラムを出場棋士に貸し出すものとする。(前回は貸し出しの可否は開発者側に委ねられていた)

4、出場ソフトが使用するハードの統一
出場ソフトは全て、ドワンゴ社が提供するPC(ドスパラ提供、CPU:Intel Core i7-4960X、メモリ:64GB、GPU:Geforce GTX660)を使用するものとし、電王戦出場棋士にも同一環境を貸与する。(前回は使用するマシンスペックは開発者側の自由に委ねられ、クラスタ化も制限がなかった)

5、持ち時間・休憩時間の変更
対局は10時に開始され、持ち時間は双方5時間のチェスクロック方式。休憩は12時から13時までの昼食休憩に加え、17時から17時半までの夕食休憩を挟むものとする。(前回は持ち時間双方4時間、夕食休憩は取られなかった。チェスクロック方式への変更は前回、プログラム側が持ち時間を相当残した状況で「1分将棋モード」にロジック変更した事を鑑みたものと思われる) 

さて、問題になってるレギュレーションは2~4です。
これはソフト側に制約を課したもので、プロ側の面子を保つためなんじゃないか、
という批判があるわけですね。
実際、個人的にもそういう感は否めないと思います。

が、そもそもコンピュータとプロ棋士を戦わせ何がしたいのか、と言うと、
興行的な面白さとさらにソフトの進化の確認があります。
ソフトの進化というのは、別にレギュレーションで分からなくなるようなものではありません。
むしろ「厳しいレギュレーションで勝てるソフトの方が優秀」なわけですから。
ハードスペックを極限まで上げて勝つ方が、将棋ソフト開発として意味がないと思います。
そういう観点から見ると、問題なのは「アップデート禁止」です。
これはちょっといただけない。観てる方としても、最新のソフトの成果を楽しみたいですから。
逆に4は当然かな、とも思います。この方がソフト間の優劣も分かっていいでしょう。

チェスではもう家庭用マシンすら使わず、スマホにアプリを乗せてプロと戦ってます。
それでも勝てるのですから、将棋でもいずれはそうなるかもしれません。
個人的に思うのは、今の将棋界は少し体面を気にし過ぎかな、と。
ソフトは進化しますし、そのうちタイトルホルダーでも勝てなくなるでしょう。
その前にじゃんじゃん対局しちゃった方がいいと思うのですよね。
絶対に勝てない状況になってからでは、盛り上がりに欠けてしまいます。

まあ2ちゃんねるとかでやたらプロ批判してる人を見ると、
そういう面子を気にするのも分からなくもないのですが、
チェスはコンピュータに負けても別に滅んでないですからね。
もうちょっとオープンにしてもいいんじゃないかな、と。

ひとつだけ言えるのは、羽生さんがソフトに負ける日が来ても、
将棋も将棋プロもなくならないし、将棋の面白さは不変ってことでしょうか。



文責 ギズ
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。

さて、ちょっと古いネタですが、里見香奈さんが奨励会三段に昇段ですね。
おめでとうございます。これは凄いことですよ(`・ω・´)

しかし重要なのはここから四段になること。
プロ棋士になれるのは、前期後期の例会で上位2名だけですし、
かなり厳しい戦いが要求されると思います。
里見さんは奨励会突破のために棋風改造もしているようですから、
しばらくは女流との

そもそも、女流とプロ棋士の兼任ってできるんですかね?
連盟もこの辺は既に考え始めているのではないかと思いますが……。

批判するわけではないんですが、これなら女流と奨励会の掛け持ち禁止規定、
あれって要らなかったんじゃないでしょうか?
もちろん時期的にこういう事態になるとは予測できなかったわけですが……。
入会試験も特例になってましたし、若干齟齬を来してる気がしないでもないです。

ではでは、今年も張り切っていきましょう( ^ω^)
今年はいろいろやりたいことが山積みです。



文責 ギズ
江戸時代は識字率が高かったとよく言われますが、実際はどれくらいだったのでしょうか?
今回はそのあたりについてちょっと調べてみました。

とりあえず、識字率の現代的定義は、

識字率とは、ある国、地域における識字者の割合のことです。識字者の定義は様々で、読み書きの技能習得(読み書き能力)を意味することもあれば、自分の名前を書くことができるか否か(自署率)で判断することもあります。識字率は国の経済・社会の発展に大きく関与しており、開発途上国では国際協力等により非識字を克服するよう努めています。日本では近年、非識字者数に関する公的調査は行われておらず、15歳以上においては就学率をもって識字率とみなしているようです。しかし、差別によって文字の読み書き能力を奪われたことによる非識字の状況は厳しく、就学率だけでは識字率の実態を把握しているとは言い難いとされています。

ということらしいです。
日本の識字率についてしばしば99.8%という数字が上げられていますが、
それは日本人の99.8%は就学経験があるということなのでしょうか?
案外に謎が多いのですね。

まあ、それは置いておきまして、江戸時代の識字率です。
結論だけ先に述べると、統計がないから分からないということに尽きるかと思います。
識字率を定義して十分なサンプルを取った研究は、江戸時代については確認されていないようです。

ということは、全てが推測になる……というわけでもなく、
明治初頭については比較的きちんとした調査が行われたことが記録されています。
富国強兵を政策に掲げた政府としても、国民教育には非常に関心があったのでしょう。
その成果は、八楸友広氏の論文にまとめられています。

要点をまとめてみると、

・識字率は地域差が大きい。
・識字率は地域の商業化の程度に(若干)比例する。
・女子よりも男子の方が識字率が高い。

ということのようです。
これについては、予想通りかな、という印象でした。

が、ここで問題なのは、識字率調査の仕方です。
どうやら、「自分の名前が書けるかどうか」(自署率)を基準にしているらしく、
「一定のまとまりのある文章がどれくらい読めるか」ということになると、
かなり結果が曖昧になります。

1881年の長野県北安曇郡常盤村のデータを見てみましょう(八楸、55ページ)。

調査結果は以下の通りであった.調査人員882人,うち「数字及自名自村名ヲ読且記シ得ザル者」312人(35.4%)「較自名自村名ヲ記得ル者」363人(41.2%)「較日常出納ノ帳簿ヲ記得ル者」128人(14.5%)「普通ノ書筒井ニ証書類ヲ白書シ得ル者」39人(4.4%)「普通ノ公用文ニ差支ナキ者」17人(1.9%)「公布達ヲ読得ル者」8人(0.9%)「公布達及新聞論説ヲ解読シ得ル者」15人(1.7%).

というわけで、「自分の名前が書けるかどうか?」と、
「文章が読めるかどうか?」は、かなり違う結果になるということが分かります。
これも当然と言えば当然で、特に驚く事実ではないと思います。

1879年の山口県玖珂郡の調査も同様で、男女混合で約44%と、2人に1人が自分の名前を書ける、
というレベルだったようです(八楸、57ページ)。但し城下町になると70%近くに上がるので、
あくまでも全体の平均としてです(逆に非常に低い地域もあります)。

さて、学制の導入が1872年ですから、上述の調査は、
まだそこまで普通教育制度の普及に影響を受けていないと考えられます。
つまり、江戸時代末期も、同じくらいの識字率だったろう、ということです。

ここから何が分かるか、と言われるとかなり難しいのですが、
基本的なところとして、明治政府による国民の底上げおよび均一化は、
当時の教育水準に鑑みて必要だった、ということでしょうか。

あまり面白い結論ではありませんが、ご容赦を(;^ω^)



文責 ギズ
さて、ついに第5局が開催されたわけですが……。

森内名人、おめでとうございます(`・ω・´)
渡辺竜王を先後ともに矢倉で圧倒。まさに名人の貫禄といったシリーズでした。
渡辺竜王の連覇は9でストップ。
そう言えば、10年前の相手は森内竜王だったので、かなり因縁めいたものを感じます。
ほんとうに色々あった9年間でしたね。

下図は第5局で出た森内名人の妙手33桂打です。

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狙いは攻めというより、清算して21龍に31金打と使わせるのが目的のようです。
これで先手玉は安全になるという構想。

王将戦は羽生3冠が挑戦ですし、羽生世代の世はまだまだ続きそうですね。



文責 ギズ
森内名人が2連勝、そこから渡辺竜王が1勝を返した竜王戦。
山場の第4局を迎えました。
ニコニコでは羽生3冠も登場で、タイトルホルダーが勢揃いしました。
豪華ですね(`・ω・´)

第4局は後手番の森内名人が、ゆっくりした展開の矢倉を選択。
矢倉は第3局でも登場して後手が勝っています。
本局は渡辺竜王が駒損の攻めを敢行。森内名人が受けに回った68手目4四馬に、
渡辺竜王は局後「対応を誤ったかもしれない」とのこと。

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以下、森内名人が押し切りました。
これで森内名人が竜王に王手。このまま奪取なるか?



文責 ギズ