懐中電灯を片手に 洛西竹林公園の径を歩き始める。

道すがら 古墳もあるようで 起伏に富んだ径に沿って
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切った竹の中に浮かぶフロートキャンドルは 正に「かぐやの夕べ」の演出効果だ。


それ以外にも 地元の方々が制作した・・・
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灯のオブジェも魅惑的で ボランティアで行われたものだろうが

制作側 もきっと意欲にあふれて制作したに違いない。

旧北都・小樽で 二月に行う「雪あかりの路」なる 市民ボランティアの行事を思い出した。


この「かぐやの夕べ」は 当然の如く竹取物語をモチーフにしている。


実は源氏物語は この竹取物語の引用や影響が 随所に見受けられる。

例えば よく論評されている 第十七帖「絵合」では・・・


「まづ、物語の出で来はじめの祖なる『竹取の翁』に

『宇津保の俊蔭』を合はせて争ふ。」


(まず、物語が出て来はじめの元祖である『竹取の翁』(竹取物語)に

『宇津保の俊蔭』(宇津保物語)を相対して(絵合)を競う。)


と紫式部は著し 物語類(小説)の始祖は 竹取物語であることを 

この稀代な長編物語の中で 明確に論じている。


源氏物語は 11世紀初頭には確認されているから 

この物語類の始祖は 少なくともそれ以前 遅くとも10世紀半ばまでには成立したと考えられる。

通説では元々は 口承説話として伝えられているが やがて漢文書体で 後に仮名の書体に変換され 

広く書籍として読まれ 式部を始め平安中期以降の創作作家に 影響を与えたものと考えられる。 



かの古典文学では 若紫という幼女を北山で拾ってきたら 急速に立派な女性に成長したり
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また当時 異世界のような 九州・筑紫からやって来た玉鬘が 夕霧や柏木その他大勢が登場する

源氏の次世代を含め 多くの男性から求愛され 最後は冷泉帝からも 輿入れを求められる展開は 

この竹取物語が 色濃く反映されていると云えよう。



そして 源氏物語の最終盤に近い 宇治十帖の「手習」でも 

浮舟を助けた妹尼が・・・


「 かぐや姫を見つけたりけむ竹取の翁よりも、珍しき心地するに、

 『いかなるものの隙に消え失せむとすらむ』と、静心なくぞ思しける。」
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(かぐや姫を見つけた竹取の翁よりも、珍しい気がするので、

 『何かの隙に姫が消え失せてしまうのではないか」と、落ち着かない気持ちでいた。)


と竹取物語を引き合いに この老女が焦燥する場面が描かれている。



そして こうも取れるのではないだろうか・・・

かぐや姫は 天上で罪を犯し罰として地上に降りてきた天女。 
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一方の浮舟は 人間の愛執の罪を犯し行方不明となった宮胤の女。


浮舟をかぐや姫に喩え かぐや姫の五人の求婚者に対しては 

浮舟には薫と匂宮に加え 妹尼の亡き娘の伴侶・中将も 求婚者として後に加わる設定。


前述の通り 罪の期限が過ぎ 月へ戻って行ったかぐや姫を例に 

浮舟の消失を危惧する尼君の心理描写は 正に竹取の翁のそれと 容易に類推できる。


終焉では 前者はかぐや姫の永遠の別離となる 月への帰還。 
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後者の源氏は 男女の愛執に疲れ果てた浮舟の 下俗との別離となる落飾。

これも何か通じているような気がする。


紫式部は・・・
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この浮舟の展開を 本当に かぐや姫をモチーフに考えたのかもしれない。