競馬シーン2003春・ヒヨシマルとスーパーノヴァ
初黒星から春競馬制覇まで
17戦無敗で年を越したヒヨシマル。この年の目標は、日本競馬の完全制覇である。
2月から始動。ダイヤモンドSで7馬身差、目黒記念で5馬身差の圧勝を飾り、デビュー以来の無敗記録を19戦まで延ばした。
さらに、デビュー戦からの20連勝を目指し、阪神大賞典に臨む。
だが、これはスーパーノヴァも苦労した殺人レース。ヒヨシマルも64kを背負って3000mを走るハメになった。ここに大きな落とし穴が待ち構えていた。
なんと、さしものヒヨシマルも、最後の直線で隙を見せたのだ。ここで、一世一代の追い込みをかけ、ヒヨシマルに一頭の無名馬が襲い掛かった。メイジペルセウスである。かつてない重負担にヨレたヒヨシマルは、この猛追を抑えきれない。見事、メイジペルセウスがヒヨシマルを差し切り、歴史的ゴール。この一発だけで、メイジペルセウスは、「ヒヨシマルに初めて土を付けた馬」として、歴史に名前を残すこととなった。
それでも、ヒヨシマルは、シンザンを超える連対記録は継続。大阪杯を勝って立て直し、さらに記録を延ばして、古馬の最高峰・天皇賞春へと臨んだ。
天皇賞春は不良馬場の戦いとなった。それでもあの阪神大賞典の地獄に比べればよほどマシなのか、アカサカフリーに3馬身半差つけて快勝。スーパーノヴァは重の鬼ながら、4着。メイジペルセウスは、確か5着。実はヒヨシマルは重巧者でもあった。NZT4歳Sとセントライト記念でも、不良馬場で圧勝していたのだった。
さらに、ヒヨシマルは中一週で安田記念に参戦。見事、1.32.0のレコード勝ちを飾った。2着は同門同期の牝馬、ゴージャスアイリン(父ミルジョージ、母シスタートウショウ)で、ワン・ツーフィニッシュ。ヒヨシマルに2馬身半差と頑張った。後に、この2頭は結ばれ、歴史に残る美人姉妹、ガラドリエルとディードリットを生み出すことになるが、それはまだ先の話。
そして、ヒヨシマルは、春競馬の完全制服を目指し、宝塚記念へ。ここでは4馬身差、全く危なげのない勝利で、春の古馬王者の座についた。2着は同門の晩成馬、ユニコンギャロップ。スーパーノヴァと同期だが、これまで全然名前が挙がってこなかった。ここにきて、4着に敗れたスーパーノヴァにようやく一矢報いた感じ。
なお、ヒヨシマルの同一年度春GI三勝(春天・安田・宝塚)は、その後、2043年、6歳牡馬ワイルドペガサスによって再び記録されるまで、何と40年間並ぶものがなかった。
スーパーノヴァは、この春は、とにかくヒヨシマルの裏方に徹していたようなところがある。前年と同じくフェブラリーHを勝ち、さらに日経賞を勝って、実力健在ぶりを示した。にもかかわらず、DB卿CTなんぞに出走している。大阪杯でヒヨシマルと対決させることも考えられたはずだが、避けたのだった。義屋巧の思いとしては、凱旋門賞の声が掛かるのは、まず、ヒヨシマルでなく、スーパーノヴァでなければならなかった。ヒヨシマルには夏をしっかり休んでもらって、秋の天皇賞を走らせたかったのだ。DB卿CT勝ちで本賞金を上げたのが良かったのか、スーパーノヴァはその後春天・宝塚共に4着に敗れたものの、無事に凱旋門賞に誘われ、遂に今年は遠征に赴くことになった。ヒヨシマルも無事に、故郷の三石牧場に帰省し、秋に向けて鋭気を養えることになったのだった。