朝からCDをかける。未だにデータで聴くよりも、CDを引っ張り出してきてコンポで聴くのが好きだ。

円盤型の薄いプラスチック板から、最新型のロックミュージックが流れてくる。だけど、CDはもう20年以上も前のものだ。

 

 

ゴールデンウィーク、この時期にいつも思い出す人がいる。

1998年5月2日に亡くなったミュージシャン、hide。

 

X JAPANのギタリストであり、hideとしてソロデビュー、後にhide with Spread BeaverやZilchでも活動してきたロックミュージシャンだ。本名、松本秀人。

僕がXにハマったのは随分後になってからなので、X JAPANのHIDEよりソロとしてのhideの方が出会ったのも早く、馴染みも深い。

 

 

hideの楽曲はかっこいいのはもちろんのこと、常に新しさが感じられる。もう20年以上前の曲だというのに古さを全く感じない。いつ聴いても、最新型に聴こえるのが不思議だ。

実はhideは未来から来たのではないかと、真しやかに囁かれることがあるが、僕もこれを信じている。楽曲だけでなく、ファッションやメイク(X加入前は美容師として働いてた)、ビジュアル面でのセンスもあったhideは、はるか遠い未来からちょっとしたイタズラ心で20世紀に遊びに来た、未来人だったんだと思う。hideは当時まだ普及していないコンピュータも早くから導入し、90年代前半にすでにライブでパソコンを使ったギミックを披露したり、1995年には自身で製作したホームページを開設している。自らの楽曲についても「人間のグルーヴを切り刻んで機械のビートと融合させたロック」を提唱し、彼の曲はのちに“サイボーグロック”と呼ばれることになる。やはり未来人の仕業に違いない。

 

未来人hideの曲が多くの人を魅了し続けているのはサウンドだけでなく、歌詞の良さもあると思う。X(YOSHIKI)の歌詞は悲しみを背負って僕らの心に響くものだが、hideの歌詞はまた違った前向きさポジティブな良さがある。そこには幼少期の肥満児だったコンプレックスを知っていることや、難病であったファンとの交流を続けてきた、hide本人の優しさや他人への思いやりが滲み出ている。

 

 

1stソロアルバム「HIDE YOUR FACE」は、hideがロックに出会った頃の自分"少年 松本秀人"に向けて作った作品だという。未来の自分がタイムスリップしてきて、少年の自分にプレゼントした作品だ。それと同じように他の作品も、未来からやってきたhideが現代の僕らにプレゼントしてくれたものだったんじゃないかと思う。

はるか遠い未来から来たhideが残してくれたものは、いつまでも色あせることなく、僕らにとって新しいままで、ずっと心に響いていくんだと思う。

 

 

松本秀人は亡くなってしまったかもしれないが、hideはまた未来に帰っていったんだきっと。そして、またイタズラ心で“桃色のくも”になって現代に遊びに来ては、どこかで僕らを見てくれてるんじゃないかと思う。

 

この自粛中に仕事も外出も出来ず、髪をピンク色に染めた人が多いように思ったけど、きっとそれもhideの仕業なんだろうな。全くイタズラ好きなhideらしいと思った。

 

 

hideは今日も未来からやってくる、円盤型の乗り物に乗ってやってくる。

再生ボタンを押すと、円盤型の薄いプラスチック板から、最新型のロックミュージックとともにやってくる。