19才の冬。学生生活にもなれ、それでも定期のバイトはやらず、短期の日雇いで銭を稼ぐ男は、タッパーに詰めた白米と梅干しだけで昼間の腹を満たす。

雨が少し降り出して、山道の道路は濡れた匂いがする。トラックに乗せられたおじさんと二人。ラジオから流れてきた曲の歌詞に心を持っていかれた。やさしいだけじゃ愛せはしない。