「あぁ、早く中学生になりたいなぁ」
小学六年生が輝く未来を夢見て、希望いっぱいに口にした言葉ではない。高校一年生の春、入学したてでまだ新しい学校にも慣れていない頃、同じ中学の友達が言い放った言葉である。時が経てば、過去へ戻れるという謎の時空方程式が彼の中では出来上がっていたのだろうか。衝撃だった。
学生時代というのは人生において特別な輝きを持って存在する貴重な時間だ。それが良い思い出だろうが、悪い思い出だろうが、何だか胸の奥の方の感情が不思議と動かされるものである。最近の流行り言葉でいうところの「エモい」というのが広い意味では当てはまるような気がする。エモい。えも言われぬ感情、それこそがエモみなのだろうか。

BiSというアイドルがいる。現在活動中の10人組アイドルグループであり、デビュー後に一度は解散をしたものの、2年後にリーダーだけを残して新メンバーを入れて再結成、その後メンバーの増減や他グループとのトレード、最重要人物であったリーダーの脱退を経て、今は10人を2つのグループに分け、BiS 1stBiS 2ndに分けて活動をしている。簡単に書いたが、知らない人はすぐ理解ができないであろう激動のグループこそがBiSなのである。(正式名称は、新生アイドル研究会(Brand-new idol Society)といい、BiSはその頭文字の略称である)

ここまで長々と書いていて何だが、簡潔に言いますと、アイドルのライブを見に行ったということです。

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BiSI don’t know what will happen TOUR」のファイナル公演を観た~

僕は旧BiSと言われる解散前の頃からBiSが好きだった、復活後の新BiSも動向は追っていたし、ライブもたまに行っていた。
現体制の2チーム制になってからは、CDショップでのリリースイベントは見ていたものの、正式なライブを見るのは初だったので、すごく楽しみにしていた。

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開演時間になり、事務所社長兼プロデューサーの渡辺淳之介の挨拶の後、まずBiS 2ndからライブが始まった。

メンバーが登場し、1曲目のイントロが鳴り出した瞬間から僕の心は、グッと掴まれることになる。旧BiS初期からの楽曲である「Give me your love全部」から始まったライブは、その後も旧BiS時代のシングル級の曲の連打によって、僕を含めた旧BiS時代からのオタクたちを殺しにかかっていた。これが神セトリというやつかと思っていた矢先、4曲目「primal.」で既に僕の目と頬は何かで濡れていた。

実は僕が見るアイドルは全部WACKという同じ事務所に所属している渡辺淳之介(楽曲は松隈ケンタ)プロデュースのアイドルなんです。他グループのライブを見ていつも良さを感じる部分はあるのですが、やっぱりエモさではBiSには敵わない。一番エモいのはBiSだなと改めて思いました。

そして、その最もエモいBiSから、学園モノのストーリーのようなものを感じ取ったんです。BiSWACKの中でも最も長い歴史を持つグループであり、メンバーの入れ替わりも一番激しい。その中で曲の歌割りにも歴史を感じる場面もあって。「BiSBiS」での、元メンバー・ももらんどの歌っていた「(大人は全然信じたくはないよ)今の私も嫌い」を、今は2ndではムロ・パナコ、1stではトリアエズ・ハナの後輩が引き継いで歌っていて、単に歌割りが変わっただけではあるのですが、そこに元メンバーの背負っていたストーリーを現メンバーが引き継いで、繋いでいくようなバトンリレーのような思いを感じたりもするのです。ああ、なんてエモいんだ。

さらにBiS(今回、特に2nd)を見ていて感じたのが、エモさだけでなく、やっぱり爆発力があるなということでした。他のWACK所属グループと比べても、事務所WACK(渡辺淳之介)のモットー?でもあるスクラップ&スクラップをグループ運営の面でも体現しているだけあって、今の現状を打破しようというすごいパワーを感じました。最も歴史の長いグループであるBiSが最も破壊を好み破壊に好まれたグループだというのもとても面白く感じました。

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セトリは2nd1stともに全く同じで、旧BiS時代の代表曲から現BiSの代表曲を年代順に網羅したベスト的なものでした。それゆえに、エモさを感じた部分も大きかったのですが、2nd1stが互いに高め合うというより、バチバチに戦っているという印象も受けました。



ライブ後に、1st2ndのメンバーを入れ替えるための投票制の選挙企画「BiSリーグ」の結果発表(票数の多い上位4人が1stチーム)や、新体制発表後すぐのBiSリーグ廃止の決定、そしてメンバー5名の戦力外通告(そのうち1名はBiSリーグ投票結果2位だったメンバー!)という衝撃すぎるニュースのオンパレードだったのですが、ああこれがBiS、これこそがBiSなのかという手のひらの上で転がされている感が、後味悪くも気持ちよかったりしました。

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最も今後の動向が気になるアイドル、BiSの現象にリアルタイムで立ち会えていることに少し喜びすら感じたのでした。