合格発表。壁に貼り出される幾多の名前たち。その中に自分の名前がいるか探す作業。何年ぶりだろうか。大学受験をした時はパソコンで合格発表を確認した。壁に貼り出されたものから自分を探し出すのなんて、それこそ高校受験以来だ。自動車免許の合格発表がどんなスタイルだったかは覚えていない。

秋元康プロデュースの新しいアイドル。乃木坂46、欅坂46、けやき坂46に続く坂道グループ最新版が、吉本坂46だ。秋元康プロデュースの新グループが出来るなんてニュース、普通に生活をしていたらまたかという顔をして聞き流していたに違いない。それが今回は違った。吉本坂…吉本?よしもと!?自分が何とか一応所属している事務所であり、芸人事務所の中では最大手であり、抱える芸人の数も数え切れないくらいの誰もが知る芸人のデパートかつ芸人の墓場かつ最も芸人を芸人たらしめている事務所。芸人生活も気づくと数年たち、実質の活動期間なんか微々たるものだが、いろいろと考えを巡らすことも必然と多くなった。そんな時に舞い込んできたニュースである。チャンスはどこにでも転がっているが、つかみ取れるかどうかは自分次第。僕の中では、まあまあ強めの決意と共に履歴書を提出した。

迎えた今日、吉本坂46の書類一次審査の結果発表。発表の時間は朝10時。僕は、新宿某所にある合格発表の地に立っていた。ざっと700名近くの芸人の名がそこには載っていた。パッと見で、あいうえお順に並んでいることが分かる。すぐ自分の場所を見る勇気はなく、そのまま左上のあ芸人から名前を見ていく。自分は最後の方だから、と思っていたのだが、なぜそんなことを思ったのかは謎だった。ギは割と最初の方だ。結局、カ行のところに目線を持っていき確認をした。ナイ。ない。無い。無いじゃん、名前。僕の、ギ。ギブ・テイラー。綺麗さっぱり落ちました。ああそんなもんか僕のアイドル坂。歌唱審査あったら、こんな曲歌おうとか、ダンスはこんな感じでとか、考えたりもしていたが、まさか書類審査で落ちるとは。。。自分がアイドル側に立つことはとてつもなく険しいのだなと実感しました。
受かっていたのは、実力や名の知れた人、少しでも何かを残している人だった。それに不平不満はない。もちろんそれは、その人たちが今まで残した結果であるし、今まで頑張ってきた成果だ。それが何もない自分は、選ばれなかっただけなのだ。至極真っ当なことだ。

不合格ではあったものの、そのまま記者会見、囲み取材に参加した。何と吉本坂46も、恋愛禁止らしい。ああ、僕は恋愛していいんだな。これは秋元先生からの恋愛せよとのメッセージだと受け取った。でも恋愛なんて禁止されてる方がしちゃうんだろうなあ。誰かに僕の恋愛を禁止してほしい。

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