漫画喫茶?ネットカフェ?自由な空間?精神と時の部屋?
今となっては何と呼ぶのが相応しいのか分からない、そんなところ。そこに今おる。今、おるんや!おるんやで、お母さん!実家を出て夢を叶えるために上京したあなたの愛する息子が、今そこにおるんやで!

今、これを自宅のパソコンではなく、そこで書いている。たまにあるのだ。家に帰れない時が。あれ、10日前ぐらいにもあったな。


僕はいつものように個室に通される。そこにはパソコンがあったり、テレビが見れたり、漫画たくさんあったり、ジュースたくさん飲み放題だったり、いろんな映画や映像も見れたり、そんなところだ。
特に読みたい漫画もない(厳密には読みたい奴がその店に置いてない)僕は、いつもジュースを飲みながらテレビを見て過す。

にしてもさっきから隣がうるさい。さっき隣の部屋の客に食べ物が運ばれてきて、今それを食べているらしいがその五月蠅さたるや!
五月蠅さたるや!
五月蠅さたるやである!

[五月蠅い]と書いて、〈うるさい〉と読むんだよ。勉強になるね。
五月の蠅はうるさいもんね。
[蠅]と書いて、〈はえ〉と読むんだよ。勉強になるね。
May Fly is NOISY!

さぁ、みんな一緒に!
\五月蠅さたるや!!/

みんなー、ノッてるかーい!
\イエーイ!!/

愛し合ってるかーい!
\イエーイ!!/

行くぜー、せーのっ!
\五月蠅さたるや!!/


あまりの五月蠅さにライブ会場さながらの盛り上がりを見せてしまった。
その音からするに、おそらく麺類を食べているのであろう。
ズルズルというか、ズバズバというか、ズズズズというか。
もーう、すごい音だぞ。これは女性によっては、別れを切り出すきっかけになってしまいかねない。

男「ここ、オススメのお店なんだ」
女「へぇ~、オシャレね」
男「だろ?夜景の綺麗な席、予約したんだぜ☆」
女「キャー、惚れちゃうわ」
男「まあ、座ってよ」
女「なんて綺麗な夜景。何万ドルなの?」
男「百万ドルさ!(キリッ)」
店員「お客様、ご注文は?」
男「いつもの」
女「(まぁ、この人リピーターなのね)」
店員「そう言うと思って、すでに作ってありますよ」
 頭上から、料理がドスン!
女「(なんて、意表をつく演出なの!)」
男「さぁ、おたべ」
女「あなたも、おたべ」
男「ZUBABABABABA,ZURURURURRURURUR,ZZZZZZZZZZZZZZ!」
女「きったねー、食い方じゃねーか!別々の道を歩もうぞ!」


なんだこれ、こんなだったっけ?
なんかそばの喰う音が五月蠅いとかで別れたのあったよね。

そんなことはどうでもいい。
とにかく、隣が五月蠅いのだ。


てめー、コラ。こっちだって黙ってちゃいられない。
本当は恐ろしい最終回の漫画を持ってきて、ぼそぼそと朗読してやろうか!
デビルマンがいいか?笑ゥせえるすまんがいいか?東京大学物語がいいか?
最後のは、すさまじいオチだぞっ!

…あと、南くんの恋人って、最後ちよみ死んじゃうんだぜ。悲しいだろ?
ちなみにドラマ版は、深キョンじゃなくて高橋由美子派だぜっ。時代を感じるだろ?


とか言ってたら、隣の客は麺を食べ終わってた。
しかし、今度は何やらぺちゃくちゃ喋っている。

ま、まさか!本当に小さな恋人がいて、その子を胸ポケットに忍ばせ、バレないように楽しく会話をしているのでは!?
これは、やばい、やばいぞ。
「みーなーみーくぅ~ん」
今すぐ隣から声が聞こえてきそうじゃないか。
何だか、こっちも胸が高鳴るぜ。

「うん、今マンキツ。もうすぐ帰るね。じゃあ切るね」
なんだ、電話かよ。
ニャロメ!電話なんかすんじゃねーよ。
もうすぐ帰るねって、帰る家があるのに、こんなとこ来てんじゃねーよ。


いかんいかん、イライラしてしまってはいかんぞ。
落ち着け、落ち着け。一休み一休み。

あぐらをかき、指を舐め、その指でこめかみをクルクル。
ポクポクポク・・・・


気がつくとそのまま寝ていた。
隣の客は、いつの間にか帰っていたようだ。



ふと思いついて自分の胸ポケットを確認してみたら、ドリンクバーの所にあるインスタント味噌汁(わかめ)が入っていた。

「わかめちゃん、いつの間に入り込んだんだい?」
この後、僕が美味しくいただきました。