こんばんは。
TVから録りためていた映画の中から、映画「春琴抄」(1976年)を観ました。
谷崎潤一郎は、数ある日本の文豪の中では、結構好きでそれなりに読んでいます。
その中でも、「春琴抄」は好きな小説のひとつです。ただ、本書を読んでもう20年は経とうかとしていますので、詳細な点についての記憶は曖昧なのですが。
さて、映画「春琴抄」(1976年)。
まず驚いたのが配役でした。
山口百恵さん、三浦友和さん。実は、山口百恵さん、三浦友和さんが出ておられる映画を観るのは初めてでした。
お二人とも、本作品の役に徹しておられて、非常に好感を持つことが出来ました。お琴役を演じる山口百恵さんは、キリリとしていて美しかったです。また、三浦友和さんは、今CMで「プリン体と戦っている」とは思えないほど、役どころの奉公人らしさを実直に醸し出していました。
そして、次に驚いたのが、津川雅彦さん。「美濃屋利太郎」という若旦那役なのですが、最初、風貌からも声からも、まったく津川雅彦さんとは気づかず、wikiで調べて、「ええっ、本当?」というぐらいに驚いてしまいました。
次に、ストーリーは大枠で谷崎の小説のとおりでしたので、あらすじで驚くところはなかったのですが、私は、琴と三味線という邦楽の美しさを本映画作品で強く感じました。明治始めのころの日本家屋の中において、今のような蛍光灯の煌煌とした照明でなく、自然光も取り込んだ曖昧な光の中で、奏でられる琴や三味線の音は本当にマッチするなあと実感しました。
これの対比として、三浦友和さん役の佐助が最後自分の両目を針で突くシーンは、まったくの無音。本作品では、美しい邦楽の音と無音という、音の対比が非常にうまく作られているなと思いました。
本作品を観始めた頃は、関西弁がどことなくぎこちないように感じられ、少々違和感を持っていたのですが、山口百恵さん、三浦友和さんの真摯な演技と、映像面・音響面から日本の美を感じることが出来ましたので、非常に満足できました。
最後に、山口百恵さん演じるお琴と、三浦友和さんが演じる佐助との関係はどのようなものであったのか、私の言葉ではなかなか説明することは難しいです。たしかに、取っ掛かりはこいさんと奉公人、師匠と弟子というところが出発点だったのかもしれませんが、最後は、二人とも芸事を通じて目ざす美によって固く結ばれた愛情関係であったのではないかと思えてなりません。二人がどこか俗世から超越して見えたのは、それゆえなのかなと思いました。