本作品は、ロンドンのナショナル・ギャラリーという美術館についてのドキュメンタリー映画です。
ダ・ヴィンチ展やターナー展の準備から開催に至るまでのプロセス、展示室内でのピアノリサイタル、最後はティチアーノの絵の前でのバレエのほか、本作品では、ナショナル・ギャラリーの裏側を克明に追っていて、大変興味深かったです。
具体的には、ナショナル・ギャラリーをもっとよくしていくために、ギャラリー側が観覧者ともっと対話をすべきではないかとか(実際に、キュレーターや案内人がひとつの絵について、それはそれは詳細に説明したり、自分の考えを観覧者に説明するシーンがいくつもあります。)、次年度の予算について過少に見積もりすぎではないかとか、ナショナル・ギャラリーはどこまで大衆的なイベントに関わっていくべきかとか、普段一般人では見ることのできないギャラリー関係者の熱い会議が映し出されます。
そのほか、絵画の修復は単に絵の汚れやキズを直すだけのものではなく、原作者の意思や作品作成時の技術等を丹念に調べ上げて行われるもので、最後は修復を行う人の主観が結構入っていくものなのだという修復家の見解は新鮮でした。かなりの自信とパースペクティブ、そしてバランス感覚がないと修復家という仕事は怖くてできないなと感じました。
それと、現代の私たちは、美術館において、電灯の中で絵画を見るのが当たり前ですが、たとえば500年ほど前の作品であれば、当然電灯はなかったわけで、たとえば暖炉の明かりが床に反射して、この絵は見られるものとして作られていたとかという説明を聞いたりすると、「なるほどなー、これからはそういう作品が作成された時代や場所・背景等を見て、イメージを膨らませて絵画を見ると面白いかも。」とか思いました。
加えて、ひとつの絵画の照明の当て方について、何度もトライする場面があり、絵画鑑賞において光というのは大変重要なのだなと気づきました。
私は、絵を描くのも下手、絵を鑑賞する技術や知識も持ち合わせていない、単なる絵画・美術鑑賞愛好家ですが、本作品は、ナショナル・ギャラリーが所蔵する数多の素晴らしい作品をまさに自分がギャラリーの中に立っているかのような雰囲気で観ることができます。それに加えて、上に書いたように、絵の見方についての説明を聞くことができたり、美術館の裏方たちの努力がよく分かり、大変面白かったです。
ただし、フィクションとは違って、3時間、ずっとある意味地味に映像が進んで行きますので、途中10分ほど、意識を失っていました。
観覧後、本作品のパンフレットを購入しました。またゆっくり読んでみようと思います。
映画は、やっぱり映画館の大きなスクリーンと素晴らしい音響の中で、じっくり観るのが一番と改めて思いました。



