関内駅からほど近い場所に、こぢんまりとしたラーメン屋があった
「唐桃軒」と看板に書いてある
そのラーメン屋のもつ雰囲気というか佇まいに惹かれて、僕は貼り紙だらけのドアを通った
店内は蛇の寝床のよう
また、壁のいたるところにメニューが貼られている
しばらくすると、部屋(というか仕切られた空間)から店主と思われる人が出てきた
僕はチャーシュー麺を注文した
理由は、この店は自家製チャーシューを売りにしているようだったから
また、普段は醤油チョイスだが、あえて塩を頼んだ
そうして出てきたのがこちら
ラーメンには全く関係のないことだが、携帯電話のカメラの画質が悪くて毎度いやになる
ラーメンが出てきた高揚をうまく表現できるカメラはないものか
箸を割り、チャーシューの蓋を外し、麺と対面する
見たところ、どうやら細麺のようだ
僕は縮れ麺が一番好きだ
縮れ麺はうまくスープと絡み、もちもちとした食感がたまらない
とりあえず麺を一口、すすってみる
次にスープを一杯、レンゲですくって飲む
どうやら塩チョイスは失敗だったようだ
僕が塩ラーメンを食べ慣れていないため、評価をすることができない
味が薄いように感じるが、塩の世界ではそれが普通なのかもしれない
僕はチャーシューを食べてみた
ふむ、柔らかい
肉の柔らかさを、英語ではtenderという
優しいという意味もあり、Love me tenderという使い方をされたりする
肉の柔らかさは、優しさである
同じ柔らかいという意味の語softも、優しいという意味をもつ
しかしどうにもsoftは物足りない
softには滑らかな、すべすべしたという意味もある
つまり、softとはマシュマロなのである
マシュマロを含めて、菓子にはどこか幼稚なイメージが付きまとう
なるほど、柔らかいをsoftというと子供っぽいし、マシュマロはムルモの大好物だった
店主は、僕が塩ラーメンを食べている間、ずっとカウンターで僕を見守っていた
他に誰もいない空間で、僕は店主に勘定を支払った
店主はあらかじめお釣りを用意するという真面目な一面を見せ、僕は少し愉快な気分になった
最後に唐桃軒のリンクを貼っておこう
唐桃軒