東京レインボープライド 2024 のパレード。同性婚ファミリーのフロート。
2024年4月22日。東京都渋谷区。©outjapan.co.jp.
【22】 資本主義的「世界=経済」――
「身分集団」ないし「アイデンティティ」
ひきつづいて、「近代世界システム」の基底をなす「家計世帯 ハウスホールド」について見ていきます。ここで「身分集団」という聞きなれない用語が出てきます。「階級」とはまた別の、「家計世帯」の集合ないし種別であるようです。マックス・ウェーバーの用語だそうですが、古代や中世のサムライだとか貴族だとかいう「身分」をイメージしてもよく解りません。まずはウォーラーステインの説明を聞いてみましょう:
『われわれは何らかの身分集団/アイデンティティのなかへ生れ落ちてくるわけであるから〔…〕身分集団/アイデンティティというのは、生得的に貼られるラベルである。〔…〕こういった身分集団/アイデンティティは、誰しもが〔…〕属しているさまざまな「人間集団」――民族,人種,エスニック集団〔種族――ギトン註〕,宗教共同体など――のほか、ジェンダーや性的選好のカテゴリーとしても存在する。〔…〕身分集団/アイデンティティの一員であることは、おおいに近代的であることの一部である。実際、身分集団/アイデンティティは〔…〕、資本主義のシステムの論理が展開し、ますます強力にわれわれを呑みこんでいくにつれて、ますますその重要性を増しているのである。』
ウォーラーステイン,山下範久・訳『入門・世界システム分析』,2006,藤原書店,pp.96-97. .
つまり、人はさまざまな人間集団に同時に所属して生活していますが、そうした集団には、生まれつき所属が決まっていて変えようがないものもあれば、自分の意志で入ったり出たりできるものもあります。日本人で、アイヌ種族で、黄色人種で、(幼時洗礼の)カトリック教徒だ、というのは前者ですが、(引っ越してきた)東京都民で、どこどこの学校の生徒で、共産党員だ、というのは後者です。前者は、多くの場合に「家計世帯」ごと同じ集団に属しています。古くは、貴族、武家、平民といった「身分」が、前者の典型でした。しかし、近代になると、そういう古い「身分」は廃れて、民族,エスニック,(生得性の強い)宗教などが残っているわけです。
いや、‥‥たんに残っているのではなく、むしろ、これら新しい諸種の「身分」は、近代化が進むほどますますクローズアップされてくる関係にあります。たとえば、ジェンダー。男/女は、昔からあった種別ですが、それが近代に進むにしたがって社会的・政治的意味を強めてきたと言わざるをえない。近代の前半期では、男/女の区別が厳格化され、差別的社会機能を強めてきました。後半期から現在にかけては、それに対する抗議と反省がしだいに大きくなっています。ジェンダーは、「ひとつの家計世帯がまるごと同じ身分に」というのではないが、「家計世帯」内での役割を通じて「男」または「女」集団に属しているという意味では、他の「身分」と同様に、「家計世帯」を介して身分集団に繋がっていると言えます。このようなジェンダーの社会的ありよう自体に、現在のジェンダー批判は向けられています。
同様にして、「LGBT」の一部も、現代における「身分」種別の一つとなりつつあります。典型的なのは、トランスジェンダーや同性のカップルを中心とする同居家族です。しかし、いわゆる「バイセクシュアル」:通常の異性婚家族の夫または妻が婚姻外で同性愛行動をしている――という場合は、ここでいう「身分」にはあたらないでしょう。
東京レインボープライド 2024 のパレード。Youth Pride Japan のフロート。
2024年4月22日。東京都渋谷区。©outjapan.co.jp.
このように、現代の「身分」というべき生得的人間集団は、最近の言い方では「アイデンティティ」と称されることが多いかもしれません。他人から見て言う場合は「身分」、本人から見た場合には「アイデンティティ」というわけです。しかし、「アイデンティティ」という語は、アメリカやヨーロッパでもまだ、このような意味では一般的になっていないと思います。「アイデンティティ」は、たいへんあいまいな言葉です。濫用は、誤解や空虚な思い込みを正当化してしまいます。私は、「アイデンティティ」という語はあまり使わないほうがよいと思っています。
ウォーラーステインが注目しているのは、個々の「家計世帯」の中で、「身分」集団の「同質化傾向」が見られることです。現代の資本主義社会では、「身分」は一面では様々に分化し、多様化しているように見えます。かつては「ドイツ人」という民族の同一性が強調されていたのが、北ドイツ人(平地ドイツ人),南(高地)ドイツ人という(それぞれの歴史を背負った)種族が主張されるようになり、さらには、バイエルン人,フランケン人,ザクセン人,‥‥というように細分化されていきます。スペインのカタルニア,バスク、英国のスコットランド,ウェールズのように、分離独立運動に発展する場合もあります。
しかし、ひとつの「家計世帯」の中で見たとき、成員が “多様化” し、バラバラになってしまう傾向がすべてではない。それだけだと家族は壊れてしまいます。むしろ、「家計世帯」は成員の多様化を受け入れたうえで、新しい一様な「身分」として同質化していこうとするのです。
「たしかに家計世帯内には、その成員に共通のアイデンティティを維持させ、単一の身分集団/アイデンティティに属させようとする大きな圧力がある。」家計世帯の成員が、「世帯」からの「同質化」の圧力を最初に受けるのは、《結婚》の時です。「成員は、その伴侶として同じ身分集団/アイデンティティ」の相手を探すよう言われるか、すくなくともそういう無言の「圧力を受ける。」
しかし、現在では、これはかなり難しい要求なのです。第1に、「近代世界システム」の作用として個人は絶え間なく移動するので、あらゆる身分集団は、居住地でも学校でも職場でも混じり合って存在します。しかも、のちほど述べるように、「普遍主義」という「近代世界システム」の優越的イデオロギーは、人種,民族,宗教などは無視せよ、真に愛し合える相手と《結婚》してこそ幸せになるのだ、と説く。その結果として、家計世帯という枠組みの内部において、「アイデンティティがかなり混ざり合ったものになってきているのも」事実です。
にもかかわらず、「個々の家計世帯において起こってきているのは、単一のアイデンティティへの進化である。」すなわち、「本来的なアイデンティティが混ざり合ったところに生ずる」新しい身分集団/アイデンティティが「具体化されてきている」。こうした「アイデンティティの紐帯〔…〕には危ういところもあるが、そうすることで、身分集団/アイデンティティという枠組みのなかで、再度、家計世帯 ハウスホールド としての一体性が回復される。」(pp.97-98.)
ウォーラーステインの・このような指摘は、現代の「家計世帯」にかんして重要な点を突いていると思われますが、いまひとつピンと来ないところもあります。具体例が示されていないからです。が、そこで結論としてウォーラーステインが言いたいのは、〈家計世帯 ハウスホールド には、成員の身分・志向・価値観を等質化する機能がある。それは、資本主義システムのもとで弱まるどころか、むしろ強まっている。〉ということです。私たちとしては、これに注目しておけば十分でしょう。
というのも、「家計世帯」のこの「等質化」機能は、「世界システム全体にとっても重要な利点」となるからなのです。その点が、次節で述べられます。
阿寒ユーカラ「ロストカムイ」上演の一場面。©akanainu.jp.アイヌ家族の炉端で
朗誦される「ユーカラ」は、種族の精神を教えて成員を「社会化」する機能をもった
【23】 資本主義的「世界=経済」――
「家計世帯」の機能:「同質化」と「社会化」
『家計世帯 ハウスホールド は、世界システムにおいて、諸主体の社会化の第一の場として機能している。家計世帯 ハウスホールド はわれわれに、とりわけ若い世代に、われわれが服すべき社会の諸規則についての知識と、〔…〕諸規則を尊重する態度とを伝えようとする。もちろんその機能は、学校や軍隊といった国家の諸機関および宗教的制度やメディアによっても果たされる』が、『それらのいずれも実際の影響力の緊密さの点では家計世帯 ハウスホールド には及ばない。〔…〕
国家の諸機関や宗教的制度、メディアなど』は、『家計世帯 ハウスホールド による〔…〕認知の前提となる枠組みを提供する。』が、『枠組みを効果的に提供しうるか否かは、家計世帯 ハウスホールド の相対的な等質性にかかっている。〔…〕自らが属する身分集団/アイデンティティ――国籍,人種,宗教,エスニシティ,性的規範――がはっきりとしている家計世帯 ハウスホールド は、その成員の社会化の過程について明確な認識をもっている。
アイデンティティの恒常的な分裂を〔…〕認めてしまっている家計世帯では、社会化の機能はほとんど遂行不可能なものとな』る。
『社会システムに内在する諸権力は、社会化の過程を通じて、まさにそのシステムが作りだしているヒエラルヒーの現実を』人びとが受け入れることを望んでいる。『諸権力はまた、社会化を通じて、いまあるシステムを』あるがままに『受け入れさせる神話,修辞,理論といったものが内面化されることをも望んでいる。
〔ギトン註――もっとも、〕家計世帯 ハウスホールド によるその成員の社会化は、〔ギトン註――社会諸権力の望みとは裏腹に、〕反乱,退出,逸脱といった帰結に至ることもある〔…〕。システム全体が〔…〕均衡状態にある』とき『ならば、〔…〕そのような反システム的な社会化も、不安や不満のはけ口を提供する』ので『システムにとって有益である場合もある。』しかし、『史的システムが構造的危機に至ると、そのような反システム的な社会化は、システムに対して深甚な不安定化をもたらす〔…〕
身分集団には多くの種類がある〔…〕単一の規準で同定されるものではなく〔…〕くわえて、歴史的に〔…〕身分集団の種類は増加してきている〔…〕このような身分集団/アイデンティティの複数性〔同一人が複数のアイデンティティを持つこと――ギトン註〕にわれわれみなが関わっているため、「諸アイデンティティ間に優先順位といったものはあるのか」という問題が浮上する。アイデンティティ間に衝突が生じた場合、いずれが優先される〔…〕か。家計世帯 ハウスホールド がある特定のアイデンティティ』を優先して、それによって成員を『を等質化するといったことはありうるのか。』
ウォーラーステイン,山下範久・訳『入門・世界システム分析』,2006,藤原書店,pp.98-101. .
タイに逃れたビルマ難民の子どもたち。(上)Umpiem Mai Camp
(下)Mae La Camp. ©Thailand Save the Children.
↑上の最後の質問の答えは、「イデオロギー」という次の問題にかかわります。
家計世帯が、どんなアイデンティティを優先するか――どんな社会権力への服従を成員に摺りこむか――は、外部からの圧力に大きく影響されます。そのような圧力を加える社会集団には、宗教組織やエスニシティに基く組織もありますが、なかんずく最も強力なものは「国家」です。「国家」は、法の制定、便益の分配、メディアの動員など、さまざまな手段を駆使して家計世帯に対し、アイデンティティの優先に関して影響力を行使することができるからです。
『国家がそれほど強くないところでは、宗教組織,エスニシティに基く組織などが、家計世帯 ハウスホールド に対して優先を求める〔…〕
それらの身分集団/アイデンティティは、家計世帯 ハウスホールド に対して、優先して忠誠を尽くすよう求め、他の反システム的な身分集団/アイデンティティと相争うこともある。家計世帯 ハウスホールド のアイデンティティをめぐるこの複雑な争いこそが、近代世界システムにおける政治的闘争の〔…〕基底にあるものである。』
ウォーラーステイン,山下範久・訳『入門・世界システム分析』,pp.101-102. .
「国家」による圧力のもとで、あるいは、国家にまさる影響力をもつ宗教組織のもとで、世界=経済,企業,国家,諸身分集団,家計世帯のあいだでくり広げられる複雑な影響関係は、それを大きな枠で見れば、「普遍主義」対「反普遍主義」〔人種・宗教・性・エスニシティによる差別主義〕という・2つの両極的な「イデオロギー」のあいだで生起しているということができます。
【24】 資本主義的「世界=経済」――
「イデオロギー」:普遍主義と差別主義
ここでウォーラーステインが述べる「イデオロギー」とは、共産主義とかファシズムといったようなものではありません。近代国家、また「近代世界システム」には、それらよりもっと重要な「イデオロギー」があるからです。それは、「普遍主義」です。「普遍主義」は、近代主権国家の存立にとって不可欠の理念と言ってもよい。「近代世界システム」のなかでは、共産主義を標榜する国家とて、「普遍主義」を無視することはできない……どころか、むしろ自分こそが資本主義国家にもまして「普遍主義」的であると主張するのが常です。
『普遍主義は、近代世界システムの顕著な特徴だと見なされている主張である。〔…〕普遍主義とは、〔…〕万人に平等に適用される一般的規則の優位を意味』する。『したがって、大半の領域において、個別主義的な選好を拒絶するものである。〔…〕
普遍主義の現れ方は幾通りもある。企業や学校のレベル』では『いわゆる「能力主義」の実践がそれにあたる。家計世帯 ハウスホールド のレベルに翻訳するなら、結婚は「愛」に基く契約であるべきであって、財産やエスニシティ、その他一般の個別主義的理由に基くものであるべきではないということを、特に含意している。国家のレベルに翻訳するなら、普通選挙や法の下の平等といった規則が、それにあたる。こういったお題目は、公的な言説において定期的に繰り返されている〔…〕おなじみのものである。それら諸々のお題目は、われわれが社会化する過程の中心を占めている。それらは、近代を伝道する公式の言葉となっている。普遍主義は正の規範である。つまり、大半の人びとは普遍主義の価値を信じているし、〔…〕それを良いものだと主張している。
南アフリカ共和国。アパルトヘイト廃止後に初めて行なわれた選挙で、
投票のため並ぶ人びと。1994年4月27日 ©Graham Wlliams / South.
人種主義や性差別主義〔つまり、個別主義――ギトン註〕は、ちょうどその対極をなし〔…〕負の規範である。つまり、大半の人びとはその価値を信じ』てはいない、それは『悪いものだと主張する。しかし、それにもかかわらず、〔…〕普遍主義の規範』よりも『実際のところ〔…〕はるかに高い程度で遵守されている。
人種主義や性差別主義は、〔…〕反普遍主義、ないしは』特定の『身分集団/アイデンティティに属する人間全員に対する顕在的な制度的差別と把えることはできるかもしれない。〔…〕
個々のアイデンティティには、社会的位階 ヒエラルキー というものがある。〔…〕近代世界システムにおいて、世界規模で存在する位階 ヒエラルキー』は、『女性にたいする男性の優位、黒人(ないしは非白人)にたいする白人の優位、未成年(ないしは高齢者)にたいする成人の優位、教育を受けていない者にたいする教育を受けた者の優位、ゲイやレズビアンにたいする異性愛者の優位、労働者に対するブルジョワ及び専門職の優位、農村居住者に対する都市居住者の優位、などである。エスニシティに基く位階 ヒエラルキー〔…〕宗教に基く位階 ヒエラルキー も世界中にある。どこであれ、特定の地域内で〔…〕誰もがその位階 ヒエラルキー の内容を承知している。
ナショナリズムは、しばしば、これらさまざまな位階的対立項の一方の側に連結を構築して、ひとつの合成カテゴリーの形態をとる。〔…〕たとえば、特定のエスニシティと宗教に属する成人白人異性愛男性だけが、真の「国民」であると』いうように。
ウォーラーステイン,山下範久・訳『入門・世界システム分析』,pp.102-105. .
普遍主義は、「世界システムの幹部層に強く作用する」。ここでウォーラーステインが「幹部層」と呼んでいるのは、「富と権力の〔…〕頂点にある人びと」ではなく、「さまざまな機関」や大企業「において指導的〔…〕監督的役割を果たしている中間層」のことです。経済界では、主要企業の取締役や業界団体の幹部、研究施設の幹部、大学教授、弁護士、中堅的地位にある公務員、議員、といった人びとです。「普遍主義は、技術職、専門職、研究職に就くような人物に、最もよく訴求する規範なのである。」「その国の経済的地位が強力であるほど、そのような中間層の規模は大きい。」
つまり普遍主義は、現代の国家社会の公的な性格やふるまいを左右するような「幹部」的地位にいる人びとに、深く浸透していると言えます。なぜそうなのかというと、理由は2つあります。① 普遍主義は、その国と企業の「競争力を保証するものであり、〔…〕世界=経済を効率化して、〔…〕資本蓄積の能力を高めると信じられている」からです。たとえば、普遍主義は「能力主義」に基く人事採用や役割分担を正当化します。 ② 普遍主義は、「幹部」たち自身が今就いている優越的地位を正当化するからです。「普遍主義の規範は、システムから利益を得ている人びとに〔…〕大きな安心感を与えてくれる」。(pp.105-107.)
『他方、人種主義,性差別主義,およびその他の反普遍主義的規範も、』普遍主義の規範と同様に『社会への包摂の〔ギトン註――ひとつの〕様式である。ただし、その包摂の対象は、〔ギトン註――「幹部層」ではなく、〕相対的に下位の位階 ヒエラルキー に属する人びとである。これらの規範は、相対的に下位の位階 ヒエラルキー に属する人びとを正当化し、そういった人びとの立場を強く主張し、さらには』そういった被差別的な『立場にあることがむしろ居心地の良いものであるかのように感じさせる目的をもって〔…〕いる。』
ウォーラーステイン,山下範久・訳『入門・世界システム分析』,pp.107-108.
旧弘前市立図書館・婦人閲覧室。戦前の公共図書館には、「女子閲覧室」という
小さな部屋があった。女が読書することは「特別なこと」
と見なされていたのだ。©eclipse.star.gs.
「反普遍主義」ないし差別主義の規範は、差別されている人びとに、やさしく語りかけるのです。あなたがそういう地位にいるのは、あなたの能力が低いせいでも、努力が足りないためでもない。それが “自然の摂理” だからなのだと。「女」の地位に甘んじさえすれば、無事に生涯を送ることができるではないか。「男」と張り合おうとして無理をすることはないのだ。「白人」の上司を怒らせるようなことさえしなければ、あなたの地位は保証されているのだと。こうして、人びとは差別規範に従うことを条件に、社会に受け入れられるのです。
つまり、「反普遍主義」ないし差別主義は、差別される側を排除するのではなく、むしろ社会に・より強く包摂し、保護するのです。たとえば、アメリカで人種主義に最も共鳴するのは、社会的地位の低い貧困な白人層ですが、彼らは、「教育の低い者」「非専門職」「農村居住者」といったカテゴリーでは差別されている人びとなのです。彼らは普遍主義では救われない。少なくとも心理的には、彼らを救うのは、差別主義なのです。
『それら反普遍主義的規範は、国家の、職場の、社会的領域の規範となり、同時に〔…〕家計世帯 ハウスホールド がその成員を社会化するうえで、活用せざるをえない規範ともなる。反普遍主義的規範は世界システムの〔ギトン註――中核/周辺への〕二極分解を正当化する。時間の経過とともに世界システムの二極分解が拡大してきたために、人種主義,性差別主義,およびその他の〔…〕反普遍主義は〔…〕ますます重要性を増すようになった。
〔…〕近代世界システムは、普遍主義と反普遍主義の両方が同時に存在し、拡大し、実践されることを、システムの〔…〕基本的特徴としてきた。この二律背反的規範は〔…〕、中核/周辺間の垂直的分業と同様に、システムにとって根本的な重要性をもつものなのである。』
ウォーラーステイン,山下範久・訳『入門・世界システム分析』,p.108. .
こちらはひみつの一次創作⇒:
ギトンの秘密部屋!