↓こちらにレビューを書いてみました。
ジャン・コクトー『白書』―――
――――神と愛の狭間で(6)
ジャン・コクトーの“同性遍歴”――
「H」との幸福な同性愛生活:
半面でそれは、一瞬も気をゆるめ
られない“拷問”の日々でした。
「愛は私を荒廃させる。平穏な時でも、
私はこの平穏が失われはせぬかとびくびくし、
喜びなど少しも味わうことができない。
疑念で眠れぬ夜々は、縦横に歩き回り、
床に横たわって、床がこのまま沈んで、
永久に沈んでいってくれればいいのに
と思って過ごした」
「H」と会うたびに、コクトーは
何でもないことで彼を追及し、
彼が弁解するとコクトーは逆上し、
憤怒にかられ、涙で暮れ、
「ほんとうは、ぼくを憎んでいるんだろう?
死ねばいいと思っているんだろう?」
と言って「H」を責めました。
「H」は沈黙するようになります。
たとえ答えても、翌日には同じ質問が
最初から繰り返されるのですから。
この状態が2か月つづいたあとで、
突然破局が来ました。
何が起きたかは、ネタばれになるので
ここには書きません。↑リンク先を
読んでください。――ともかく
「H」との“別れの場”は霊安室でした。
その前日、ベッドに横たわった「H」は、
コクトーに“さいごの告白”をします:
「ぼくの中には女と男がいた。女は君に従順だった。
男のほうはこの従順さに反発していた。
ぼくは好きでもないのに女たちを追い回した。
自分は自由なんだと思い込むためにね。
ぼくの中の・うぬぼれた愚かな男が、
ぼくたちの愛の敵だった。
後悔してるよ。愛しているのは君だけだ。」
同性愛者はなぜ途方もない“うわき”をするのか?
同性愛者はなぜ異常なほど嫉妬するのか?
(どちらでもない同性愛者もいるのに)――
コクトーとともに考えてみたいと
思います。。。