KERNSTOK KÁROLY, HAJNALI FENYEK (Lumières Aube)
↓こちらにレビューを書いてみました。
ジャン・コクトー『白書』―――
――――神と愛の狭間で(1)
同性愛者としても知られたフランスの詩人・劇作家
・画家ジャン・コクトーの自伝的小説を、これから
数回にわたってダイジェストします。この小説は、
コクトーが周囲の大人たちとは違う自分の
性癖を自覚し、同性の(時にはレスビアンの異性の)
恋愛対象との出会いを繰り返しながら
宗教、社会、そして運命との摩擦に
翻弄されてゆく半生を描いています。
ほぼ、ひとつの章に、ひとりの相手が登場しますが、
この小説は、リアリズムでも教養小説でもありません。
主人公である「ぼく」は、性的に成熟するだけで、
人間的な“成長”ということは、基本的にありません。
いかなる障碍も乗り越えられることはなく、
かえって“運命”のように、「ぼく」の肩に
のしかかってきます。
それでは、どこにも救いはないのか?――
それは、この小説の最後にもう一度考えて
みたいと思いますが、安直な“救い”はことごとく
否定される、ということだけは、今から
申し上げておきましょう。
第1回の今回は、最初の「体験」に遭遇
した8歳ころから、中学(リセ)生時代まで。
リセでの最初の“出会い”の相手は、
コクトーの代表作『恐るべき子供たち』に
登場する美少年のモデルとなった同級生ダルジュロス。
まったく一方的なコクトーの“片思い”であり、
どうしてこんな、肉体美以外には何のとりえもない
性悪オトコに夢中になるのか理解できません。しかし、
自分の感情が理解できないのはコクトーとて同じ。
そして、愛情に衝き動かされてしたコクトーの行為は、
ダルジュロスに、取り返しのつかない破滅を
もたらし、結末を迎えるのです。。。
Henry Scott Tuke (1858 - 1929)