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2月24日(現地時間)、ミャンマー、ヤンゴンのタイ大使館前で、

仏教の僧侶たちがプラカードを持ってクーデター反対デモを
行なっている =ヤンゴン/EPA・聯合ニュース

 

 

 いまミャンマーで起きている軍部クーデターは、韓国では、他人事ではない事態として受けとめられています。保守・進歩を問わず、各分野から、ミャンマー市民への支援の動きと憂慮の声が上がっています。韓国で軍事クーデターと闘った“光州事件”の犠牲者遺族も、もちろん高い関心をもっていますが、そればかりでなく、たとえば、

 

 韓国ではもっとも保守的とされる仏教界(朴・全軍事政権に協力した)が、ミャマー民主勢力への支援を表明していることに驚かされます。

 

 韓国の日刊紙『ハンギョレ』の寄稿記事からお届けします。


  『ハンギョレ新聞』は、軍政時代、民主化を主張して職を追われた新聞記者が中心になり設立された。盧泰愚、金泳三、李明博、朴槿恵の保守派政権には批判的だったが、金大中、盧武鉉と続いた改革・進歩派の政権では、比較的政府に好意的であった。

 2017年に誕生した文在寅政権に対しては一貫して支持しており、文在寅自身も、かつて『ハンギョレ新聞』の創刊発起人、創刊委員、釜山支局長などを歴任している。他方で、政権寄りの報道に対して若手記者が抵抗する事態も起きている。

 今回は、ヤンゴン大学に設けられた韓国語研修施設「世宗学堂」に赴任中
チョン・ギホン釜山外語大教授が、ミャンマー現地から送ってきた・なまなましいレポートです。

 なお、「世宗(セジョン)」は、朝鮮李朝第3代の王で、ハングル文字を制定した。

 

 

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2月24日(現地時間)、ミャンマーのマンダレイで
市民たちがバイオリンを弾きながらクーデター反対デモを
行なっている =マンダレイ/AP・聯合ニュース

 

 

 

http://japan.hani.co.kr/arti/opinion/38980.html



『     外国語・音楽・絵、そして青春…

    軍部に対抗したミャンマーのZ世代の武器



 クーデター発生4週目の2月22日、ミャンマーの街では数百万人の市民が街頭に繰り出しました。前日夜、軍暫定政府が国営放送を通じて「強硬なデモ隊が何も知らない10代と若者たちを扇動し、国を混乱の中に追い込んでいく」とし、断固対応すると脅しましたが、若者たちを止めることはできませんでした。

 若者たちは、流血事態になる可能性があり、自分が人命被害の対象になり得ることを心配していたようです。多くの人の片腕には血液型や名前、連絡先が油性ペンで書かれていました。若者たちが何も知らずに扇動されているという軍部の言葉を、果たして誰が信じることができるでしょうか。

 武装した軍警と丸腰のデモ隊がバリケード一つを隔てて、一触即発の対峙をしていました。市民はこの日を「春の革命」と呼び、三々五々隊伍を整えて自由を奪った軍部に向かって叫びました。ゼネストに参加した公務員が市民に勇気を与え、医療陣は万が一の事態に備えて待機していました。僧侶たちは非暴力デモを掲げ、民主化の熱気に包まれた市民に「理性」を説きました。

 そうして、1990年台半ば以降に生れた、いわゆるZ世代と呼ばれる若者たちが、彼らの才能を発揮し始めました。外国語が堪能な学生たちは国連事務所と各国大使館の前でひざまずいて助けを求め、音大生らは楽器の音色で疲れたデモ隊を癒し、勇気づけました。絵心のある学生たちは都市のあちこちに「私たちは民主主義を望んでいる」というスローガンと共に、壁画を描きました。

 市民の不服従デモで目覚ましい活躍をするミャンマーのZ世代は、約50年ぶりに文民政府が誕生した2015年に成人した人たちです。軍部独裁の時に閉鎖された大学の門が再び開かれたときに入学したか、学習塾でそれぞれの夢を育んでいた世代です。

 当時の熱気を受け継ぎ、2016年にヤンゴン大学に文化体育観光部傘下の世宗学堂財団と釜山外国語大学の支援で韓国語を教える世宗学堂が開設されました。韓流ブームとともに学堂で韓国語を学ぼうとする学生たちが長蛇の列をなしました。韓国ドラマに登場する「愛してる、会いたい」というセリフを真似しながら、ほほを赤く染める純粋な若者たちでした。

 広い世界で夢を広げるために勉強していた若者たちは今、国を救いたい一心で街頭に立っています。世宗学堂は新型コロナの感染拡大を受け、夕方にオンライン授業を行うのですが、一日中デモ現場を走り回った生徒たちの疲れた声が本当に健気で、また悲しく感じられます。

 ある日は学生に文を読み上げるように言いましたが、答えがありませんでした。疲れきって眠ってしまったようでした。それでも、学生を叱ることはできませんでした。授業の最後に必ず「デモ現場に出ても、安全を第一に考えなさい」と念を押していますが、その度、心が痛みます。一緒に勉強し、キンパ(韓国の海苔巻き)とトッポギを作って食べた学生たちが、国を救うため、猛暑の中、街を走り回っていると思うと、胸が張り裂けそうです。

 先日はある生徒が未熟な韓国語で「韓国市民と政府がミャンマー市民を支持してほしい」という長文の手紙を書いてきました。この手紙は現在ミャンマー駐在韓国大使館に渡っています。フェイスブックでシェアされているある動画を見たら、それを書いたのはわが学堂の学生でした。ミャンマーにある韓国会社に就職し、お金を稼いで、必ず韓国に行きたいと言っていたしっかり者です。彼は自宅から2時間も離れた外国大使館まで数回バスを乗り継いで行き、デモを行なっています。

 ミャンマーのZ世代は、ソーシャルメディアで「キーボードチーム」として大活躍しています。「○○大使館前にデモ隊が足りません」、「○○現場に水が足りません」という書き込みが掲載されると、キーボードチームは直ちにソーシャルメディアを通じて拡散し、まもなく実際支援が行われます。

 今回の戦いは長期戦になるかもしれません。若者たちが怪我はしないか、挫折するのではないかと心配していますが、ミャンマーの人々の「春の革命」は今始まったばかりです。この戦いに勝って真の春が訪れ、ミャンマーのZ世代が率いるミャンマーを見る日を心待ちにしています。不安で居ても立ってもいられない私を見かねた妻が、今日は小言ではなく、温かい言葉をかけてくれました。冷静さを失ってはならないと、それでこそ彼らをより長く助けることができると。』

 

 

  


ミャンマーの軍部クーデター反対デモの参加者が、
万一の流血事態に備え、自分の腕に血液型や緊急連絡先などを
英語で書いて参加している =ツイッターより

 

 

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2月25日(現地時間)ミャンマーのヤンゴンで
市民たちがクーデター反対デモで抵抗を象徴する「三本指」の敬礼
をしている =ヤンゴン/AP・聯合ニュース

 

 

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