「棒ノ折(おれ)」「ゴンジリ峠」は、ヤマ初心者のころ何度行ったかわからない。日帰りの手ごろなコースながら、奥多摩から都県境尾根を越えて飯能へ、またその逆と、二つの地域を往き来するおもしろさが、山旅の満足度を高めた。「なになに山」でも「なになに岳」でもない風変わりな山名も、魅力だ。
都最高峰の雲取山から東に延びる《都県境尾根》の、ここは末端部にあたる。
出発点は、「さわらびの湯」↑。日帰り温泉施設だが、いまは冬季休業中。
駐車場から見下ろす名栗(なぐり)川↓。
名栗湖の「有間ダム」まで、車道を歩いて昇る。この人工湖は、昔は無かった。1969年着工だそうだから、もう工事は始まっていたらしいが記憶にない。
有間(ありま)山の峰々、その左奥に覗いている小さな△は、武甲山か。
↓「白谷沢」登山口。人工湖の一角にある。私の高度計で 325m。ダムができる前は、もっと下の湖底に登山路があったはずだ。
路は、沢に沿って高巻いて昇ってゆく。↓滝がある。「藤懸の滝」というらしい。滝の名前も、ダム湖ができて、このトレッキング・ルートが整備されてから付けられたのだろう。
滝の上で、路は沢底に降りる。
うん。。。 ↓ここは、見覚えがある。この、少し河原が広くなっているところで、よく休憩した。「マイ休憩場」 標高460m圏。湖底の高さから登ってくると、このへんでもう熱くなって脱ぎたくなる。一緒に行った友達が(いつものくせで)全裸になって、そこにおじさんハイカーが昇って来てあせったことがある。
その友達も、いまは鬼籍に入った。
ゴルジュのはじまり。「ゴルジュ」――フランス語で「のど」の意味らしい。沢の両側から岩壁が迫って、狭くなっているところ。こんな場所を通過した覚えがない。昔の路は、「マイ休憩場」から尾根へ上がってしまったと思う。
また、滝がある↓。こんどは「天狗の滝」。
↓またゴルジュ。こんどのゴルジュは狭い。
ゴルジュの手前から、クサリで脇へ昇っていく↓。こんどのゴルジュは避けられたと思いきや、登った先がまたゴルジュだ。
↓ゴルジュを通過して、うしろを振り返る。濡れた岩に、氷った岩。“初心者向き沢登りコース”とはいっても、慎重さが要求される。
ゴルジュの通過に気をとられて、滝を撮すのを忘れていた。「白クジャクの滝」。
標高480m付近で林道と交差する。
林道は、アスファルト舗装が氷結して、スケートリンクのようだ。歩ける状態じゃない。車も通れないだろう。横断して山道を登る。
「岩茸石」に到着。標高747メートル。休憩ベンチの隣りに大きな岩がある。ここは、切り立った尾根の上。遠くから見ると、尾根からキノコ岩がニョキニョキ生えているように見えるのだろう。
「岩茸石」の裏にまわってみる。岩の割れ目から樹が成長している。葉をつけているのはアセビのようだ。
「ゴンジリ峠」 893m に到着↓。ここからは幅広いハイキング道になる。都県境尾根だ。
「権次入峠」。なるほど、漢字だと、こう書くのか。
「棒ノ折」 969m に到着。山頂は広場になっている。「棒ノ嶺」と書いている標識が多かったが、「‥‥峰」は無い。「ぼうのれい」がなまって「ぼうのおれ」になったんだろうか。
人出はまあまあだ。多くもなく少なくもない。山はこのくらいがいい。白谷沢で感じたが、このルートの登山者は、マナーがいい。登り優先、左側通行、声かけ、‥きまり通りすぎて、時々困るくらいだ。でも、みんなのマナーがいいと気持ちがいい。
【つづく】
タイムレコード 20210207
「さわらびの湯」1015 - 有間ダム1035 - 白谷沢登山口1047 - 1108「マイ休み場」(「藤懸ノ滝」上部)1128 - 1207「とうぎり(大名栗)林道」交差1212 - 1228岩茸石1232 - 1252ゴンジリ峠1300 - 1314棒の折1353 - (2)に続く。