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大 霧 山

 

 

 比企の「大霧山(おおぎりやま)」は、山歩きを再開したころに、計画だけして行かずじまいになっていた山のひとつ。もっと奥の秩父、奥奥多摩の秀峰に気をとられて、後回しになっていた。

 

 行きたいと思ったのは、↑地形図の等高線の密度にそそられたからだ。奥武蔵の山にはめずらしい急傾斜。両側の崖が切り立っているということは、近くに邪魔ものが無く、見晴らしがよいということだ。

 

 

 

 

 東武東上線「小川町」駅からイーグルバス「白石車庫」行きで「経塚」下車。標高320メートル。

 

 停留所から 20メートルほど戻ったところに小さな橋がある。「竹の鼻橋」と表示があり、橋の手前に、沢に沿って山へ入ってゆく車道がある↑。橋は小さいので見逃しやすい。

 

 杉植林の中を昇ってゆくと、左岸に移り、まもなく車道と別れて山路になる。
 

 

 

 

 ↓「ウツギ」か「ニシキウツギ」。ひなたの葉は赤っぽく紅葉しているが、日蔭の葉は黄色い。枯れ木と針葉樹ばかりの山で、この灌木だけがまだ生きている。

 


 

 

 いったん車道に合流する↓。車道の山側は、枯れ落ちているがカシワ林だ。クリ、コナラも混じっている。

 

 


 

  

 
 

 

 ふたたび車道から離れると、すぐに旧・定峰峠がある。南側に山越えの県道ができて、「定峰峠」の名はそちらに移った。私の高度計で 633メートル。きょうの登りはここまでで、あとは尾根の縦走だから楽なものだ。


 

 

 

 ↑登り道の脇に露頭が出ているが、尾根の上に出ると、同じ岩石の塊がごろごろしている。薄い層が重なった緑色の岩石。長瀞の岩に似ている。同じなら、これは「緑泥石片岩」だ。⇒:荒川の碧き流れに(9)

 

 

 

 

 

 

 

 長瀞の石畳から、この外秩父山地まで、「三波川変成帯」が広がる。古秩父湾(現在の秩父盆地)の地下で構造変成作用を受けていた古生代・中生代のプレート付加体が隆起して、外秩父山地を造った。地下で巨大な圧力を受けて、ぺしゃんこになった薄片のような結晶構造を発達させた「結晶片岩」。この「緑泥石片岩」もそのひとつだ。⇒:荒川の碧き流れに(17)

 

 

 尾根はゆるやかにアップダウンしている。しばらくすると、右側に平野の展望がひらける。斜面が牧場になっているので、視野をさえぎるものがない。遠方に見えるのは筑波山だろうか。

 

 


 

 

 谷をはさんですぐ隣りの「笠山」「堂平山」もよく見える↓。堂平山頂には天文台がある。
 

 

 

 

 さきほど登路で見かけたが、ここに説明板がある。やはり「ウツギ」の類は、この山に多いようだ。

 

 


 

 

 落ち葉を見ると、ここでもやはり、カシワ、ホオノキ、クリ、コナラが多い。

 

 

 

 

 雑木林の尾根路がつづく。


 

 

 

 「大霧山 766.6m」に到着。

 

 

  

 


 

 

 山頂からの展望は、すばらしい。秩父・上州の山々を一円に見わたすことができる。
 

 

【つづく】   
 

 

 

 

タイムレコード 20201226
 「経塚」バス停1100 - 1200車道出合い - 1209車道岐れ1212 - 1214旧定峰峠1217 - 1235小ピーク(715m)
 - 1245 724mピーク1250 - 1313大霧山1345 - (2)に続く。