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日本における煽り記事⇒:『密接な関係にある他国から』  

 

 

 

 気が早いと思われるかもしれませんが、今もう韓国では、バイデン政権の誕生に期待する各種の論評がメディアをにぎわせています。

 

 なかでも期待が大きいのは、保守派・野党「国民の力」とその支持者のようです。対照的に、文在寅政権と「共に民主党」サイドは比較的冷静、ないしむしろ、バイデン政権の対外政策を警戒する声すら上がっています。

 

 韓国・保守 ~ 米・民主党、韓国・民主党 ~ 米・共和党、‥という・この組み合わせは、なにか捩じれているように思えますが、こうなっているのは、これまでの政権のあいだで結ばれた人脈の影響が大きいようです。

 

 かつて軍事独裁政権時代には、かの金大中氏は「韓国のロバート・ケネディ」と呼ばれたほど、韓国の民主派とアメリカの民主党とのつながりは、広くかつ深かったのです。民主化を達成し金大中政権が成立した時、アメリカは、民主党クリントンでした。

 

 ところが、最近は、韓国が民主派・盧武鉉政権の時は、米国は共和党ジョージ・ブッシュ、保守派・李明博/朴槿恵の時は、民主党・オバマ、民主党・文在寅の時は、共和党トランプ、というように、ことごとく擦れ違っているので、人脈が対角線になってしまっているようです。

 

 

 それでは、まず保守派の論調から見ていきましょう:

 

 

 

 

『◆ 金大中大統領とネクタイ交換

 バイデン氏は2001年8月、米上院外交委員長として韓国を初めて訪問した。当時、金大中(キム・デジュン)大統領と青瓦台(韓国大統領府)で昼食会をし、この席で2人はネクタイを交換した。バイデン氏が金大中元大統領に「ネクタイが素敵だ」と話すと、金元大統領はその場で「ネクタイを交換しましょう」と提案した。当時、バイデン氏は「太陽政策」を公式的に支持した。

◆ 李明博大統領に「なぜあなたは米国で人気があると思うか」

 2010年4月、オバマ政権で副大統領だったバイデン氏は核安全保障サミット出席のため訪米した当時の李明博(イ・ミョンバク)大統領とホワイトハウスで会った。ここでバイデン氏は「なぜ李大統領は米国で人気があると思うか」と尋ねた。バイデン氏は「(ワシントンの)朝鮮戦争参戦碑に献花する時、心から参戦勇士の犠牲と献身に感謝する姿が見られた。それで人気があるようだ」と話した。

◆ 延世大で「韓国の永久的分断はいけない」

 バイデン氏は2013年12月、副大統領としてまた訪韓した。当時、バイデン氏は延世大で政策演説をした。演説した体育館は教職員および学生およそ1500人で埋まった。バイデン氏は「北朝鮮は核兵器を追求する限り、決して安全と繁栄を享受できない」としながらも「韓国と北朝鮮は同じ民族であり、同じく尊厳を享受する資格がある我々は韓国の永久的な分断を決して受け入れない」と強調した。

◆ 孫とDMZ訪問

 2013年12月、バイデン副大統領の訪韓に当時15歳だった孫も同行した。バイデン氏は孫と、朝鮮戦争記念館とDMZ(非武装地帯)を訪問した。バイデン氏は今回の大統領選挙を控えて韓国紙に寄稿し、当時の記憶に触れた。先月30日の「我々のより良い未来のための希望」と題した寄稿で、「孫をそばに置いて、DMZの、北朝鮮から100フィート(30メートル)も離れていないところに立ったことは、決して忘れることができない」とし「私は、朝鮮戦争以降の朝鮮半島の分断と離散家族の苦痛を感じた」と振り返った。

◆ 「セカンドレディー」ジル・バイデン氏も訪韓

 バイデン氏が副大統領だった2015年7月、夫人「セカンドレディー」ジル・バイデン氏も訪韓した。米副大統領の夫人が韓国を訪問したのは初めてだった。当時、ジル・バイデン氏は女性家族部が主催するレセプションに出席し、「今回のアジア訪問の焦点は教育の力であり、女性のリーダーシップ発揮と職場での同等な機会の確保が核心」と述べた。また「韓国の若い女性は教育をよく受けているが、雇用問題ではまだ多くの挑戦に直面している」とし、キャリア中断問題を取り上げた。その後、ソウル恩平区の津寛寺を訪れ、僧侶らと女性の教育をテーマに対話をした。』

 

 



 

 

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『「私は、あなたがクソ戦犯であり、当然、裁判を受けるべきだと考える」。

 米大統領選挙で当選が有力視されるバイデン候補は、就任後に北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と会えば、このように言い放つ可能性も排除できない。バイデン氏は1993年、セルビアのミロシェビッチ大統領と会談した席で、ミロシェビッチ大統領が「私をどう思うか」と尋ねると、「クソ戦犯」と一喝した。ミロシェビッチ大統領は「虐殺者」という批判を受けたりしていたが、国家首脳に米上院議員がこのような言葉を吐いたのだ。

 1979年。バイデン氏はカーター政権を代表してモスクワを訪問し、旧ソ連のブレジネフ書記長、コスイギン首相と向き合った。コスイギン首相が欧州に駐屯する旧ソ連のタンク数を実際よりはるかに少なく話すと、バイデン氏は「コスイギン首相、我々(米国)式に話しましょうか。たわごとは、ほどほどにしろ」と語った。慌てた通訳はこの言葉を「冗談はやめてください」という表現に置き換えて伝えた。

 米上院外交委員会で12年間も活躍したバイデン氏はワシントン最高の外交通と呼ばれる。そのバイデン氏の外交キーワードは「率直」だ。バイデン氏は自叙伝『守るべき約束』(Promises to Keep)でこのように書いている。「(私が会った)世界の指導者は弱い態度への嗅覚が優れていて、誠意の不足を感じるレーダーを持っていた。謙遜は率直ほど重要でないことを経験から学んだ。率直に話して力を表すことがヘルムート・シュミット西ドイツ首相のような大物級の信頼を得る道だった」。

 バイデン氏は金正恩委員長にも「率直」な表現をした。先月22日、米大統領選挙の最後のテレビ討論で金正恩委員長を「悪党(thug)」と呼んだ。元外交官は「6回も核実験をした独裁者金正恩に対するバイデン氏の認識」とし「『悪党』という表現がバイデン政権の対北朝鮮基調になるだろう」と分析した。しかしバイデン氏は「敵」であっても関係は維持すべきという哲学も持っている。自身のメンターだったハリマン元駐ソ連米国大使が「外国の首脳が『共産主義者』であってもみんなが同じ共産主義者ではない。必ず直接会って関係を維持すれば変化させることができる」と助言したのを座右の銘にしたという。

 外交に対するバイデン氏のもう一つの原則は「情七直三」(情報7割、直感3割)だ。本人の言葉だ。「上院議員を36年間務めて7人の米国大統領を見てきたが、大統領は政策を決める時、必要な情報の70%ほどだけ得るということを知った。結局、残りは自身の判断と知恵で埋めなければいけない」。

 

 直感の力を信じるためか、バイデン氏は外交懸案について自分自身のアイデアをよく出すという。2013年に訪韓したバイデン氏は朴槿恵(パク・クネ)大統領を表敬訪問した席で、「北朝鮮との対話の突破口を開くための破格的な案」を提示した。朴槿恵政権で青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)国家安保室次長と外交部次官を務めた趙太庸(チョ・テヨン)「国民の力」議員は「米政府の最高位としては非常に柔軟な対北朝鮮接近案を出したので驚いた。ただ、米政府の公式立場ではなく、実現していない」と振り返った。

◆ バイデン氏と韓国の縁

 バイデン氏は韓米同盟と韓日米の連携を重視する。したがって韓日関係も改善すべきという考えから積極的に「介入」するという立場だ。朴槿恵政権当時にバイデン氏が2度も訪韓したのは、悪化する韓日関係を仲裁する目的があったというのが、元外交官らの話だ。バイデン氏は2013年12月の訪韓直前、安倍晋三首相に靖国神社参拝の自粛を勧めたが、安倍首相が参拝を強行すると激怒し、安倍首相に電話で強く抗議した。続いてバイデン氏は米外交・安保首脳部会議で安倍首相を強く批判し、過去の問題で韓国寄りに旋回したという。 

 

 元外交官は「バイデン氏のこうした『旋回』のおかげで、オバマ政権の8年間、米国はずっと過去の問題で韓国寄りだったオバマ大統領が慰安婦を『ぞっとする人権侵害』と批判し、日本が慰安婦交渉に応じることになったのも、バイデン氏の見えない努力が作用した」と説明した。また、「そのバイデン氏が米国大統領になれば、過去の問題は我々に有利な環境が開かれるはず」とし「しかし韓日間の葛藤に無関心だったトランプ大統領とは違い、バイデン氏は我々に日本と和解するよう圧力を加えるのは明らかだ。バイデン時代にも韓国政府が親中・反日路線を守るのは賢明な選択でない」と話した。』

 

 



 

 

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 バイデン氏は、“民族浄化”を唱えてジェノサイドを敢行したセルビアミロシェビッチ大統領を「クソ戦犯」と罵倒したり、兵器の数をごまかす旧・ソ連コスイギン首相に、「たわごとは、ほどほどにしろ」と言い放つなど、外交上の直言が多い人のようで‥‥、おもしろくなりそうです。金正恩のことも、選挙討論会で「悪党」と呼んでいましたから、直接会っても同じことを言うのではないかと、いまから楽しみですw

 

 対バイデン会談に備えて、アメリカン・スラングの学習に余念がない金正恩:「このタワケの悪党めが!」「黙れ腰抜けジジイ!」

 

 バイデン氏は、金大中大統領を尊敬しており、「尊敬する政治指導者」を尋ねられると、金大中氏を真っ先に挙げるといいます。1983-84年に金大中氏が軍事政権の迫害をのがれてアメリカに亡命していた時も、2人は会っていたそうです。

 

 バイデン氏と金大中氏がネクタイを交換したエピソードには、じつは裏話があります。バイデン氏が受けとった金大中氏のネクタイには、昼食会のスープのシミが付いていました。しかし、バイデン氏は気にせず着用して、「金大統領のネクタイだ」と人びとに自慢していたそうです。

 

 



 

 

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 バイデン政権への韓国・現政権と与党の反応は、期待と警戒がこもごもではないかと思います。米軍駐留費用の要求が引き下げられることが期待できる反面、“中国包囲網”への参加を強く要請され、米・中の間でバランスをとろうとしている文在寅政権は、苦しい立場に立たされるのではないか、と憂慮しているようです。

 

 もっとも、北朝鮮との関係については、オバマ政権の「戦略的忍耐」政策に戻って、金正恩は相手にせず放置‥、ということはならないと予想されています。むしろ、北朝鮮がいやでも交渉しなければならないように仕向け、“トップダウン”ではなく、実務者交渉を積みあげてゆく方式で臨むだろうと見られています。

 

 バイデン氏は、トランプ政権が避けてきた北朝鮮の人権問題を持ち出すことも辞さないので、急速に合意が成立することは期待できません。しかしその反面、トランプ政権下で止められていた南北交流協力事業が、“制裁”を崩さない部門から、徐々に許容されて進展するとの期待を持つことは可能です。

 

 ↓以下は、文在寅政府を支持する日刊紙『ハンギョレ』の社説。

 

 

 

トランプ時代が終わり“バイデン時代”になっても、米国の前に山積みされた課題はそのまま残る。極端に分裂した米国の姿は、今回の選挙過程でも生々しくあらわれた。人種主義と米国優先主義で固く団結したトランプ支持層のうち、多くは無分別なグローバル化の中で疎外されたと感じている低学歴の白人たちだ。現在の米国は、既得権層とエリート層が貧富格差と弱者の困難を無視したときに社会がどのように壊れるかを見せる他山の石だ。米国社会の統合のみならず、バイデン候補の前には新型コロナ対応と経済問題解決といった多くの挑戦が待っている。

 対外的には、トランプ氏の“米国優先主義”外交に反対し同盟と協力する外交を公言してきたバイデン候補が、国際社会で米国のリーダーシップを復元できるかが焦眉の関心事だ。トランプ氏の任期4年の間、米国の信頼は大きく墜落し、孤立主義の世論も依然として強く残っている。バイデン候補が4日夜ツイッターに文を上げて「きっかり77日後にパリ協定に再び加入する」と明らかにしたのは、きわめて肯定的な信号だ。77日とは、この日から大統領就任式が開かれる1月20日までの期間だ。


 米中対立に関しては、バイデン候補も中国に対する牽制を継続するだろうが、トランプ氏のような極端な方式ではなく、同盟を結集し“中国対多国”の構図を形成しようとすると予想される。韓国にとってはチャンスとリスクが共存する。同盟を重視するというバイデン候補は、防衛費分担金交渉、戦時作戦権移管などで韓国の立場をトランプ氏より尊重する可能性が大きいが、韓国に対して“反中国同盟”に参加しろとの要求もまた強まるだろう。バイデン候補は、北朝鮮との外交を支持しながらも、首脳間の談判で問題を解決しようとするトランプ氏のトップダウン方式には反対する。韓国政府は、バイデン候補の外交安保チームと迅速に協議して立場を明確に伝達し、協力空間を作らなければならない。朝鮮半島平和プロセスと朝米交渉が好循環を成し遂げられるよう、韓国が主導する明確な青写真も用意しなければならない。』

 

 

 

 

 

【追記】 8日の『中央日報』によれば、大統領はツイッターで、バイデン、ハリス両候補の勝利宣言に対し祝賀メッセージを送りました。しかし、韓国の現政権は、米・民主党とバイデン氏らにつながる・これといった人脈を持っていません。“対角線人脈”の現状を克服するには、韓国野党が、政府・与党の人士と米・民主党の間をつなぐ必要があると思われます。その動きとして、同日記事によると、保守野党の河泰慶議員が「超党派議員訪米団」の早急派遣を提案しているとのこと。他方、日本(遅くとも菅首相の「50年Cゼロ」方針演説までにはバイデンに舵をきっていた)は外務省を中心に「バイデン政権」へのアクセスを開始。早くも日韓レースが始まっていますが、バイデン氏の基調は、双方の腕をつかんで強力に握手させる方向になりそうです。
 

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