世界の動きは速いですね。数日前に、↑こちらの記事を上げたあと、ナウル(太平洋地域)とジャマイカ(中米地域)が新たに批准し、これで批准は49か国。あと1か国批准すれば、「核兵器禁止条約」は発効します。
【続報】 10月24日、ホンジュラスが批准して、50か国に達しました。
「50番目の国が批准書を国連に寄託してから90日後に発効する」規定だそうです。来年1月22日発効が確定。
「【ニューヨーク時事】核兵器禁止条約が発効に近づいている。批准国・地域は23日時点で49に達し、発効に必要な50まであと1。条約は50番目の国・地域が批准書や受託書を国連に寄託してから90日後に発効する運びで、NGOなどは年明けの実現を見込んでいる。
オーストリアなど条約の推進国と国際NGO『核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)』は23日にオンラインでイベントを共催。この中で、ジャマイカとナウルが新たに批准書寄託を発表した。
被爆者のサーロー節子さんも演説し、『(50カ国に近づいていると聞いた時)立ち上がれず、座ったままうれしくて泣いた』と語った。『核兵器の終わりの始まりまで来た。この扉に足を踏み入れよう』と呼び掛けた。
ただ、関係者によると、条約に批判的な米国は一部の国に批准を取り下げるよう求める書簡を送るなど、圧力を強める姿勢を見せている。
条約は、核兵器を非人道的な兵器として初めて法的に禁止した国際条約。発効すれば、核兵器の使用・保有のほか、核使用を示唆して威嚇することも違法化される。
核保有国の参加は現状では見通せないが、ICANの川崎哲国際運営委員は、発効により核保有国への圧力が高まれば『行動変容が起きると期待できる』と指摘した。」
もっとも、日本にはまだ↓こんな馬鹿もいるんですネ(笑)
「加藤勝信官房長官は23日の記者会見で、発効の可能性が高まっている核兵器禁止条約について、参加しない方針を改めて示した。」
官房長官、抵抗のトーンが落ちてますねww への字に結んだ口が苦しそう。。。 ナチス式敬礼に似てませんか? このポーズ↑。スカも官房長官の時からやってるけど。ナチスカ式敬礼、「ジーク・ハイル!」
イヤなら、べつに、加入しなくていいんですよw。日本は、他の国と違って、憲法に、「確立された国際法規は、これを遵守する。」と定められているんですから。発効すれば、加入しようがしまいが、「遵守義務」を負う。反対したら国際法違反です!!
もっとも、50か国では、「確立された国際法規」とまでは言えないかもしれない。しかし、採択時の賛成は 123か国です。あと 70か国以上の政府が、国内で根回し中。批准が 100か国を越えたら、名実ともに「確立された国際法規」でしょう。
↑最初の記事で、ICANの川崎哲国際運営委員が、発効により核保有国への圧力が高まれば、保有国の「行動変容が起きると期待できる」と指摘しておられましたが、ここで私たちにもっとも気になる核保有国――北朝鮮について考えてみましょう。
現在、「非核化」をめぐる米朝交渉は行き詰っています。トランプはショーをやりたいだけでしょうし、金正恩は、いかにしてゴマかして核兵器を増やすか、しか考えてないようです。
米国が「ビッグディール」(いっぺんに全部妥結)にこだわるから進まないんだとか、「行動対行動」で一歩一歩進めるべきだと言ってる人も、日本共産党とか‥、文在寅大統領とか‥、いますが、私はそうは思いません。
北朝鮮が切れるカードは、核兵器の放棄だけ。アメリカが切れるカードは、制裁の解除だけ―――という対立になっているから、「ビッグディール」以外の取引は、妥結しようがないんだと思います。つまり、「ビッグディール」が、いい/わるい、ではなく、そもそも、このカードの持ち合い方では、部分的な妥結は不可能なんです。
たしかに、北朝鮮にとっては、部分的に「核」を放棄しても、また造ればいいんですから、部分妥結は、いい話です。しかし、制裁は、1か所でも穴をあけてしまったら、そこから水が全部漏れてしまいます。「核放棄」対「制裁解除」という対立自体が、部分妥結を困難にしているんです。それを、双方が武器を削減しあう・ふつうの軍縮交渉のように考えたら、解決不可能になります。
そこで、もしも今後、「核兵器禁止条約」発効後の情勢で、核保有国への世界の(米国・北朝鮮以外からの)圧力が高まったら、カードの持ち方が変ってくるでしょう。……北朝鮮がA核ミサイルを放棄するのと引き換えに、アメリカがB核弾頭を廃棄する―――そういう交渉が可能になるということです。これなら、通常の核軍縮に近くなる。最終的に北朝鮮が――またアメリカが――全部放棄するまでには、遠い道のりがあるでしょうけれど、ともかく交渉は進むでしょう。そして、世界中の国が、交渉の成り行きに関心をもつ……そのことも、大きな力になります。
世界最大の核保有国の核廃棄をめざして交渉しているんだぞ……ということで、ナルシスト金正恩の自尊心も十分に満足させられる―――彼、のめりこむんじゃないでしょうかねww
【追記】 もっと目前の話も、少ししておきましょう。10月22日の大統領選討論会で、バイデン候補が、「朝鮮半島の非核化」と言っていたのが注目されます。北朝鮮が「核能力の縮小に同意すること」が、トップ会談の条件だ、と述べた際に、(最終的には)「朝鮮半島は非核地帯(nuclear-free zone)となるべきだ」と言ったのです。トップ会談の前提条件として、まず実務者交渉で「核能力縮小の同意」がなければ、金正恩とは会わない、ということのようです。「中国に、関与してもらいたいと、はっきり言う。」とも述べました。副大統領時代に中国を訪問した際にも、駐日韓・米軍の増強に文句があるなら、中国は、北朝鮮の「核」脅威を減らすよう、我々に協力すべきだと言って反論した、というのです。
「朝鮮半島の非核化」は、トランプ政権が一度も使わなかった表現で、むしろ北朝鮮側が使用していた表現です。バイデン執権になった場合には、「朝鮮半島の非核(地帯)化」とは、米国側も譲歩するという意味なのか? 韓国――さらには日本――からの「核」撤退を意味するのか?もしそうだとすると、中国の「核」との関係が問題になってくる‥‥をめぐって議論になると思っています。現状では、駐日韓・米軍の「核」配備は機密。平常時には無いとしても、いつでも迅速に、グアムから嘉手納、岩国、韓国に核兵器を持ちこめる体制ですから。
バイデンの執権は、“トランプ・金正恩ショー”で膠着してしまった《二者間交渉》のパラダイムを失効させて、オバマ政権時、さらにはそれ以前のパラダイム(たとえば、中国などを巻き込んだ《多国間調整》)を復活させる可能性があります。私はむしろそのほうが、行き詰まった現状を打開する助けになると考えています。
核兵器禁止条約に署名した国一覧(2020年10月24日現在、84か国。★は批准した国: 50か国。アルファベット順):
【アジア】 ★バングラデシュ、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、★カザフスタン、★ラオス、★マレーシア、★モルディブ、ミャンマー、ネパール、★パレスチナ、フィリピン、セーシェル、★タイ、★ベトナム。
【オセアニア・太平洋】 ★クック諸島(※)、★フィジー、★キリバス、★ナウル、★ニュージーランド、★ニウエ(※)、★パラオ、★セントクリストファー・ネイビス、★サモア、東ティモール、★ツバル、★ヴァヌアツ。
【ヨーロッパ】 ★オーストリア、★アイルランド、リヒテンシュタイン、★マルタ、★サンマリノ、★バチカン市国。
【アフリカ】 アルジェリア、アンゴラ、ベナン、★ボツワナ、カーボベルデ、中央アフリカ共和国、コモロ、コンゴ、コンゴ民主共和国、コートジボワール、★ガンビア、ガーナ、ギニアビサウ、★レソト、リビア、マダガスカル、マラウイ、モザンビーク、★ナミビア、★ナイジェリア、サントメ・プリンシペ、★南アフリカ、スーダン、タンザニア、トーゴ、ザンビア。
【北米】 なし。
【中・南米】 ★ボリビア、ブラジル、チリ、コロンビア、★コスタリカ、★キューバ、★ドミニカ、ドミニカ共和国、★エクアドル、★エルサルバドル、グアテマラ、★ガイアナ、グレナダ、★ホンジュラス、★ジャマイカ、★メキシコ、★ニカラグア、★パナマ、★パラグアイ、ペルー、★セントルシア、★セントビンセント及びグレナディーン諸島、★トリニダード・トバゴ、★ウルグアイ、★ベネズエラ、★アンティグア・バーブーダ、★ベリーズ。
※クック諸島、ニウエは、同条約に調印せずに加入書を国連に寄託しました。加入は批准と同じ法的効力を持ちます。
よかったらギトンのブログへ⇒:
ギトンのあ~いえばこーゆー記
こちらは自撮り写真帖⇒:
ギトンの Galerie de Tableau