「奥多摩周遊道路」から、また山路にはいり、「月夜見山」1147m↓に到着。
「月夜見山」頂から道路に降りれば、「月夜見第2駐車場」↓。高度計で 1115m。ここでようやく車道にサヨナラして、「御前山」方面の尾根に乗る。
じっさいは、こんなにスムースに行ったわけではない。なにしろ、車道で縦走路が分断されたり破壊されたりしているから、枝路が錯綜している。道標も完全ではない。山路の入口に「山道崩壊。危険」と書いてあって、出口には「←都民の森」などと問題なく表示されていたりする。
同じ方向に歩いている人と、追い越したり追い越されたり、何度も行き会うと、自然と情報交換をするようになる。とくに単行者どうしは話しやすい。ひとりのトレイランナーと何度も会った。1回は、私が縦走路から外れているのを、うしろから来た彼が教えてくれた。2回目は、月夜見山頂で、私が地図を見ているあいだに、彼がちがうほうへ走って行ってしまった。
どれが縦走路なのかがわかって、彼の行ったほうは違うのを知った時には、もう姿は見えず。追いかけて行っても、追いつかない。もっとも、どちらへ行っても、いつかは周遊道路にぶつかるはずだから、車道を戻って来ればいい。車にさえ轢かれなければ問題はない。
この人とは、その後また出会うことになる。
「第2駐車場」からの下り坂↓。ここは、前に来た時も、どろんこで難渋した。あの時は、早春の雪どけだった。きょうはそれほどではないが、滑りやすい。広くてゆるやかな悪路というのもある、という典型だ。
ヒトツバカエデ。楓とは思えない葉の形だが、りっぱなカエデ科だ。お尻がへっこんだハート形。
小河内峠。私の高度計で 1060m。ここは、カタクリの花で有名になったが、有名になりすぎて、春先は過剰登山装備の観覧客でごったがえす。たしかに、ここは奥多摩湖畔から容易に登って来られる。カタクリの群生地は、厳重に金網でかこってあった。
小河内峠から、惣岳山・御前山への尾根通しの登りは、むずかしい場所ではないのだが、「ハセツネ(日本山岳耐久レース)」で死亡事故が起きている。左側・奥多摩湖側の崖が急で、一気に切れ落ちている。ランナーがここを通過するのは深夜なので、足を踏み外すと一気に転落してしまうのだろう。
死亡事故の影響かどうかわからないが、このあたりの路はずいぶん整備されて歩きやすくなった。小ピークごとに巻き路がある。きょうのように急いでいる時にはありがたい。
ヤブデマリにしては、鋸歯がない。ミズキにしては、紅葉が赤すぎる。しかし、紅葉の色は、地域差、個体差が大きいかもしれない。結論として、これはミズキ。さきほど(前回参照)「都民の森」で見たのは? あれもミズキだったか?
細長い枯葉は、クリ。
「惣岳山」への最後の登り。このへんも歩きやすくなったが、かつては難所だった。小河内ダムからの登路(大ブナ尾根。じつはイヌブナがほとんど)も、同じ高さに急坂があって「おツネの泣き坂」と呼ばれていた。急勾配のうえに、崩れやすいガレで、足がズリ落ちてしまって進まない。その「泣き坂」も、数年前に来た時には歩きやすくなっていた。
この急坂の岩質が、前から気になっていた。崩れやすい、割れ方が不規則、白い斑がある。ある岩石が頭に浮かぶのだが。。。
そこで今回は、斜面の石をひろって持ち帰ってみた。クエン酸水溶液に入れると‥
あんのじょう、泡がブクブク。持ち帰ったすべての石が発泡した。石灰岩だ。
奥多摩の山は、石灰岩でできていると言われる。基盤は中生代白亜紀層(四万十帯)だが、石灰岩の巨大な岩体が多数挟み込まれている。太平洋のかなたから、プレートに乗って運ばれてきたサンゴ礁の集積だ。奥多摩の山々は、平らで長い・尾根と頂上の連なり、急峻なV字谷、鍾乳洞の多いことなど、石灰岩地形の特色を示している。
「おツネの泣き坂」も、こちらの縦走路の急坂も、石灰岩体がくずれたガレ斜面だった。岩質のもろいガレ斜面が、多すぎる登山者の過踏で悪路になっていた。歩きやすくなったのは、整備もさることながら、登山者が減ったからだろう。
「惣岳山」1348.5m に到着。ガスが出てきた。雲が下がったせいだ。
「惣岳山」を下りて、「御前山」に登り返す。ガスが濃くなるが、雨は降らない。
「御前山」の登りに「岩場」があると書いているブログがある。そういえば路のそばに岩があったような。記憶に残らない程度だ。
ヒメシャラ↓。リョウブと似た“まだら”の樹幹だが、赤みを帯びている。また、樹皮と、樹皮がはがれたブチの関係が逆だ。模様が反転している。もちろん、葉はまったく違う。
「 ヒメシャラ
ヒメシャラもシャラノキ〔ナツツバキ〕も幹肌が美しい事で知られていますが、この幹にも違いがあります。
ヒメシャラの幹は成長と共に皮が剥けていく為、常に新しい幹肌を見る事が出来ます。
この皮の剥け方ですが、ヒメシャラは剥ける皮が非常に薄く、細かい毛が抜けていく様な剥け方を見せます。
一方、シャラノキの幹は剥ける際にパリっとした皮が剥がれる印象です。
この為、幹皮の剥け跡が斑模様として残りやすく、これはこれで美しいものでもあります。
しかしヒメシャラもシャラノキも、適切な環境でなければ美しい幹肌を見る事は出来ません。
むしろ、幹肌が美しい状態であれば適切な環境である、という指標にもなり得ます。
樹形の違い
樹形にも異なる印象があります。
シャラノキは斜め上方へ伸びた枝がそのまま樹形を作っているケースが多いのですが、ヒメシャラの場合は上方へ伸びた枝が柔らかい為、枝垂れやすい傾向があります。
この為、ヒメシャラの方はある程度の大きさになると横へ枝を伸ばした様な樹形になってきます。」
↓「御前山」 1403メートル。ずいぶんりっぱな標柱が立った。しかし、山頂に神社の祠が無いのはふしぎだ。明治維新で破壊されてしまったのか([ヤマレコ]沼津奥アルプス(2)参照)?
湯久保尾根分岐点。ここで縦走路と岐れる。まだ午後3時だが、ガスって暗い。
ヒノキの斜面をトラバースして、ゆるやかに下る。あたりはガスる一方だ。
【つづく】
タイムレコード 20201002
- 1209月夜見山1212 - 1220月夜見第2駐車場 - 1258小河内峠1324 - 1415惣岳山1425 - 1447御前山1450 - 1500鋸山方面分岐 - (3)に続く