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【必読書150】石川啄木『時代閉塞の現状』(4)
―――《自然主義》と啄木
《自然主義》とは、
人間は遺伝と環境によって決定される
という自然法則的理解にもとづく
文芸主潮である、と事典と教科書には
書かれている。
ウィキペディアにもそう書いてある。
しかし、事典には決して書かれない《自然主義》があった。
啄木は、
「自然に帰れ」が《自然主義》だと思っていた。
法則もしきたりもクソくらえ! だと…
いや、啄木だけではない。
明治時代には2つの《自然主義》があった。
今週の講演で、柄谷行人氏は、
「帝国主義の歴史は 120年を周期に繰り返す」
と述べた。
文学史には載らない《自然主義》の路を通って、
啄木は国家ときりむすんだ。
“世界の帝国主義国”となった明治国家の下で
「我々青年を囲繞する空気は、いまや微動もしなくなった。
我々はいまどこに進むべき道を見出しうるか?」
啄木の問いかけは、120年後の私たちにも
重く響いている‥‥